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VULKANO FLOW を試してみた

ネットワーク経由でテレビ視聴ができるデバイス、「VULKANO FLOW」を試用する機会に恵まれたので、帰省のついでに試してみました。

Monsoon Multimedia / VULKANO FLOW

外出先で自宅のテレビ視聴ができるデバイスといえばソニーのロケーションフリーがありましたが、サポート外になって久しいし、今となっては Android や iOS に対応していないので、現実的ではありません。ロケフリに相当するデバイスは現在ではこの VULKANO FLOW か Slingbox かという状況ですが、価格的には VULKANO FLOW のほうが手を出しやすい。そんなわけで、自宅への導入も視野に入れて、試させていただきました。

かなり特徴的なデザインをしている筐体ですが、天面の網目は本当にメッシュになっていて、上から見ると向こう側が透けて見えます(笑。というか、よく見るとこの筐体、基板が入っているのは一部のみで、中身がスカスカ。後述する接続端子の設置スペースや稼動時の放熱を考慮してこう言う構造になっているんだと思いますが、それにしても驚きます。


背面には、ビデオ(RCA)およびコンポーネントの入出力端子がずらっと並んでいます。最近の国内の AV 機器はずいぶん HDMI 化が進んだので、これだけアナログ端子が並んだ機器は久しぶりに見たような気が。だってこれだけ端子があるのにそれぞれ 1 系統しかないんだぜ・・・?
私は手元にあったコンポーネント-D 端子ケーブルで BD レコーダに接続しました。

本機のネットワークは Wi-Fi(IEEE 802.11n/2.4GHz)にも対応していますが、1000BASE-T の Ethernet ポートも備えています。

側面には USB ポートと RSVD と書かれたボタン(Reserved だと思われる)がありますが、これらは何に使うのかは不明。サービス用途なのか、ファームアップで HDD を接続できるような予定があったのか・・・?

底面のプラスチックはこんな感じ。表面にはシボが入れられていますが、あからさまに「底面は体裁面ではない」という割り切りなのか、成型に気配りがありません。VULKANO FLOW は、こういうところからアメリカっぽさを強く感じる製品です。

これは付属の IR ブラスター(ソニーでいうところの AV マウス)。この発光部をレコーダの赤外線受光部の近くに置いてやることで、リモートでのリモコン操作(なんか言い方が矛盾している)が可能になります。2 個ついているのはどういうことでしょうか・・・

で、ここからがポイントなのですが、VULKANO FLOW の国内流通はアイ・オー・データが代理店を務めています。しかしアイ・オー・データブランドではなく、マニア向けの「挑戦者」ブランドとしての販売であり、基本的にはノーサポートでの販売となっています。で、クライアントアプリも英語版のみという。
ただ、並行輸入品ではなくアイ・オーからの正規購入品であれば、ioPLAZA の店員さんが作成された日本語マニュアルをダウンロードして読むことができます。手作り感満載ではありますが、分かりやすく親切なマニュアルなので、これならそれほどスキルが高くない人でも使えそうだと感じました。

英語のみといってもそれほど難解な UI ではないので、ロケフリを使ったことがある人であれば知っている単語と勘でだいたい使えてしまうんじゃないでしょうか。上の画像は映像の配信品質の設定画面で、ビットレートはローカルネットワークでの接続時、リモート(WAN)からの接続時で設定を分けておくことができます。また動画の解像度は D1(720×480)までの範囲で設定が可能。

ソフトウェアリモコンの設定画面。本体の赤外線受光部にレコーダのリモコンの信号を送って、それをソフトウェアリモコンのどのボタンに割り当てるか、を一つ一つ手作業で登録します。プリセットも一応あるんですが、米国の製品が中心なので日本のレコーダには非対応と考えたほうがいいでしょう。

ちなみに、マニュアルと同様に正規ユーザーであればアイ・オーが提供する国内メーカーのレコーダのリモコン設定ファイルをダウンロードして使うことができます。
が、これも対象機種が限られていて、ソニー製レコーダであれば 2010 年秋モデル以降の設定ファイルしか用意されていない模様。まあリモコンコードなんてそんなにしょっちゅう変わるものでもないので、ダメモトで BDZ-AX1000 の設定ファイルを読み込ませてみたところ、ウチの BDZ-X95(2008 年秋モデル)でも多くのボタンがそのまま使えました。ただ何故かカーソルキーの下ボタンにだけは反応しなかったので、個別に上書き登録が必要でした。

これがソフトウェアリモコンの UI。もうちょっとデザインなんとかならんかったものなのか・・・(´д`)。

これが実際の再生画面。VAIO Z1(13.1inch、フル HD パネル)で表示させた画面キャプチャを便宜上リサイズしたものです。コンポーネント接続で 720×480 の解像度なので、D1(480i)相当の画質だと思いますが、RCA ではなくコンポーネントで繋いだおかげか想像していた以上にキレイで驚きました。13inch クラスのモニタで見たからで、これが例えば 15inch クラスのノート PC だったらもう少し評価は違うかもしれませんが、ワイヤレスで、しかも家の外から観るのであれば十分すぎるくらいにキレイだと思います。

アニメだとこんな感じ。BS の HD 放送の映像で、SD に落とされてはいますがそれでもヘタな DVD より高画質です。これはいいわ。ロケフリだとビデオ/S ビデオ入力しかないので画質は正直厳しい部分もありましたが、こちらはコンポーネント接続すればほぼ不満がないと言っても良いレベル。

ちなみに外出先からの接続の場合、この手の機器だと一般的にはダイナミック DNS を使って自宅にアクセスするようなものが多いですが、VULKANO FLOW の場合はローカルネットワーク内で機器認証をしてしまえば、その機器の情報が Monsoon Multimedia が持っているサーバ(と思われる)に記憶されるので、以降はネットワークの設定さえ変更しなければ、外出先からでも機器名だけでアクセスできてしまいます(その代わり、機器名はおそらくインターネット上に存在する VULKANO の中で一意になっていなくてはならないと思われます)。この「ローカルで一度つなげておけば、外出先での接続設定をあまり気にしなくてもいい」というのは、ユーザビリティとしてはとてもよくできていて、感心しました。

ビットレートはだいたい 1.2~2.4Mbps くらいで、画質的にも外出先から観るには十分、それでいてコマ落ちもほぼなし、というなかなかの安定性。これはいいんじゃないでしょうか。ただ、私が使っている環境は基本的に WiMAX か外出先の Wi-Fi なので、3G 回線だったり海外のネットワーク環境ではまた状況は違うかもしれません。
また、西田さんも記事中で書かれていましたが、コマ落ちを防ぐためにバッファを大きめに取っているのか、ソフトウェアリモコンからの操作に対するレスポンスがよろしくおないのが残念です。ボタンを一つ押してから数秒のラグがあるので、せいぜいコンテンツの選択→再生くらいしか操作する気が起きません。観たいものが決まっていて、外出先からそれを観るだけであれば十分でしょうが、ザッピング的に使うのには向いていないでしょうね。

今回は短期間の使用に過ぎなかったので、無料で使える PC 用クライアントアプリしか使いませんでしたが、これがあればスマートフォンやタブレットで外出先から自宅の BD レコーダに録画した番組を観る、というのに重宝しそう。スマートフォン/タブレット用のクライアントアプリは有償ですが、本気で使うなら全然高い値段ではありません。
ソニーのロケフリは今やサポートの切れてしまった Windows 版アプリしか使えず、最近のスマートフォンやタブレットにはどうやっても対応できませんが、VULKANO FLOW はロケフリを置き換えて余りあるポテンシャルを秘めていると言えそうです。

アプリが英語しかなかったり操作のレスポンスが遅かったり、万人向けの製品とは言えませんが、そこを理解して使える人なら重宝するんじゃないかと思います。
ちなみに Amazon での取り扱い分は並行輸入品のようで、アイ・オーから日本語マニュアルやリモコン設定ファイルの提供が受けられないので、注意が必要です。

Monsoon Multimedia / VULKANO FLOW

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