今季の F1 ヨーロッパラウンドの開幕戦(といっても次は北米マイアミに飛ぶけど)であるエミリア・ロマーニャ GP。フェラーリのルクレールがチャンピオンシップで圧倒的優位に立って迎えたグランプリ、果たしてレッドブルの反撃はなるか…と思っていたら序盤戦の状況が嘘のようなレッドブル完勝。フェルスタッペンは予選 PP・優勝・全ラップリード・ファステストラップのグランドスラムに加え、スプリントレース優勝と決勝での 1-2 フィニッシュ、さらにドライバーオブザデイというおまけまでついてきました。レッドブル的にはこのグランプリで獲得可能なほぼ最大ポイント(59 ポイント中の 58 ポイント)をゲットし、フェラーリとの差を一気に詰めてみせました。ドライバーズランクはまだ簡単には逆転できないものの、オーストラリアを終えた時点での絶望的な点差を考えると振り出しに戻ったくらいの感覚があります。
フェルスタッペンがこの週末で唯一犯したミスはスプリントレースでのスタート失敗のみ。それでもスプリントではずっとルクレールの 1.5 秒後方につけてルクレールの動きを観察し、F1-75 のタイヤもちが RB18 に劣ることを見極めると終盤に完璧なオーバーテイク。昨年までなら少し強引に抜きにかかっていたところ、落ち着いて抜きどころを見極めるようになったのがチャンピオンを獲って成長した証でしょうか。決勝は逆に危なげなくスタートを決め、ルクレールをペレスが抑えてくれたこともあって全く危なげのない勝利。ようやくマックスのチャンピオンらしいレースが見られました。
しかし今回良かったのはマックス以上にチェコ(ペレス)ではないでしょうか。今季のペレスはフェルスタッペンを凌駕するペースを見せる場面も増え、RB18 が自分向きのマシンであることを理解しています。金曜予選こそウェットコンディションの妙で 7 位に沈んだもののスプリントレースできっちり 3 位に上げ、決勝ではスタートでルクレールを出し抜いて 2 位。そこからはルクレールをずっと「抜けそうで抜けない」位置関係にキープし、フェルスタッペンとのギャップを確保しました。最後にルクレールがミスして自滅したのは、この「抜けそうで抜けない」が巧かったからだろうなあ。ペレスがもう少しペースを上げて逃げていたら、ルクレールは安全に 3 位キープすることを選んでいたに違いありません。個人的には、日曜日のドライバーオブザデイはペレスか後述する角田裕毅にあげたかったところ。
その角田裕毅。予選こそトラックコンディションが改善しつつある中でタイムアタックを早々に切り上げるというチームの戦略ミスによって Q1 敗退の憂き目に遭いましたが、それでもガスリーより前の P16。スプリントレースではスタートを決めてポジションアップし、それ以降はメルセデスの二台と同等のペースで走って P12。決勝はスタート直後の混乱をうまく切り抜け、ずっと入賞圏内を走っていましたが後半にオーバーテイクを連発して P7 フィニッシュ。うまくタイヤを温存して終盤にペースを上げる余裕すら見せていました。今回の走りはリザルトだけ見れば昨年の最終戦アブダビ(P4)に及ばないものの、内容でいえば彼の F1 でのベストレースと言って良いのではないでしょうか。オーバーテイクも無理なく、計算づくで一発で抜いていく。まるで F2 時代終盤のような、レース全体がちゃんと見えているベテランの如き走りだったと思います。これでドライバーズポイントも再びガスリーを上回り、こんなレースを続けていければシーズンを通してガスリーに勝つことも現実的なゴールとして見えてきます。昨年のクラッシュから考えると、見違えるほどに成長したことは間違いない。
二週間前にオーストラリア GP が終わったときにはお通夜状態でしたが、今はレッドブルとアルファタウリ(特に角田)のシーズンがポジティブなものに見えています。次はまた二週間後のマイアミ、リアルタイム観戦はかなり辛いけど頑張ろう…。
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