既にひとしきり話題になった後なのでもはや今さら感がありますが、一応の収束をみたということで、当事者として事件の顛末をまとめておきます。
きっかけは、BAR Left Bank の浮沈マスターご本人によるこのツイートでした。
最初にこの写真を目にしたとき、見覚えがある…どころか間違いなく自分が撮ったはずの写真だけど、なんか違和感があるな?と思いました。
で、自分で書いたエントリーを見返してみて、驚き。
横浜 BAR Left Bank その 2 | b’s mono-log
写真を左右反転させて無断転載しているじゃないですか。確かにそのまま盗用すると Google 画像検索等で簡単に見つかってしまうけど、その発想はなかった…。
今まで、ヤフオク等にこの blog の写真を無断転載されたことは何度もありましたが、こういう商用サイト(それも Yahoo! やマイナビに記事配信している)にここまで大々的に盗用されたのは初めてです。
実はこの写真、長い付き合いになるマスターから直々に「お店の宣材写真として使わせてほしい」という光栄な申し出をいただいて提供したものでもあったため(実際にお店の Facebook や食べログに一部掲載されています)、余計に許しがたいと思ったわけです。
その後の経緯は多くの皆さんがご存知のとおりですが、はてなブログと Togetter にまとめられているので、未読の方はこちら↓(まとめてくださった方、ありがとうございました)。
シニア野菜ソムリエの丸田みわ子さん、画像を反転させて盗用するという手口がバレた上に余罪が芋づる式に見つかる事態に – 今日も得る物なしZ
【常習犯?】野菜ソムリエがおつまみ写真を無断転載「節子、それクリームポテトやない!いぶりがっこマスカルポーネや!」 – Togetterまとめ
私のフォロワーさんをはじめとする皆さんのご協力のおかげで、この記事だけでなく他にも同様の左右反転盗用が多数あることが次々に発覚していきます。
その後、画像を無断転載した丸田みわ子氏の blog には謝罪文が掲載。また掲載メディアである IGNITE 編集部からは一応の謝罪を受け、こちらからの要望でサイト上に経緯の説明文を掲載していただきました。が、内容はいずれも具体性に欠け、かつ掲載も当該エントリーに追記する形(つまり個別記事の問題であったという姿勢)でした。
そうこうするうちに、Yahoo!ニュースのやまもといちろう氏の連載に取り上げられるという事案が発生。
丸田みわ子さんという野菜ソムリエが他人の画像を勝手に加工して掲載して炎上そして他サイトに延焼(山本 一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは広告代理店や企業の宣伝担当者が「どうやってここに取り上げられるか」で頭を悩ますほど影響の大きな媒体です。私もまさかここに(それもやまもといちろう氏に)取り上げられるとは思わなかったので、最初に盗用に気づいたとき以上に驚きました。
するとその直後くらいに(だからといって相関があるとは限りませんが)編集部から改めてコンタクトがあり、数時間にわたる交渉の結果として私から編集部に以下を要求しました。
その後、編集部と丸田氏の間で話し合いがまとまらず時間がかかっているという連絡をいただいていましたが、12 月 24 日になって IGNITE サイト上に改めての説明・謝罪文が掲載されました。
掲載記事画像の騒動に関するお詫びと今後の対応について | IGNITE(イグナイト)
要旨をまとめると、以下のような内容になっています。
- 丸田氏は 9 月頃に Flickr に「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」としてなぜか掲載されていたこの写真を記事に使用した
- その際、「ついつい行っている癖で」写真を左右反転させた
- 丸田氏としては私の著作権に関する意識が不十分であった
- 編集部としても著者から提供される画像の権利に関するチェックが不十分であった
Flickr に私の写真が CC ライセンスで無断掲載されていたことの真偽は今からでは確かめようもありませんが(運営の米 Yahoo! に問い合わせればログから追えるかもしれませんが)、この写真も含めなぜ写真を左右反転させる必要があったかは不明。仮に著作権侵害が意図的なものでなかったとしても、
- CC ライセンスの写真を使用条件に従わず転載したこと(Flickr の該当サイトは著作者表記を使用条件としている)
は著作を生業とするライターとしての資質を問われる問題ですし、
- 記事とは全く違う料理の写真を(気づかずに)使ってしまったこと
- 他の無断転載記事で写真を左右反転させたために魚料理が右頭になっているという、日本の料理人としてあり得ないミス
の二点において、料理研究家としての資質さえ問われてもおかしくありません。
また、編集部が最終的に掲載したお詫び文においても、
当該画像を無断で使用しているおそれ
というのは著作者本人が申し立てているわけですからこれは「おそれ」ではなく「事実」ですし、そもそも
この画像の著作権者であると主張される@brownsugar_t(Twitterアカウント)(以下、「B氏」)
という表現(この写真の著作権は必要があれば証明することもできる。それ以前に編集部からはその確認すらされていませんが)についても、悪意が感じられる…言葉を選ばずに言えば「人を馬鹿にした表現」であると感じます。
とはいえ、当初私が編集部に対して要求してきた内容については、表向き一通りの対応をいただけたので、私としてはこの問題はこれにて幕引きとしたいと思います。Yahoo! に掲載されて衆目に晒されたことで、一定の社会的制裁を受けたと言えますし。まあこの手の炎上事件は枚挙に暇がなく、多くの人にはあっという間に忘れ去られてしまうのもまた事実ですが。
いずれにしても、今年急激に注目を浴び、同時にその正当性について問題視もされているバイラルメディアやキュレーションサイトに関して、今一度疑問を投げかける事件だったと言えるでしょう。
いろいろと疲れました…。唯一ポジティブに捉えられることがあるとすれば「商用サイトに掲載してお金が取れるくらいにおいしそうな写真」だと客観的に認められた、という部分でしょうか。
今回、一応の決着に至るまで事態が進展したのは、余罪の発見や検証、結果的に Yahoo! に掲載されるに至った情報拡散等も含め、フォロワーの皆さんのご協力があったからこそだと思います。本当にありがとうございました。
ちなみに、無断転載された写真を撮らせていただいた「BAR Left Bank」は、横浜駅から徒歩 10 分ほどのところにある日本酒バルです。私がリピートするくらい美味しい店なので、興味がある方は是非。
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