前作からちょうど一年、澤村 徹さんのムック『オールドレンズ・ライフ』の最新刊が発売されたので、さっそく購入。このシリーズも気がつけばもう 5 冊目ですが、未だとどまるところを知らない勢いを感じます。
Vol.4 の時点で α7 シリーズによる「35mm 判レンズ本来の画角での撮影」および縮小光学系マウントアダプタによる「APS-C ボディでの擬似 35mm 判画角での撮影」が可能になっており、オールドレンズ本としては一旦行き着くところまで行った感がありました。オールドレンズって毎年新製品が出てくるものでもないし(笑)、さすがにそろそろネタが枯渇してきたのでは、と思っていたら、今回の主なトピックは
- 旧東独・ロシアレンズ特集
- 中判オールドレンズ特集
- 現行 MF レンズ特集
- まだまだ出てくる新型マウントアダプタ
という、かなり上級者路線を攻めてきました。
オールドレンズの入り口といえば旭光学やオリンパスの旧ズイコー、あるいはヤシカ/コンタックス用ツァイスレンズあたりが定番ですが、ツァイス・イエナを中心とした旧東ドイツレンズや安価なツァイスコピー品であるロシアレンズ側にも、広く深い沼が広がっています。特にイエナ製レンズはオールドレンズとは思えない安定した描写を誇っており、ツァイスにしては安価なこともあって入門用として比較的手を出しやすいのも事実。私もイエナ製の MC Sonnar 135/3.5 は一本持っていたりします。
とはいえ入手性がも情報も限られているこのあたりのレンズにいきなり手を出す初心者もいないでしょう。この『オールドレンズ・ライフ』シリーズは初心者をあまり考慮せずにいきなり沼の深いところから始まることが多いですが(笑)、それでも今回のは今までよりもさらに深淵からスタートしている、と言えます。私もさすがに、中判オールドレンズに手を出す予定は今のところないかな(笑。
個人的注目はやはり現行 MF レンズ特集。少し前までは新品で買える MF レンズといえばライカかコシナ製ツァイス/フォクトレンダーくらいしか選択肢がありませんでしたが、オールドレンズブームのもとで新規に MF レンズを発売するメーカーが複数現れてきました。中でも、今回のムックは富岡光学(ヤシカ/コンタックス用ツァイスレンズを OEM 生産していたメーカー)の Tominon 55mm F1.2 の復刻版にあたる木下光学「Kistar 55mm F1.2」、そしてマウントアダプタメーカーとして有名な Hawk’s Factory が Tsubasa ブランドで開発したレンズ第一弾「Swallow 35mm F2」の発表の場を兼ねています。それほど重要な媒体になったと考えると、初期の頃から応援してきたファンとしても嬉しい限り。
一口に現行 MF レンズと言っても、過去の名玉の描写を再現することにこだわったものから既存レンズにないスペックを目指したもの、そして MF でありながら現代的な高解像度を実現しようとしたものまでバラエティに富んでいます。オールドレンズはアジア方面の需要増で年々値上がり傾向にありますが、現行 MF レンズであれば価格が安定しており入手しやすいという利点もあり。いきなりオールドレンズ、ではなくまずは現行 MF レンズから始める、という選択肢もあると言えます。
個人的にはやっぱり東独かなあ。イエナの Flektogon 20/4、35/2.4 は以前から手に入れたいレンズではありました。最近、AF でラクをしてばかりだったけど、AF レンズはめぼしいところはだいたい揃えてしまったので、改めてオールドレンズ収集に走りたくなってきました。
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