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M4 iPad Pro

クリエイターを支援するはずの企業がクリエイターの道具をプレス機で潰すプロモーションビデオを公開した件については鼻白むしかなかったわけですが、それは置いておいて。Apple が iPad Pro/Air の新製品を発表しました。

M4搭載で最薄のiPad Pro登場 13型も追加した新iPad Air – Impress Watch
【西田宗千佳のRandomTracking】新iPad Pro/iPad Airハンズオン。高画質だけじゃないProのタンデムOLED – AV Watch

M4 iPad Pro

驚いたのは iPad Pro に搭載された SoC。ほんの半年前に M3 をリリースしたばかりなのにいきなり M4 プロセッサーを発表して iPad Pro に搭載してきました。
この M4 というプロセッサー、Apple が公式に比較しているのは「M2 比で CPU が 1.5 倍、GPU が 4 倍高速」という点のみ。旧 iPad Pro が M2 搭載だったから比較対象としては妥当ですが、M3 比での数値を出してこないのはちょっとアンフェア。そこで M3 との差分を判る範囲でまとめてみました。

プロセッサーM3M4
製造プロセス3nm3nm
高性能 CPU コア44
高効率CPU コア46
GPU コア1010
Neural Engine19TOPS38TOPS

※プロセッサーのスペックは搭載される iPad/Mac のモデルによって異なるため、ここでは最上位のスペックを記載

というわけで、M4 は M3 比で高効率 CPU コアと NPU(Neural Engine)を強化したプロセッサーであることが判ります。高性能 CPU コアと GPU コア数が変わらないことから、一般的な処理においては M4 の性能は M3 と大差なさそう。NPU の処理能力が倍増しているため AI 関連の処理をさせた場合は M3 よりも高速にはなりそうですが、逆に言えば M4 の進化点はほぼそこに集約されていると言って良さそうです。

どうしてこんなに差分の少ない SoC をこの短期間で矢継ぎ早に投入してきたのか?と思ったら、以下の記事にその答えと思われる内容が書いてありました。

【大原雄介の半導体業界こぼれ話】 3nm世代の幕開け(のちょっと前)
 今月はちょっと毛色を変えて比較的最近の話を。TSMCの3nmプロセスに纏わる諸々である。今年(2023年)もTSMC 2023 Technology Symposiumがスタートした。まず4月26日にNorth America(サンタクララ)で、その後オースチン/ボストンを経て台湾/ヨーロッパ(アムステルダム)/イス...

M3 および A17 Bionic プロセッサーは TSMC の第 1 世代 3nm プロセスである N3B を独占的に利用していたが、高コストかつ歩留まりも低い(55% 程度と言われる)ものだったとのこと。M4 では第 2 世代にあたる N3E プロセスを採用し、これは N3B 比でコストと歩留まりが向上する見込みだが性能は大差ない、ということのようです。半導体設計が変わるからプロセッサーネームとしては新しい世代にするけど中身はあまり変わってない(でも AI 関連は需要が強いから NPU は強化する)のが M4 の実情ではないでしょうか。

プロセッサー以外の M4 iPad Pro の進化点は主に薄さ・軽さとディスプレイにタンデム OLED(有機 EL を二枚重ねにすることで輝度/コントラストを稼ぐ)ということで、体感的にはプロセッサー性能以上にこの二点の恩恵が大きそう。

同時に発表された iPad Air の新モデルはプロセッサーが M2 になったことと新たに 13inch モデルが追加されたこと、およびフロントカメラが短辺側ではなく長辺側のベゼルに移設されたこと(つまり横長使いを想定)が主な変更点。

個人的には iPad Pro には手が出ないし(というか 17 万円あったら PC 買う)、Air も今使っている M1 モデルから買い換えるほどの差分じゃないから今回はスルー。むしろ使用頻度の高い iPad mini のほうが買い換え優先度は高いけど、こっちも特に不満はないんだよなあ。まあ mini の新モデルが出てくるまで、いずれにしても様子見です。

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