VAIO Z/Z Canvas の名刺ケースを買った際に、「Pro 11/13 ユーザーとしては Pro バージョンも揃えたいところですが、もう入手不可能なのが悔しいところ」と書いたところ、心ある方から譲渡の申し出をいただいてしまいました。
というわけで、ありがたく頂戴しました。何でも書いてみるものですね…。
昨年、VAIO 株式会社の設立記者会見に出席したプレスのみに配布された、VAIO Pro シリーズの名刺入れです。Z/Z Canvas の名刺ケースはこれの派生形なわけで、むしろこちらがオリジナル。
天板の VAIO ロゴはもちろんのこと、側面のコネクタ類や吸排気口までプリントでしっかり再現。ヒンジ部分のアルミパーツもちゃんと色分けで再現しているなど、芸が細かいです。
底面のデザインまで線画で表現されています。現行の VAIO Pro 13 | mk2 では底面の拡張バッテリ端子がなくなっているので、この名刺ケースはあくまで初代 VAIO Pro としてのデザイン、ということになります。どこかで mk2 バージョンが登場したりするのでしょうか。
開いたところもちゃんと VAIO。Z/Z Canvas がモバイル PC としてはちょっと変わった形をしているので、むしろ Pro のほうがこうやって名刺ケース化したときにしっくりくる感はありますね。
この名刺入れで、むしろ名刺入れ本体よりも話題になっていたのが、中に入っているこのカード。全部紹介していると膨大な量になるので詳細はアスキーの記事に譲るとして、ここでは特に私が思い入れのある機種についていくつか紹介していきます。
いろんな意味で「原点」となった、PCG-505。これが最初の VAIO、と誤解している人も少なくないですが、505 は VAIO が始まって 4 ヶ月後に登場したモデルに過ぎず、日本国内における「初代 VAIO」はデスクトップ型の PCV-T700MR、A4 ノート型の PCG-707・705 が始祖にあたります。しかし当時 PCG-505 が市場に与えたインパクトはすさまじく、この後に発売されたモバイルノートが ThinkPad を除いて軒並みマグネシウム筐体の「銀パソ」になってしまったほど。
これが後の私の人生をも変えることになったことは、もはや言うまでもありません。
裏面には製品開発にまつわるエピソードが書かれています。PCG-505 はもともと A4 ノートとして開発されていたのが、上層部の鶴の一声で仕切り直しになり、極薄モバイルノートとして作り直された、というのは古いファンには有名な話。この薄さのために天板の VAIO ロゴは彫り込みではなくプリントだったのが、2 年後のブラッシュアップモデル PCG-N505SR ではついに「へこ文字」化されたこともまだ記憶に新しいところです。当時は学生だったからそうそう買い換えられなかったけれど、欲しかったなあ(その後、N505 シリーズは紆余曲折を経て私の手元にあります)。
一気に時代が進んで 2003 年、505 シリーズの復権とばかりに登場した PCG-X505。薄さと軽さを最優先してそれ以外のすべてを後回しにするという思い切ったモデルでした。でもこのトンガリ具合に惹かれて買わざるを得なかった、思い出深い機種です。当時、VAIO ノートの天板にカーボン柄のカッティングシートを貼って「カーボンルック」とか言っていたところで、中の人に「カーボンルックじゃなくてホンモノのカーボンですよ」と煽られては、買うしかないじゃないですか(ぉ。
PC をローンで買ったのは後にも先にもこれ一台きりですよ。それくらい所有欲を刺激されたモデルです。
基本的に極端に薄い PC か極端に軽い PC かしか使わない私ですが、この type U もその一つ。当時は私が世界で一番これを使い込んでいる自信があったくらいによく使いました(笑。短期間のうちに SSD やワンセグなど、どんどんスペックアップしていったのを覚えています。
他のウルトラモバイル系 VAIO と同様に短命に終わってしまったシリーズですが、スライドキーボードのギミックは、のちの VAIO Duo シリーズに繋がっていると言えます。
type U の次に出てきたのが、同じく UMPC でありながらスタイルを大きく変えた type P。これもかなり使い込みました。長年のVAIO C1 シリーズユーザーとしては、しっくりくるサイズ感ではあります。登場したタイミング的にネットブックの亜種のような見られ方をしていたり、モバイルコンピューティングの主流が徐々に PC からスマホへ移り始めた頃だったことが、状況を複雑にしていたような気はします。
Atom Z シリーズのパフォーマンスにはいろいろと難儀しましたが、CPU や内蔵 GPU の性能というよりも、ストレージインターフェースが古めかしい PATA 方式だったことが主要因だったんだろうな、と思います。
このモデルのコンセプトは現在の 8inch 系 2in1 PC が受け継いでいると思いますが、そこに VAIO の名前がないことはいささか寂しい。
今日 7 月 1 日は、VAIO 株式会社が設立されて 1 周年であり、日本国内で初代 VAIO が発売されてから、ちょうど 18 年の節目にあたります。18 年前の今日のことを思い返すと、私もずいぶん遠くに来たんだなあ…という感慨に耽りたくもなりますね。
VAIO の名刺ケースシリーズは、おかげさまでこれにていったんコンプリート。快く譲ってくださった某氏、本当にありがとうございました。
でもこの先、またさらに強烈な新製品が出てきて、新しい名刺ケースにも登場してほしいところです。いやむしろ、名刺ケースの形状に収まらないような、独創的な製品を開発してほしいものです。2 年後には VAIO 生誕 20 周年、それを盛大に祝えるような状況になっていてくれると嬉しいです。
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