『となりのトトロ』の BD がようやく発売されたので、私ももちろん購入しました。
DVD も持っているんですが、さすがに DVD の普及初期(2001 年)の発売なので、HDTV で今観ると画質的にはかなり厳しい。エンコード技術やプレイヤー側の再生時補間技術の向上で、DVD でも最近発売されたものはパッと見で HD 画質なんじゃないかと錯覚するくらい高画質なものも少なくないですが、逆にそういうのに見慣れてしまうと、画質が気になって楽しめないレベルだと思っていました。
加えて、ここ 4~5 年の間に娘たちに雑に扱われたせいで、DVD の盤面自体やトールケースもけっこう痛んできていて、BD の発売を心待ちにしていました。
ちょうど先週、BD 発売の販促を兼ねて日テレの地上波で放送されていたので、その録画も併せて画質比較しながら鑑賞してみました。視聴環境はちょっと古い機材ばかりですが BRAVIA KDL-46X5050+BDZ-X95 です。
まずは DVD。子どもたちのおかげでもう合計 100 回は観て、ほとんど全台詞を暗記してしまったというくらいに見慣れた画質です(´д`)。輪郭がぼやけた線の太い描写で、ところどころエッジがゴーストのように二重に見えていたり、偽色っぽいものが見えていたり、そもそも映像の周囲に黒枠が表示されていたり、なんとも残念な画質。今までは「古い作品だから仕方ない」と諦めていましたが、ナウシカやラピュタの BD の高画質を見せつけられると、これも早くなんとかならないかなあ、とずっと待っていました。
これが先週の日テレ『金曜ロード SHOW!』の画質。去年くらいまでの放送では SD ソースのアプコンというのが明らかに判る画質でしたが、今回のは全体的に線がパキッとして、明らかにマスターから HD 化されたんだろうなという解像感になっています(確か、番宣でも「史上初の超高画質放映」とか何とか言っていましたね)。
見るからに DVD よりも高画質ですが、全体的にフィルムのグレインらしきザラザラが気になる画質で、ちょっと集中しては観ていられないのが辛いと感じます。このザラツキは暗部よりも明部に顕著で、サツキとメイが活き活きと走り回るシーンでこそ気になる・・・というのが非常にもったいない。
そしてこれが BD の画質。地上波と同じソースかどうかは判りませんが、ビットレートの違いからくる解像感の差は明らかで、輪郭はくっきり、セル画の重ね具合が画面から読み取れるほどです。ジブリの BD 制作の方針か、ナウシカやラピュタと同様にフィルムのグレインはあえて残してあるような質感ですが、地デジ版のようなザラツキではなく、あくまでフィルムの質感が伝わってくる程度のグレイン感。色調が地デジ版とは明らかに違って BD のほうがグッと落ち着いた彩度・コントラスト感なので、地デジのほうは放送時の画質調整で彩度・コントラストを強めた結果、同じマスターを使っていてもグレインが悪い方向に強調されてしまったのかな・・・と推測します。
ソースが古いので、いずれにしても近年のデジタル制作のアニメのようなクッキリハッキリした画質にはなりませんが、24 年前の作品であることを考えれば、十分以上に満足できる画質だと思います。
ただ、これもジブリの方針なのか、フィルムの揺れはあまり修整されていないようで、注意して観ると画面が細かく揺れているのが高画質になったぶん逆に気になります。贅沢かもしれませんが、HD 画質に慣れてしまった身としては、もうちょっと修整してくれても良かったのに、とは思います。
ちょっとだけ映画の中身の話をすると、かれこれ 100 回は観たこの作品を観るたびに思うのは、この映画の中のおとうさんの父親像。サツキの「(トトロに)また会える?私も会いたい!」に対して、おとうさんが「そうだな、運がよければね。」だったり、メイの「おとうさん、明日、芽でるかな。」に対して「そうだなあ。トトロなら、知っているんだろうけどな。」だったり。自分だったら、きっとそこで「そうだね、良い子にしてたらね」と親の都合を押しつけてしまうであろうところで、それをしない父親像に、毎度、このおとうさんには絶対勝てないなあ、と思わされます。まあ、それは子どもに対してだけではなくて、おかあさんの「今、そこの松の木で、サツキとメイが笑ったように見えたの」に対する「案外そうかもしれないよ」であったり、そういう「物事をワクにはめずに、あるがままを受け入れる」みたいな生き方そのものから来るのかもしれませんが。
娘たちは明日から夏休みに入りますが、そんなことを考えながら、またトトロの BD を観たいと思います。でも、雑に扱われるのはイヤなので、私がいないときは今までどおり DVD で観させるようにしよう(笑。
コメント
嫁ぎ先に不満があるとすれば、時間にルーズなことよりも、ちゃんとケースに正しいディスクを入れないことです。おかげさまでDVDはすでに行方不明w