フェルスタッペンが完勝! マクラーレンまさかの失格。角田裕毅はピットレーンから挽回ならず|F1ラスベガスGP決勝
北米開催ながらナイトレースということで日本人に優しい時間に開催してくれるラスベガスGP。砂漠地帯でありながら予選は雨という波乱要素があったグランプリを制したのはフェルスタッペンでした。
■レッドブル
フェルスタッペンが予選2番手からスタートでのノリスとの攻防に競り勝ってそのまま優勝。今シーズン6勝目、いやあ強い。ちょっと危ないかなと思ったのは序盤数ラップでラッセルと僅差だったところくらいで、あとは余裕の勝利という感じでした。むしろ中盤までラッセルがノリスの前にいてくれたことで楽になったとも言えそうです。
後述するマクラーレンの失格もありチャンピオンシップは366ptでピアストリと同点、ノリスまでは24点差。逆転チャンピオンが十分現実的なラインに入ってきました。去年までの四連覇は「クルマとチームのおかげ」と言える部分も大きかったですが、もし今季チャンピオン獲得できたらそれは完全にフェルスタッペンの成果でしょう。チームはそれくらい弱体化しているし、そんなチームとクルマからフェルスタッペンが引き出すものが大きすぎる。
角田は金曜FP1の走り出しがとても良くてFP1はフェルスタッペンをも上回る3番手タイム。これはついに角田がまともに上位争いするレースを見られるのでは…と期待しました。
が、それが土曜日には絶望に。予選Q1で内圧設定を間違えたタイヤを履かされて全くタイムが伸びず19位。いくら抜けるラスベガスとはいえ致命的なポジションです。決勝ではPU交換してピットレーンスタートを選択したものの、何故かスタートタイヤだったミディアムを1周で捨ててハードタイヤに交換。そのまま1ストップで走りきるのかと思えば中盤にはまた元のミディアムタイヤに履き替えて、結局いいところがないままノーポイント完走というレースでした。予選でのタイヤ内圧問題はチームのミスだし、決勝のタイヤ戦略も意味不明。チームは角田をどうしたいのか…。精一杯ポジティブに考えるならばフリー走行での赤旗中断や土曜日の降雨でタイヤデータが限られる中、角田はフェルスタッペンのためにハードタイヤのデータ取りの役割を担わされた可能性もありますが、それなら何故ハードタイヤでスタートしなかったのか。今年の角田はシーズンの1/3くらいのレースをチームのミスで台無しにしていて、もう角田にとってこのチームに残留しても良いことないのでは…という気さえします。
■メルセデス
マクラーレンの失格によりメルセデスが繰り上げで2-3フィニッシュ。ラッセルはスタート以降安定して表彰台圏内のレースでしたが、それ以上にアントネッリが素晴らしかった。予選Q1落ちからの追い上げ、しかも決勝ではジャンプスタートの5秒ペナルティを食らいながらも最後まで諦めずに走り、4位チェッカー→ペナルティ+5秒で5位→繰り上げで3位。レース終盤の猛プッシュがなければマクラーレンが失格しても4位止まりだったわけで、この走りは賞賛されるべきでしょう。個人的に今回のドライバーオブザデイはアントネッリだったと思います。
■マクラーレン
ノリスは予選でPPを獲得しながらも決勝スタートでフェルスタッペンを意識して幅寄せしすぎ、ターン1で曲がりきれずに3位にポジションダウン。そこから何とか巻き返して2位でチェッカーを(一旦は)受けました。スタートでのやらかしは完全に去年までのノリスと同じようなミスだったと思いますが、おそらく3位まで落ちた段階で「このままポディウムフィニッシュを続ければチャンピオンは獲れるんだから落ち着け」というチームとの会話があったのではないでしょうか。
後半戦精彩を欠くピアストリは予選5番手、決勝でもなんだかんだポジションアップして4位チェッカー。でもフェルスタッペンとは違って今のピアストリにはどうにも逆転チャンピオンになれる勢いが感じられません。タイトル争いのプレッシャーというよりはアップデートされたクルマとの相性やチームとの信頼関係のように見えます。
しかしながら2-4フィニッシュという結果もレース後の車検でスキッドブロック違反(規定以上に削れていた)ことで二台揃って失格。今季はフェラーリやザウバーも同様の違反で失格処分を受けており、車高を下げることでフロア下のダウンフォースを稼ぎたい各チームがギリギリを攻めすぎた結果と推測されます。これでマクラーレンは残る2グランプリを車高を上げて戦わざるを得ず、それにより競争力が落ちる可能性が高い。このことはフェルスタッペンにとって有利に働くはず。さらに直近ではメルセデスもマクラーレンやレッドブルと競える速さを手に入れており、彼らが絡んでくれば最終戦アブダビで2021年のような大逆転劇が見られる可能性もあります。
いやあ面白くなってきました。しかもその結果があと2週間で出揃う(アブダビ決勝は12月7日開催)わけですからね。来週のカタールは日本の深夜開催ですが、もうリアルタイム観戦するしかありません。


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