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マネーボール [Blu-ray]

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先日『人生の特等席』を観てから、冬休みの間にクリント・イーストウッドの他の作品も観よう、と思っていたんですが、松井秀喜引退のニュースを見たら、そういえばこの映画も観たいと思ってたんだった、というのを思い出して、BD で鑑賞。
ブラッド・ピットの主演映画は派手なばかりで内容が薄い(と思われる)作品が多く、意識的に避けていたんですが、これは観たいと思って『トロイ』以来の視聴となりました。

2001~2002 年頃のメジャーリーグ:オークランド・アスレチックスを題材にした同名のノンフィクション書籍に基づいた映画化で、2002 年のア・リーグ新記録となる 20 連勝達成は、普段 MLB を観戦しない私でもまだ記憶に新しいところです。これを成し遂げたチーム作りが、大物選手の獲得でも有名監督の起用でもなく、確率と統計に基づいたチーム作りと運営、というのがこの物語のキモ。データ中心のスカウトよりも経験と勘に基づいたスカウトを、というのが『人生の特等席』の物語の起点となっていましたが、この『マネーボール』とはまさに対極にある考え方と言えるでしょう。実際、本作に登場したアスレチックスのスカウトマン達は、『人生の特等席』に登場したスカウトマン達とそっくりだったと言っても過言ではありません。まあ、『人生の特等席』のほうはその理論の正しさは要点ではありませんでしたが、本作はノンフィクションだけに「そういう考え方で作られたチームがどうなったか」の結果まで見せているという点で、そもそもの話の作りが全然違うわけですが。


この映画、前半はけっこう淡々としているし、新しいチームができてもなかなか勝てないし…で正直半分ほどはつまらなかったのですが(ぉ)、1 時間を過ぎたあたりからだんだん面白くなってきました(笑。GM のビリー・ビーン(ブラッド・ピット)がチームに対するある決断をし、チームが機能し始めてからの変わりっぷりに引き込まれたというか。むしろ、その落差をつけるために前半はあえて抑えていたんじゃないかと思えるくらい、後半が面白かった。単なる理論ではなくて、もと選手としての情熱を呼び覚まされ、自らが積極的に選手たちに関わるようになっていくくだりがあってこそ、観る側としても感情移入できたのでしょうが。

観ていて感じたのは、この映画のテーマはプロ野球チームの運営をどうするか?という狭い世界の話ではなくて、経営やマーケティングに一般化できる話を描いているんだろうな、ということです。扱っているデータは野球における各選手のデータや確率論ですが、扱っているデータが違うだけ。経験と勘に基づく企業経営やマーケティングではなくて(もちろんそれがうまく機能する場合も少なくないけど)、理論とデータに基づいた科学的なマネジメントを行うことで、中長期的な勝率を高めていくことができる、ということです。それと、経営においては部下のモチベーション・マネジメントが目標達成のためのパフォーマンスを発揮させる上でいかに重要か、ということ。最近私自身が抱えているモヤモヤを晴らしてくれる話だったので、そういう意味でも共感が持てる作品でした。
個人的には、映画の話そのものよりもむしろ「では具体的にどういうロジックでチームが作られ、運営されているのか」ということのほうに興味を持ったので、これは原著のほうを一度読んでみても面白いかもしれません。私が野球チームを経営することはないでしょうが(笑)、勝率を高めるための考え方・組み立て方、というのは参考になりそうな気がします。

コメント

  1. S より:

    私もWOWOWで放送されていたのでこの年末にみました。

    昨年映画公開前にReaderで読んでいたんですが
    原著をほぼそのまま映像化している感じです。
    おっしゃるとおりで確率論の解説にページを割いている印象です。

    経験と勘に頼らず確率論で、というのはとてもすっきりした
    気持ちになる反面、野球とかってファンは夢を持って見ているので
    その兼ね合いもあるんだろうなぁ、とは思いました。

    あとF1ってこうした確率論がすごく進んだスポーツなんだ
    ろうなぁ、とも。

  2. B より:

    お、WOWOW でやってたんですね。
    確かに確率と統計に基づいて作られたチームは華がなさそうに思える反面、アスレチックスの 20 連勝はハッテバーグ(出塁率を見込まれて起用された、捕手から一塁手に転向した選手)のサヨナラホームランによって達成された、と考えると、ドラマチックでないことは全くないと思いません?
    F1 も確かに確率と統計とシミュレーションの極致みたいなスポーツですよね。そんな世界でも「7 戦で 7 人の異なる勝者」が生まれるんだから、スポーツって面白いんだと思います。

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