かなり乗り遅れ感はありますが、話題になっていたこの作品を私もようやく観てみました。
しかも GW 中に最初から最後まで 2 回通して観てしまったくらいツボに入ったという(笑。
意外に思われそうですが、私はそんなにアニメ好きというほどではないので、ガンダム系とジブリ以外はあまり新作を追っかけていないのです。エヴァ(テレビ版も新劇版も)やマクロス F も、途中から人に勧められるなり強引にビデオを貸されるなりして観たのがきっかけ。
最近では Twitter や blog のおかげでこういうものの情報が求めなくても入ってくるので、以前に比べればアニメを観る機会は増えました。が、この作品に関しては当初「大きいお友達向けのプリキュア的なもの」くらいのイメージしか持っておらずスルーしていたところ、主に Twitter 上で普段それほどアニメの話をしない人までも巻き込んだ話題になっていたので、徐々に気になってきていました。
で、観てみたら・・・面白いじゃないですか!こんなの絶対おかしいよ!!(ぉ
内容や考察については感想リンクのまとめや Wiki でもう散々語られているので省略しますし、あのラストについても賛否両論だろうとは思いますが、個人的にはある程度しっくりいく締め方だったかなと。
少しだけ内容に触れておくと、タイトルにこそなっていますが少女たち自身が「魔法少女」であることはテーマではなく、人の「希望」と「絶望」について描かれた話だったと理解しています。主人公がピンチになったからといって奇跡が起きるような少年誌的展開はなく、きちんと辻褄が合う話(ま、最終回のアレはいろいろ解釈もありますが)。願いを叶えるには相応の対価が必要、という話はなんか『鋼の錬金術師』に似てるなー、と思ったら、調べてみるとどちらもゲーテの『ファウスト』を下敷きにプロットされた物語だったと知り、合点がいきました。
私は「最終回に主人公の特殊能力でみんな解り合え、病気や怪我や争いごとも万事解決ハッピーエンド!」みたいなご都合主義は嫌いで、ややダークな切り口、敵味方もきっぱり分かれておらず、かつ終わりも「必ずしもハッピーエンドじゃないかもしれないけど、見方によってはハッピーエンド」みたいな話が好きなんだろうと思っています(たぶん、つまりダークヒーローやダークファンタジー好き)。なので、脚本は私にどストライクでした。
個人的には、この作品は全体の構成と一つ一つの台詞が非常に秀逸だったと感じました。話題になる作品といえば、多くは伏線っぽいものをたくさんばら撒いておきながらその多くが「雰囲気作り」にすぎず、最後まで回収されないという、「風呂敷を広げるだけ広げて畳まない」ことも少なくありませんが(逆に回収されないからこそ解釈の余地がある、という見方もあるでしょうが)、この作品ではそのほとんどをきっちりと回収して・・・というよりもむしろ最終回を起点にそれまでの内容・台詞・演出・小道具に至るまでを全て計算ずくで配置したかのような緻密さを感じました。こういう作り込みが細かいところもまた私の好み。2 回目を観ると「この演出はこういう意味だったのか!」という発見がものすごく多くて驚きます。
また、ある部分は分かりやすく、ある部分はマニア向けの謎解きにすることによって、間口の広い作品になっていると思います。が、「ゆるめのキャラデザインで典型的な魔法少女フォーマットに見える」という企画そのものが本作の間口を狭めているのは、皮肉としか言いようがありません。
ということで、もし私のように先入観だけでスルーしている人がいたら、これは観たほうがいいですよ。
私はどうするかなー、『ファウスト』読むかなー。でも古典文学苦手なんだよなぁ(´д`)。
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