2Sでも3でもHDでもない、2048×1536ドット液晶LTE対応の新iPad発表
新しいiPadまとめ:第3世代iPadは何が変わったのか?
新しいiPadとiPad2と初代iPadのスペック比較表
出る出ると言われていた Retina Display 搭載の新型 iPad が正式発表されました。
スペックは完全に予想の範囲内。特に驚きはないですが、実物を見た人からは「スペックだけを見ているより、Retina Display の映像を一度見たらガラッと印象が変わる」というような声も聞かれるので、そのあたりは早く現物を見たいところ。確かに iPhone 4 の Retina Display を初めて見たときにも驚いたので、同種の驚きが大画面で訪れるなら、それはインパクトが強そうです。
それ以外に特筆すべきスペックはあまりないですが(LTE も国内の取り扱いが SBM だとまだ使えないし)、強いて挙げるならば A5X プロセッサでしょうか。CPU はデュアルコアのままながら、GPU がクアッドコア化(PowerVR SGX543MP4 らしい。PS Vita の GPU がこれを独自拡張した SGX543MP4+ なので、GPU パフォーマンスは近いことになる)されたことでしょうか。何がどの程度効果があるかは実物を見ない限り未知数ですが、昨年のイベント「本田×石野×西田 スマホ業界 楽屋裏トーク」でも「今後はコンピューティングパワーはクラウド側に置かれるようになり、スマートデバイスはクラウドのフロントエンド(UI)としての表現力が重要になるため、相対的に GPU の重要性が高まっていく」というような話がありましたが、まさにそういう流れを踏まえてのことだと思います。世にあるほとんどの PC の画面解像度を超えるディスプレイを制御するためにクアッドコアが必要だったという側面もあるでしょうが、今後の iOS のロードマップには、グラフィック周りをより有効活用する仕込みがされている可能性は高いでしょう。
ただ今回は発表前にせよ発表後にせよ思ったほど盛り上がっていないように見受けられるのがちょっと気になります。Twitter 等で私がフォローしているあたりではそれなりに話題になっていましたが、Apple の新製品が出るときはいつももっと盛り上がっているので・・・。どちらかというと、iPad そのものよりも今日から iOS 5.1 で提供開始された日本語版 Siri のほうが話題になっているという。やはり、iPad をもってしても、日本ではまだまだタブレットはキャズムを超えていない、ということなのでしょうか。
私個人としては、2 年前に初代 iPad が発表されたときに、これは家庭内でのコンピュータの使い方が変わるかもしれないなあ、少なくともリビングでは PC を使わなくなりそうだなあ、と思って発売日に買い、その予想通りリビングではほとんどのシチュエーションでタブレットしか使わなくなりました。結果、それまではノート PC でリビングでやっていたようなことのうち、逆にクリエイティブな作業(こうやって長文を入力することも含む)は画面が大きくてキーボードも打ちやすいデスクトップ PC を使うことが増え、それまでは電源を入れる頻度すら下がる傾向にあった自作機の復権に繋がりました。去年、しばらく放置していた自作 PC のケースを久々に買い換えたのも、それがあったからだと言えます。
ということで、個人的にはタブレットは人とコンピュータの向き合い方を変える可能性を持ったデバイスだと思っているわけですが、従来の「単に画面がでかいスマートフォン」の域を超えられていなかったものから、ディスプレイの表現力がより紙に近づいたことによって、この新 iPad がタブレットの可能性をより解りやすく人々に示すようになるのではないか、とは思っています。
ウチの初代 iPad は最近さすがに機能・性能的に物足りなさを感じることが増えてきましたが、私も家族もむしろ Android タブレットに慣れてしまったので、この新 iPad に買い換える予定は今のところありません。でも、とりあえずそのディスプレイの実力については、できるだけ早いうちに体験してみたいですね。
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