スポンサーリンク

EMI が DRM なし音楽配信をスタート

英EMIが”DRM無し”音楽配信を実施 (AV Watch)
Appleが後押ししたDRM無し音楽配信への道 (PC Watch:元麻布春男の週刊PCホットライン)

今年 2 月にジョブズ氏が完全撤廃を提案してから具体性を帯びてきた音楽配信の DRM 撤廃の動きですが、ついに英 EMI が iTunes Store での DRM なしプレミアムコンテンツの配信を発表。ジョブズ氏の発言自体はそれなりに FairPlay に関する自己弁護の雰囲気も漂っていましたが、こうして実際に DRM なしの配信がスタートすると俄然説得力が増してきます。

今回のキモは単に DRM なしのコンテンツを配信するだけでなく、DRM つきコンテンツの価格に少し上乗せした金額を払うことで「DRM なし・ハイビットレートの楽曲が入手できる」ことでしょう。著作権者からすれば(現実的には)多少の違法コピーには目を瞑れるだけの利益が得られ、ユーザーはコンテンツの取り回しの自由とより高いクオリティを得る。双方に納得のいく妥協点をうまく見つけ出したのではないでしょうか。
DRM フリーになったことで、コンテンツが配信サービスやデジタル音楽プレーヤー(DAP)と紐づいており、機器間での相互運用性がないことには一応の解決策(AAC 非対応のプレイヤーにもとりあえず MP3 や ATRAC に変換して転送できる)が見出せるため、ユーザーにはある程度の自由が与えられたことになります。が、これでもまだ特定の「ファイルに対する使用権」の自由がユーザーに認められたにすぎないので、将来的には「特定の楽曲を聴く権利」を購入する、という概念に発展して、ユーザーが特定のファイルを持つことではなく例えばサーバ上の音楽データをいつでも・どこでも・使用状況に応じた形で(ブロードバンドかつ高音質が得られる環境ではハイビットレートで、モバイル環境では比較的低ビットレートで)楽しめるような世の中になってほしいものですが、インフラも著作権に対する考えかたも今より数段進歩しなくてはならないので、まだまだ夢の話でしょう。

とりあえず iTunes Store がやることなので、今後五月雨式に他のレーベルも追従してくるはず。年内には iTunes Store 上の楽曲の半分を DRM フリー対応にしたい、と言っていますが、レーベル側の態度次第ではもっと急速に進む可能性もあります。同様に、おそらく他の配信サービスも追随するでしょうね。ただ、日本国内はあまりにも著作権に対する縛りが強すぎるので、そう簡単にはいかないでしょうが・・・。
iPod + iTunes もすっかりデファクトスタンダードになったとはいえ、最近では普及しきってしまって頭打ちになっているのも事実だと思います。熱狂的なファンをもつ一方で、それなりに不満が出てきたり飽きてきたりしている層もいるはず。DRM フリー化によってもう少し機器や配信サービスの選択肢に自由度が出てきて、市場にも再び健全な競争が生まれてくれると、ユーザーとしても面白いんですが――というのは、久々に面白い「はず」の iPhone に国内発売予定がなく、新しいデバイスに飢えている日本人だから感じることなのでしょうか。

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました