イギリスGP決勝 ハミルトンが波乱のレースを制し地元優勝を果たす
ロズベルグが 29pt リードで迎えた伝統のイギリス GP。このままシーズンがロズベルグの流れになるか、ハミルトンが反撃の狼煙を上げるかの分かれ目になると言えたレースでしたが、予選の雨が波乱を呼びました。
予選 Q1 は雨、出走のタイミングの関係で何とウィリアムズとフェラーリが Q1 落ち。そしてマルシャの 2 台が Q2 に進むという、驚くべき結果となりました。マルシャはさらに Q3 進出の一歩手前(ビアンキが 12 番グリッドを獲得)という番狂わせ。まあ、ビアンキは若手の中でも実力のあるドライバーですし、昨年パット・シモンズが作り上げたチームの地力が高まってきてテールエンダーから脱しつつあるとはいえ、これにはさすがに驚き。
そして、PP ロズベルグとハミルトンの間にはヴェッテル、バトン、ヒュルケンベルグ、マグヌッセンの 4 人が入り、ハミルトン 6 番手。これも Q3 中のピットインタイミングの読み誤りが原因ですが、これで今回もロズベルグのレースになり、シーズンの流れを決定づけるのかとこの時点では思っていました。
が、決勝は予選以上に波乱の展開に。スタート直後の混戦でライコネンがコースアウト→スピンし、その事故にマッサも巻き込まれる形で 2 台がリタイア。その後 1 時間以上の赤旗中断を挟んでレースが再開するわけですが、中断した時点で 4 位までポジションを上げていたハミルトンが、リスタート後に難なく 2 位にジャンプアップ。その後はいつもの 2 台のマッチレースになりました。
今シーズンここまでの流れからいくと、メルセデス W05 同士であれば基本的には前を走っているほうが空力的に有利でなかなか抜くことは難しく、また信頼性の問題から本気のバトルはさせないチーム方針であることも考えると、このままの体勢でゴールまで進むのか、と思いました。が、中盤にギヤボックストラブルでロズベルグが突然のスローダウン!そのままリタイアとなり、ハミルトンがロズベルグとの差を一気に 25pt 詰める結果になりました。
いやあ、前戦終了時点での 29pt 差が「1 レース無得点で終えても、まだトップを守っている状態」とは書きましたが、それが次戦でいきなり 4pt 差にまで縮まるとは。これこそがレース、何が起こるか判らないものです。
特に、今季はここまでハミルトンの側にトラブルが発生する率が高く、ロズベルグは比較的トラブルフリーで来ていたのが、ここに来ての単独トラブル。こういうときに勢いに乗るのがハミルトンというレーサーだし、こういう展開に焦りそうなのがこれまでのロズベルグのキャリア。ロズベルグのホームグランプリとなる次のドイツでハミルトンが勝ったとすれば、大きなアドバンテージを築くことができそうです。二人の心理戦、という意味では、実に面白い状況になってきました。
今回は 2 位以下のバトルもなかなか熱かったですね。前戦で初表彰台を獲得したボッタスが、自身の最高位を更新する 2 位表彰台。3 位にも今季気を吐いているリカルドが入り、今後この二人は表彰台の常連になっていきそうな気配を感じます。残念ながら母国でのポディウムはならなかったバトンも、なかなか速くならないクルマ(空力の良し悪しもあるけど、他のメルセデスユーザーとは違ってメルセデス側から必要な技術提供やソフトウェアアップデートを受けられていない、という話も聞きます)で健闘し、4 位フィニッシュ。5-6 位のヴェッテルとアロンソの鍔迫り合いも熱かった。最終的にヴェッテルが勝ったとはいえ、アロンソらしい「いやらしい」(誉め言葉)ブロッキングでヴェッテルを翻弄しました。が、接触すれすれでありながらもクリーンでレベルの高い丁々発止が見られたのは、現役最高のドライバー二人のバトルであったからこそと言えるでしょう。
現代的なティルケサーキットもいいけど、やっぱりレースはドライバーの力量が問われるクラシカルサーキットや公道サーキットが面白いんだなあ、というのを改めて実感したイギリス GP でした。
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