前戦イタリアでヨーロッパラウンドを終え、これからはフライアウェイで終盤戦に向かっていきます。
シンガポール GP もハミルトンが猛威を振るう…かと思いきや、今回はなんとフェラーリの独壇場。イタリア GP でのマシンアップデートによって SF15-T のパフォーマンスが大きく底上げされたこともありますが、むしろメルセデスの戦闘力低下が大きい。この大部分はイタリア GP で問題となったメルセデスのタイヤ内圧設定に起因すると思われ、ピレリの指定内圧を厳格に守ることが求められた結果、W06 がこれまで発揮してきたパフォーマンスを再現できなくなったものと思われます。
とはいえ、優勝したヴェッテルの走りは圧巻でした。予選では既に PP が確定しているにも関わらず、最後のアタックで一人 1 分 43 秒台に突入する圧倒的な速さを見せつけます。レッドブル時代から「必要以上にぶっちぎりたい」というのがヴェッテルの性質でしたが、大好きなフェラーリで、チームを鼓舞するためにもこういう予選がやりたかったんだろうなあ、というのがよく分かるパフォーマンスでした。
決勝でもその勢いは衰えず、スタートからゴールまで一度もトップを脅かされることのない完全勝利。初回ピットストップに近いタイミングでセーフティカーが導入されたため、アンダーカットを狙っていた 2 位リカルドの戦略がハマらなかった、というラッキーはあったにせよ、全ての状況がピタリとハマった PP からのぶっちぎり優勝、という久々にヴェッテルらしいレースだったと思います。
対するメルセデスはハミルトンが PU のトラブルでリタイア、ロズベルグが 4 位がやっとという状況。もともと全開率が低くて PU の性能差が現れにくいサーキットとはいえ、ここまで戦闘力が発揮できなかったのはタイヤの内圧設定によるところが大きいでしょう。それにしてもこえだけパフォーマンスが落ち込むとは予想していなかったので、正直驚きました。
これでチャンピオンシップはハミルトン 252pt、ロズベルグ 211pt、ヴェッテル 203pt で数字上はヴェッテルにもまだまだ可能性は残されています。とはいえ残りのレースは高速サーキットが中心で、メルセデスが再び競争力を取り戻してくる可能性も高く、楽観視はできないでしょう。どちらかというと今回のパフォーマンスダウンの原因のうちタイヤ内圧がどれだけの割合を占めているか、そしてサスペンションのセットアップ等でどの程度吸収できる問題か、によってメルセデスの今後の復活度合いも変わってくるかと。もう少し終盤までもつれ込んでくれると、ファンとしては楽しめるのですが。
いっぽう、マクラーレン・ホンダにとっては今回がおそらく今季最後の「現実的にポイントが狙っていけるサーキット」。予選は 12・15 番手につけ、クラッシュの多いコース特性的にはダブルポイントもじゅうぶん狙える位置からのスタートでした。中盤、着実にポジションを上げ、一時は 2 台揃ってポイント圏内を走行したものの、相次ぐギヤボックストラブルにより 2 台ともにリタイア。
正直なところ、これまでのホンダ製 PU は公約通りのパフォーマンスアップを果たせておらず、期待を裏切る状況が続いてはいますが、今回のギヤボックストラブルは車体側の問題。なかなか噛み合いませんね…。コース特性からいえば今季はもう残り全戦ノーポイントでもおかしくないので、これは痛い。次の鈴鹿は PU 的には厳しいでしょうが、セットアップとベテランドライバー二人の実力でどこまで上位に迫れるかに期待するしかないでしょう。
日本 GP はもう今週。今年は鈴鹿には行けませんが、メルセデスに対するフェラーリ/レッドブル勢の対抗と、マクラーレン・ホンダの発奮に注目したいと思います。
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