五反田界隈でお昼どきを迎え、どこで何を食べようかな…というところで、そういえば五反田に親子丼のうまい店がある、という話を思い出したので、その店までいそいそと。
東急五反田駅徒歩 1 分、池上線沿いの飲食店系雑居ビル。いわゆるこの辺の「おじさんたちのパラダイス」にあたる場所です。私も、このビルの他のお店にはいくつか入ったことがあるけれど、2 階には足を踏み入れたことがなかった。いろいろと個性的な居酒屋に混じって存在するのが、カウンター中心のこのお店。基本的には焼き鳥屋らしいですが、お昼は親子丼をやっているようです。
店員さん、寡黙な雰囲気のおじさん二人。メニュー、親子丼の並と大盛りのみ。この潔さや、良し。
着席するやいなや出てくる、麦茶・お新香・スープの三点セット。
スープは具なしのシンプルな鶏がらスープ。でも、鶏のダシがとてもよく出ていて、もうそれだけで勝負しているストレートなやつ。これだけをずっと飲んでいたいと思える、優しいけれど癖になる味。
そして、親子丼。何の変哲もない、この上なくシンプルな親子丼。
でも、ちょうど良い半熟具合の卵に絡められた鶏肉のひとつひとつが程良い弾力と柔らかさを併せ持っていて、こ れ は う ま い。味付けは薄めで、鶏肉の味そのものを味わうために作られた親子丼、という印象。軍鶏は炭火で焼いているようで、飲み込む瞬間に鼻に抜ける炭の香り。ああ、ここまで丁寧に作られた親子丼は今まで食べたことがなかった。
まあ、そもそも軍鶏の親子丼自体、そうそう食べられるものじゃありませんが。でもこれ、並盛りで 900 円、大盛りでも 1,000 円しかしないんだぜ…。
店内には BGM もなく、換気扇の動作音と、店員さんが黙々と仕込みをする物音が響くだけ。私以外のお客さんも含め、口数少なに目の前の親子丼に取り組んでいます。
私は平日のランチはどちらかというと独り静かに、淡々と料理に向き合うほうが好きなので、これくらいストイックな店のほうが合っている気がします。これは、お昼どきのいい男の隠れ家を見つけたかも。
後から調べて知ったんですが、このお店、過去にミシュラン一つ星を獲得したことがあるらしいですね。実はミシュランに載ったお店で食べたのはこれが初めてですが、確かにこれは納得の味。
店内には多数のワイングラスが並んでおり、夜はこの静かな店の中で軍鶏の焼き鳥とワインが楽しめる、ということでしょう。これはいずれ夜にも来てみるしかありません。
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