F1アゼルバイジャンGP決勝レポート:SC2回出動の大波乱。ハミルトン大逆転優勝、レッドブル同士討ち、トロロッソ・ホンダはハートレー10位入賞
今季は春開催に移されたアゼルバイジャン GP は公道コースらしい大波乱のレースになりました。
まず予選はフェラーリがまさかの三戦連続 PP。開幕戦以来メルセデスに予選首位を明け渡しておらず、マシンの速さではもはやメルセデスに圧倒的優位はないことを証明しています。そしてまたしてもライコネンがあわや PP という予選アタックを見せ、今季「乗れている」ことを示してきました。チーム戦略や不運もあってここまで勝てていませんが、歯車さえ噛み合えば今季は何勝かしてもおかしくないんじゃないですかね。
決勝は、中盤までは上位陣に大きな入れ替えもなく落ち着いたレース。むしろ中団の激しい順位争いに注目が集まっていましたが、最後のピットストップから急に慌ただしいレースに変貌しました。序盤からずっとやりあっていたレッドブルの二台がまさかの同士討ち!2010 年のトルコ GP(ヴェッテルとウェバーの同士討ち)を思わせる瞬間でした。チームによると「喧嘩両成敗」という処分らしいですが、映像を見る限りではオーバーテイクを仕掛けられているのに二度もレーンチェンジをしたフェルスタッペンに過失があるように思えました(F1 ではレギュレーション上、ブロックのためのレーンチェンジは一度までと定められている)。近い将来のチャンピオン候補とみられているフェルスタッペンですが、こういう無茶を続ける限りその資格はないと思うなあ。またレッドブルとリカルドは来季の契約を巡って微妙な関係にあるタイミングですが、今回の事件が今後の判断に影響を与える可能性もあります。個人的には、来季レッドブル・ホンダになるのであれば今の二人に乗ってほしいところではありますが…。
この事故を契機にセーフティカーが導入され、その SC ラン中にグロジャンの単独クラッシュでさらに SC が長引いたこともあり、最後は残り 4 周の超スプリントレースに。SC が入るタイミングでうまくピットインしていたボッタスがヴェッテルから首位を奪ったままでのリスタートに対して、ヴェッテルがターン 1 のブレーキングで勝負を仕掛けるものの失敗。コースアウトして順位を下げ、タイヤにフラットスポットを作ってしまったこともあって最終的には 4 位でゴールしました。これで楽になったボッタスが悠々トップチェッカーを受けるかと思いきや、50 周目にコース上のデブリを踏んでタイヤがバースト、そのままリタイアという大波乱。その時点で 3 位以下だったハミルトン、ライコネン、ペレスの順にポディウムに上がるという結果に。
ハミルトンは棚ぼたでようやく今季初勝利。ポイントランキングでも首位に躍り出ました。順当にいけば今回はボッタスかヴェッテルのレースだったわけで、ハミルトンが実力で勝ったわけではありませんが、それでも勝ちは勝ち。こういうところからでもリズムを取り戻してくるのがチャンピオン経験者の強さなわけで、もしかしたらこれをきっかけにまた勝ち始めるかもしれません。次は「第二の開幕」でもあるスペイン GP、各チームのマシンアップデートも出揃って勢力図が塗り替えられるレースでもあるだけに、チャンピオン争いはハミルトンとヴェッテルが 4pt 差で再スタートを切ることになります。
トロロッソは…予選から決勝まであまり良いところがありませんでした。まあ苦手な公道コースだしストレートは長いし、ある程度予想がついていた流れではあります。しかも予選ではあわや同士討ちというニアミスもあったし、経験の浅いドライバーのコンビであることの弱点が中国から続いている印象。PU もデプロイが足りず、マシンセットアップも決まり切らない良いとこ無しのレースでした。ハートレーが 10 位でキャリア初入賞したのも上位陣が続々リタイアした結果にすぎません。ガスリーが 4 位に入ったバーレーンが出来過ぎだったのは確かですが、もうちょっと結果に結びつけてほしいなあ。
一応、次のスペインは二人ともテストで走り込んでいるしデータも豊富なので、歯車が噛み合ってくれる可能性は高いと言えます。まあ、それは他チームも同条件なわけで、そんなに甘くはないのでしょうが…。
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