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メガゾーン 23

十三機兵防衛圏』を再プレイしていたらその元ネタと言われるアニメが気になったので観てみました。

メガゾーン 23

MEGAZONE23

十三機兵には数多くの SF 作品のオマージュが込められていますが、物語の根幹は 1985 年の OVA『メガゾーン 23』をベースにしていると言われています。『超時空要塞マクロス』の主要スタッフが再集結して制作された OVA ということですが私は観たことがありませんでした。超時空シリーズはマクロス/オーガス/サザンクロスまでリアルタイムで観ていたけど、幼稚園~小学校低学年だったから OVA の存在までは知らなくて当然か。

マクロスの延長線上にあるような作品だから、戦争で荒廃した地球から新天地を求めて人類が巨大宇宙船で旅立つという設定と可変ロボットバトル、そこにアイドルと歌が絡むというところまでは共通しています。ただし OVA らしくテレビアニメではやれないようなエロもグロも当然のように出てきます。
ちなみに十三機兵ももう発売から四年以上経つからネタバレしちゃいますが、この「戦争で荒廃した地球から新天地を求めて人類が巨大宇宙船で旅立ち、巨大ロボットで戦い、AI のアイドルが歌い、主人公たちが現実の 1980 年代だと思い込んでいた世界は実はコンピューターにより再現されたものだった」という部分がメガゾーン 23 と共通。とはいえ MZ23 では Part I の中盤で世界設定のネタばらしがあるのに対して十三機兵は最後の最後でようやくそれが判明するという違いがあるし、登場人物もシナリオも演出もまるで別物だから見事なまでにオマージュです。
本作を現代の視点から見ると「ほかの作品で見たことがあるような話」ですが、それは実際には本作がその後の多くの作品に影響を与えた結果なのでしょう。

そんなわけでストーリー的には今になって語るところはあまりないのですが、映像や音楽、台詞回し、演出といった様々な要素が見事に 1980 年代の空気感を映像作品として取り込んでいることに感銘を受けました。劇中でヒロインが 1985 年を「今が一番いい時代」と言う台詞があるのですが、2024 年から振り返っても大きな戦争もなく経済的にはバブル真っ最中で、世の中の全てが脳天気に見えたあの時代が日本の一番いい時代だったのかもしれません。そういうことを思い出させてくれる映像美があります。また人物やメカのアニメーションもあの時代ならではの劇画っぽい濃厚な手描き絵がヌルヌル動く、今見るとロストテクノロジー的な表現が素晴らしい。板野一郎や庵野秀明といったレジェンド級アニメーターが好き勝手描いてるわけですからね。

しかし驚いたのが二部作にも関わらず Part I と Part II で監督とキャラクターデザインが変わっていて、同じ作品とは思えないくらい作画も演出も違っています。イメージ的には「マクロスのつもりで観始めたら後編は AKIRA だった」というくらい違う。キャラデザは面影がないくらい変わっていて、さらに主人公・省吾は声(担当声優)まで変わってしまい、Part II では「誰お前」状態。最初の 30 分くらいは能がキャッチアップしてくれなくて苦労しました。
ちなみに Part I で省吾を演じた久保田雅人氏は現在 NHK E テレで「ワクワクさん」として知られる久保田雅人氏、Part II は『ガンダム ΖΖ』のジュドー役でもある矢尾一樹氏。さらに本作は現代の大ベテラン声優である山寺宏一氏のデビュー作でもある、などいろいろと時代を感じる作品です。

『マクロス』は視聴者層の広さを考える必要があったけど制作陣的には本当はここまで振り切りたかったんだろうなあ、というのがよく分かる作品でした。逆に、この作品に参加しなかった河森監督が引っ張ってきたからこそマクロスシリーズが今のような形になったのだろうなあ、とも思います。本作に、SF/ロボットアニメ史のひとつのマイルストーンを見た思いです。さらに数百年後が舞台と言われる Part III も追って観てみるつもり。

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