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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語 @チネチッタ

レイトショーで観てきました。

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語

単なる総集編なら用はないなあ…と思っていたんですが、先に観に行った方々の評価が比較的高かったので、観ておこうと思って。

先に結論から言ってしまうと、少なくとも今回の[前編]はテレビ版の総集編にすぎませんでした。全 12 話ある中の 1~8 話を約 2 時間の尺で再編集したストーリーで、新たなエピソードは特にありません。なので、ストーリー重視な人であれば、特に観る意味はないかと。ただ、作画は全編にわたって描き直されていて、映画館のスクリーンで観ても十分すぎるほどの密度のある画で、圧倒されたのは間違いありません。テレビ版は毎週放送というスケジュール的なものもあってかスカスカな作画で、BD/DVD リリースにあたっては大幅な修整が加えられたというのは有名な話ですが(ただ私は BD/DVD 版は未視聴)、Web 上に散らばっているそれら TV/BD 版の比較検証画像とも違うレベルでの修正が施されています。
あとは、単なる作画修整にとどまらず、「テレビ版からさらに 1~2 回ループした時間軸の物語」というコンセプトで、設定が少しずつ変わっている(さやかの髪飾りだったり、杏子が口にする食べ物だったり)のも、ディテールをチェックしたがるファン心理を突いていると言えます。


ただ、改めてつなぎ合わされたストーリーを観てみると、テレビ版は「正味 20 分×12 週」というフォーマットを計算し尽くした上で作られた脚本と演出だったのだな、ということを改めて感じました。毎回、時間いっぱいのところで新たな事実が明らかにされ、次回が気になる…という構成は、エアチェック BD で一気見した私でも、OP/ED が挟まることで緊張感を駆り立てられたので、リアルタイムで観ていた視聴者にはどれほどだったか。その点、この劇場版は一定のテンションが続くので、テレビ版よりも凝縮されたストーリーながら、気分的に中だるみを感じるところはありました。
ただ、既にネタバレしていることを逆手に取ってか、テレビ版で重きを置いていた「謎を少しずつ明らかにしていくこと」にこだわる必要がなくなったぶん、この物語の主人公たる少女たちの心理面がフォーカスされるようになったのが劇場版のポイントだと感じました。少女たちの基本的な台詞はテレビ版から変わっていないにも関わらず、映像や音楽の演出によってそれぞれの心境の変化や悩み、喜び、悲しみがより強く表現されています。言い方を変えれば、スタッフのそれぞれの魔法少女たちに対する愛がストレートに表現されているというか(笑。

今週末に封切られる『[後編]永遠の物語』は、残り 4 話分のストーリーを 2 時間で再構成するということで、[前編]ではほとんどなかった新たなシーンがいくつか追加されていることが考えられます。テレビ版を観ているなら、人によっては[後編]だけ観れば十分、ということもあるでしょう。まあテレビ版が「何も足せない、何も引けない」完成度だったので、むしろ何かが足されてしまうことに対する恐怖感はありますが、同時に楽しみでもあります。

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