天王洲の寺田倉庫ホールで開催中の「ジブリの立体造型物展」を見てきました。
5 月から 9 月という長期にわたる展示会にも関わらず、既に全日程分のチケットが完売している大人気のイベントです。私は 6 月にチケットを買おうとした時点でもう 8 月後半しか取れなくなっていました。
ちなみに私はこのイベントの基になった展示会にも行った記憶があります。二十年以上前に現代美術館で開催された「ジブリがいっぱい スタジオジブリ立体造型物展」ですね。でも展示内容は朧気にしか憶えていないし、この二十年の間に新たに制作されたジブリ作品の立体物もあるということで新たな気持ちで臨みました。
会場内でまず出迎えてくれるのは『猫の恩返し』のバロン。凜々しい顔つきといい、毛並みや服の質感といいよくできてる。彼に案内されるような感覚で門をくぐります。
するといきなりクライマックスな感じで出現するトトロの森!
巨大なトトロ、そのお腹の上に寝そべるメイ。さらにその周囲全体が劇中のトトロのねぐらを模しているのが素晴らしい。『となりのトトロ』は子育てがてらで DVD/Blu-ray を百回以上は観たので「あなたトトロっていうのね!」のシーンの脳内再生余裕です。あの光景がまさに眼前に広がっていると思うと感激モノ。
その脇に佇む中トトロ・小トトロがかわいらしい。子どもが小さかった頃には我が家にも大中小トトロ+ネコバスのぬいぐるみがありました。
トトロたちの展示がいいのは当然として、ジオラマとして再現されている造作がまた素晴らしい。苔の質感とか絶妙じゃないですか。
続いて『魔女の宅急便』のキービジュアル再現。グーチョキパン店がまさにここにある!
巨大な丸パンやコッペパンがうまそう。買って帰りたいくらいです。
キキの宅配サービスの看板がちょこんと掛かっているのがさらに良いじゃないですか。
振り返ったらオソノさんやトンボが店に入ってきそうな錯覚をおぼえます。
『耳をすませば』の電車のシーン再現。ここはフォトスポットになっていて、シートに座って写真が撮れました。
1980 年代の電車なつかしい。そうそう、窓なんて両端のツマミを押さえて下から持ち上げる方式でした。
そして『千と千尋の神隠し』より油屋。
巨大で異様な油屋を前に、ぽつんと佇む千尋の対比が素晴らしい。
ちなみにこの展示物は太鼓橋が手前に向かってハの字型に開いていて、また油屋も強いパースをつけた造型になっていることで遠近感が強調されて見えるという目の錯覚を利用しています。実はそれほど奥行きのある展示ではないんですね。
そういう工夫も含めてこれは一見の価値あり。
油屋の中にて、モンスター化したカオナシ。
でもよく見たらそれはただの影で、手前側の重箱に光源が隠されていて(写真では白飛びしていて見えにくいけど)さまざまな御馳走の影が投射されて怪物に見えている、というトリック。こういう仕掛け好き。
『天空の城ラピュタ』より、ドーラ一味の追跡から逃げるパズーとシータ。このあたりは二十年前の展示会でも見たような記憶があります。
これも先ほどの油屋と同じく目の錯覚を利用したトリックですが、これまでに何十回と観たこのシーンの当事者になったような感覚でワクワクする。
パズーがドーラ一味と共闘してシータを救出するシーン!映画前半のクライマックスですが、アクション的には本作の最大の盛り上がりどころ。
実寸大のフラップターといい、シータやドーラの髪が風になびく生々しさといい、自分としても気持ちが最高潮に達する。
これもまた遠近法を駆使していて、ドーラやパズーよりもシータの方が小さいし、塔は円筒形ではなく逆円錐形でパースが強調されています。でもこの角度から写真に撮ると見事な遠近感。
ちなみにロボット兵の胸には光源が仕込まれていて、上空からゴリアテに狙撃されて爆発する直前の様子が表現されています。
ハウルの動く城。これは確か二十年前の展示会の目玉だったやつです。確か当時『ハウルの動く城』の公開前で、映画のプロモーションを兼ねた展示会だった記憶。
これは実寸大ではないけれど全高 5m 近くある巨大な展示で、しかも劇中と同じような感じで動く。迫力があります。
そして今回の展示会でメインにフィーチャーされているのが『紅の豚』。ぶいっす!!
砂浜に佇むポルコ・ロッソ、すごくイイ味出てる。映画雑誌を読みふけるでもなくリラックスしてる感じ、カッコイイじゃないですか。
展示エリアの最後に飾られているのがポルコの愛機・サボイア S-21。これ、今回の展示会のために新規製作された立体物です。
実寸大で見るといかにもパワーのありそうな巨大なエンジンの印象が強い。そしてこの輝く深紅のボディがつくづくカッコイイ。見惚れます。
背景が倉庫だから本当にピッコロ社のハンガーで整備されているように見える。このために寺田倉庫を会場に選んだのでは?と思ってしまいます。
展示エリアは物販コーナーが隣接していて混み合っていましたが、だからこそカーチスとの決闘の後に祝勝会でもやってるところに居合わせちゃったのかな、という感覚に陥るわけです。
こちらはフィオの作業場。窓の外に工場街が描かれているのがそれっぽい。
背伸びしているフィオの姿勢がリアルで、今にも椅子から立ち上がってこちらに歩いてきそうに見えます。
『紅の豚』関連はミニチュアジオラマも多数展示されていました。こちらは改修中のサボイア。
実寸台の展示物もいいけど、模型勢としてはこういうミニチュアジオラマにこそ見入ってしまうわけです。
サボイアの着水シーン。水煙の表現とか、背景の書割とか上手すぎて痺れる。
自分でも模型でこういうジオラマ作れたら最高だろうなあ。
これもまた名シーン。ポルコがジーナの家の近くを飛んでいく場面です。
飛行機の角度といい、サムアップしてるポルコといい、サボイアを見上げるジーナの姿といいエモい。
こんなのもありました。これ、飲食コーナーの料理、ではなくこれも展示物です。
ジブリ飯といえばこれ的なミートボールスパゲッティ。紅の豚というよりは『カリオストロの城』のイメージですが、トマトソースの赤とかツヤツヤした質感とか、このまま食べられそうな見た目をしています。というか食べたい。
こんな状態の展示もあって、食べているふりをしながら記念写真を撮ることも可能。実際にここで写真撮ってる人多数。
このスパゲッティ、他のメイン級の展示物にも負けない人気だったんじゃないでしょうか。
いやー、楽しい展示会でした。展示物は他にもたくさんあって、このエントリーで紹介したのはごく一部です。
個人的には『もののけ姫』以降のジブリ作品は手放しに好きというわけではないけど、それ以前の大好きだった作品の展示物が多数見られたことも含めて満足。誰かを連れてもう一回行っても良いくらいなのに、もうチケットが買えないのが惜しすぎる。
何かの機会にまた再演してくれることを期待しています。


























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