「何なんだ、この佇まい…。江東区のバグダッドカフェ」
ドラマ『孤独のグルメ Season4』聖地巡礼、ここのところちょっと集中的に攻めています。今回は、昨夜放送されたばかりの第 10 話、江東区枝川にさっそくやって来ました。銀座のなじみ亭に続いて、放送後世界最速の聖地巡礼エントリーといきたいと思います!
この回の舞台「レストラン アトム」は、京葉線潮見駅から徒歩 10 分くらいのところにありました。越中島や新木場ならともかく、潮見なんて今まで降りる用事もなかった場所です。
東京湾岸の例に漏れず、このあたりも倉庫をはじめ首都圏の物流を支えているエリア。「アトム」は、付近のタクシー近代化センター指定レストランということで、劇中同様タクシーの運ちゃんに愛されている食堂です。
アトムって名前が面白い…一癖ありそうじゃないか。
ドラマを観たときの第一印象は「一人飯レベル 99 くらいじゃないと入りづらそうだな」というものでしたが、実際に行ってみると、店舗の佇まいは確かに独特ではありながらも、けっこう次々とお客さんが出入りしていて、それほど敷居は高く感じませんでした。
「一人なんですけど」と言いつつ店内に入ります。
こういうお店は基本的に空いていればどこに座ったっていいもので、俺はゴロー席が空いていることを確認すると、迷わずそこに腰を下ろす。
表のレストラン感を裏切る、この雰囲気。どっからどう見ても食堂だ。
なんて迫力がある厨房なんだ…今にもヒンズースクワットが始まりそうだ。
でも、ぶっきらぼうさの中に、得体の知れない美学を感じる。
どう向き合えばいい店なんだ…?
この店、ドライバーたちの水場。
タクシー運転手のオアシス。
厨房とホールの間にドアがない店舗なので、店主がこの入口と裏口を使って店の外を通って行き来するのが面白い(やってるほうは大変だと思いますが)。それも、かなりの頻度で出入りしているので、これ、もし万歩計つけてたらすごいことになっちゃうんじゃないのか。
問題のゲーム卓(笑。これ、脱衣麻雀らしいです。
ちなみに、私が店にいる間にプレイしているお客さんは一人としていませんでした(笑
メニューはこんな感じ。意外なほどのバリエーションの広さ。
壁に視力測定表が貼られているのは、やっぱり目が命の運ちゃん憩いの場だからだろうか。
見渡してみると、お客さん、ほとんど常連っぽい。
放送翌日なのに、巡礼者、私だけ(汗
私の斜め後ろの席のお客さんが、
「ナポリタン、コスモポリタン、ハンバーグ」
流れるようなリズム感で注文を入れていく。こやつ、できる。
俺も負けずに注文だ。
「えっと、ハムエッグにカツ皿、それに…」
まで言った瞬間に流れた(テレビ観て来た人だ…)という空気を、俺は見逃さなかった(ぉ
でも俺はできるだけ物おじせずハッキリという。注文を聞きかえされるのはやっかいだ。
「冷奴と、ほうれん草ください」
テーブルの上は、やっぱり食堂。
紙ナプキンだけレストランっぽいけど、三角ナプキン用のストッカーに四角い紙ナプキンを入れているのがかわいい(笑
ん~、意味不明な魅力があるぞ、レストラン アトム。
お~、きたきた、きましたよ。
いい。この景色、いい。しゃれっ気なし、質実剛健。
だが、どこかやさしい色み。
いただきます。
ハムエッグ。家じゃないところで食べると、なんだか新鮮。
黄身がプルプル。火の入れ方、絶妙。塩加減もちょうどいい。
うん、半熟たまごごはん、最高。
これがカツ皿。
いわば、カツ丼の台抜き。
うん、よしよし。教科書のようなカツ煮だ。カツ煮って、とんかつがダシでヒタヒタなのがいいんだ。
食べてみると、どこか、おふくろとかおばあちゃんのような、やさしい味。
肉も柔らかくていいけど、このダシのふくよかな風味が効いてるんだろうな。
カツって男の食べ物だと思うけど、これは男のコに戻っちゃうような、懐かしささえ感じるよ。
そして冷奴。
そう、冷奴はカドが立っていなきゃ。
ちゃんと作られた木綿豆腐のみっちりした食感と、大豆の味。
そこにほうれん草のおひたしだ。
何の衒いもないほうれん草だけど、このマジメな味がいい。
これこれ、こうでなくちゃ。
よし!今日の俺は、これだ。
島国の男の飯のど真ん中を、突き抜けよう。
カツ皿を半分ほど食べたら、残りは丼ごはんの上にドカッと乗せて、かっ込んじゃう。
テレビを観ながら「なら最初からカツ丼頼めばいいのに!」と突っ込んだのは私だけじゃないはず(ぉ
小洒落たレストランで気取った料理をチマチマ食ったって、力なんて出るもんか。
こういう店で、こういうメシをモリモリ食ってこそ、働く男の力が湧いてくるんだ。
最後に残った黄味ひとつに、丁寧に醤油を垂らして、まるごとばくっ。
ちゃんと黄味を破いてから醤油を垂らすゴロー、さすが分かってるねえ。
う~ん、食った!
アトム堪能、10 万馬力充填。
なんだか、ばあちゃんちに遊びに行ったときに「今どきのもの作れんでごめんね…」と言いながら、できる範囲で私の好きなものをたくさん出してくれたのを思い出す、そんなメシだった。
さて…、
「レモンスカッシュください」
「はい。レスカ、ワン!」
おお、かっこい~…!
今日のオレメシ、ここだけがレストラン。
ストレートに酸っぱいレスカ、こういうの久しぶりだなあ。
劇中で藤原組長が演じていた一見コワモテの店主は、実際にはとても気さくな方でした。
予告編が流れてから既に巡礼のお客さんが来始めていたようで、「みなさん同じものを頼まれるから大変で…」とか、笑顔で話してくださったのが印象的でした。
人生で、これだけタクシーの運ちゃんに囲まれて食事する機会も、そうそうないでしょう(笑。貴重な経験をさせていただきました。
ごちそうさまでした。
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