先日台湾に行った際には観光のひとつとして國立故宮博物院を見学してきました。
台湾には仕事を含め過去三回行っているのですがいわゆる定番の観光地には行ったことがありませんでした。だから今回の旅ではこの故宮博物院と九份を巡る超ベタな(笑)計画を組んでいました。
故宮博物院は台北の中心街からはちょっと離れていて電車でのアクセスもイマイチ。私は路線バス(迪化街付近から30分ほどの乗車)を利用しました。
※写真は全てα7C+FE 20-70/F4Gにて撮影。
館内の見学には入場料とは別料金の音声ガイドをレンタルしました。スマホをベースとした音声ガイドとヘッドホンで視聴するもので、日本語にも対応します。ちなみに窓口のスタッフは当たり前のように日本語が話せてとてもスムーズでした。実際、私が行ったときには来館者の多くは日本人または韓国人観光客のようでした。
台湾の国立博物館だけあって展示物が膨大。三階建ての広い建物に多数の収蔵品がカテゴリーごとに分類して展示されています。その大半がもともとは清朝の所蔵品だったということで、台湾の博物館でありながら中国と周辺国の長い歴史を感じるものとなっています。
↑の写真は仏像ですが、日本で見られる仏像とよく似ていてインドから中国を経て日本に伝来した経緯がよく解ります。まあ仏像もモノによってはインド人っぽい見た目のものや韓国人っぽい表情をしたものなどいろいろありましたが。
展示品には「書」にまつわるものも多かったのが印象的でした。文字の起こりから写本、活字、印刷技術。その発展に伴って文化が広まり成熟していくさまが理解できます。昔世界史の教科書で学んだ内容であったとしても(世界史苦手だった)実物を目にするとより強い興味を惹かれるものです。
その活字を彫り込んだ木版。古い繁体字中国語だから文字がめちゃくちゃ細かいです。これを作り上げた職人さんの技術と苦労を思うと気が遠くなる。
神獣(空想上の生物)に関する特別展示より。これはシーサーに似ているようにも見えるけどちょっと違う、甪端(ろくたん)という中国発祥の神獣です。サイの角、スフィンクス、ドラゴンの背中、クマの爪、魚の鱗、牛の尾を持ち邪を退ける獣ということで王城に像が飾られることが多かったとか。役割的にはまさにシーサーや狛犬に近い。逆に中華圏の人から見たら日本の狛犬は一風変わった神獣に見えているのかもなあ、なんて想像してしまいます。
象牙の彫刻品。細かな彫刻が施された球体の中にいくつもの球体が重なっていて、どう作ったのか?とても不思議な美術品です。しかもそれぞれの彫刻が本当に繊細で、ずっと見ていても見飽きない。
もちろん陶磁器の類もたくさん展示されていました。私はこういうものにあまり明るくないので作りよりも紋様や発色の良さに目を奪われます。
なんと「硯」の特別展示もありました。毛筆の墨を摺る硯にもたくさんの種類があり、それ自体が工芸品を超えて美術品として成立してしまうのが中国の「書」の歴史。↑この黄金の硯はその中でも特に絢爛だったものです。
そんな中国四千年の歴史の重みある故宮博物院ですが、何故かその象徴として有名なのは豚の角煮に見える彫刻品「肉形石」と白菜を象った彫刻品「翠玉白菜」の二つ。運の悪いことに私が行った日はそのどちらも展示休止中(他の博物館に出張中?)で見られなかったのですが、別種の白菜の彫刻(「翠玉白菜花挿」と「翠玉小白菜」)が展示されていました。天然の鉱石が食べ物に見えて、実際にそれを彫刻品にしてしまうあたりに人間の食に関する執着を感じます。
国宝「天地人」の三連環。もとは一つの翡翠の石から削り出されたもので、よく見るとそれぞれの円環の側面・外周にも繊細な彫刻が施されています。
中国の文化・文明に関する博物館であれば当然古代からの武器も展示されているわけです。石器時代から青銅器、鉄器。武器の種類も剣や斧から弓、弩、銃砲まで。本当に教科書よりも人類の歴史が生々しく感じられる。社会科の勉強、学生時代よりもむしろ今したい気持ちが強い。
象形文字から漢字に至る経緯にも古代の武器が大きく関わっています。こういうのを見ると、人類の歴史において戦争と文化って切っても切れない関係にあったことがよく解ります。
正味二時間ほどの滞在でしたがとても全部は見きれませんでした。じっくり回ろうと思ったら丸一日かかるけど、立ちっぱなしで一日回るのもそれはそれで大変そうです。今回は音声ガイドの助けを得つつある程度おいしいところは巡れたと思うのでそれで満足。また来る機会があれば、今度こそ角煮と白菜は実物を見たいなあ。














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