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ThinkPad 701C(模型)

文具メーカーのキングジムがPC市場に参入。8型液晶で12型相当の変形キーボード搭載 – PC Watch

キングジムから、ポメラの後継製品とも言えるモバイル PC「ポータブック XMC10」が発表されました。

Windows タブレット系の 2in1 が主流になりつつある現在、久々にキーボードにこだわったアプローチで登場したモバイル PC で、マニアの間では賛否両論ありつつも、高い注目を浴びているようです。かくいう私も複雑な思いで眺めている一人なわけですが…。
モバイル PC の歴史は長らく快適なキーボードとモビリティの両立の歴史であった、と言っても過言ではないわけですが、このポータブックが発表された後、UMPC 系を中心にさまざまなモバイル PC を懐かしむ話題がタイムラインを埋め尽くしていきました。その中でも、古参 PC 勢にとって「元祖」と言える PC はこれではないでしょうか。

ThinkPad 701C。液晶の開閉に連動して展開する TrackWrite キーボード、通称「バタフライキーボード」のほうがモデル名よりも有名なほど。
この頃の ThinkPad はキーボードに強いこだわりを持っていて、私が社会人になりたての頃に会社から与えられたお下がりのノート、ThinkPad 760E も液晶を開くとキーボードが自動チルトするギミックを搭載していました(余談だけどこれ Pentium 150MHz 搭載で 3kg 近くという、当時個人で使っていた VAIO 505EX とほぼ同性能ながら二倍の重量で、持ち歩くのがとても辛かった)。当時はモバイル PC は 30~40 万円するのが普通だったので、凝ったギミックを積んだ製品が多かったですね。

さておき、これ↑はその ThinkPad 701C のスケールモデルです。2002 年の ThinkPad 10 周年のときに手に入れて以来、なんかもったいなくて組み立てられずに保管されていました(笑。

これが「バタフライキーボード」のギミック。キートップの形状に沿ってキーボードを階段状に二分割し、収納時には互い違いに噛み合わせることで横幅を詰めるという構造になっています。このコロンブスの卵的発想が今になっても色褪せず、多くの人の記憶に残っている理由でしょう。


中身。もったいなくてもうビニールすら開けていないというね(笑

当時の ThinkPad のデザインを精密にスケールダウンして作られていて、写真で見ると実物のパーツであるかのようです。
ちなみにこの模型に使われているプラスチックは ThinkPad のリサイクル素材を使用しており、これはある意味 ThinkPad そのものであるとも言えます。

キーボードの部品。ちゃんとキートップまで正確に印字されています。
そういえば、この頃の ThinkPad のキーボードは、機能キーが黄色っぽい印字でしたね(懐

アップで見ると、キーボードが段違いで組み合わせられているのがよく分かります。本来 [H] キーの隣にあるはずの [J] キーが、二段上の [4] キーの隣に来ているという。これによって、収納時にはキートップ 3 つ分の横幅を稼いでいることになります。

元 ThinkPad ユーザー的には、キートップのザラザラ感まで精巧に再現されているのがたまりません。

キーボードの開閉ギミックを司る可動部品たち。
TrackPoint の赤いキャップももちろん同梱されています。

模型といっても、ガンプラのようにランナーに繋がっているわけではないので、ビスで組み立てるだけ。それでも取説が付属しています。
液晶の開閉に使うラッチまでバネ入りで再現されているのがすごい。最近のノート PC はヒンジの力で閉じるので、ラッチがあるもの自体が珍しくなりました。

バタフライキーボードはこのような構造で、多数のギヤとアームの複雑な組み合わせによって成立しています。PC としての中身が入っていない模型ですが、この機構だけは実機のものをそのままスケールダウンして入れ込んだのでしょう。これが、あの滑らかな開閉ギミックを実現しているんですね。
この芸術的な構造の前では、ポータブックのキーボードギミックはまだまだ変態度が足りないと言えます(ぉ。薄さ軽さとのトレードオフなので、複雑でカッコ良ければいいというわけではありませんが。

改めてこういうのを見ると、やっぱり変形や合体のギミックは男のロマンなんだろうし、だからこそ定期的にこういう製品が世に問われるんだろうなあ、と思います。

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