シグマ MC-11 のレビューを続けていきます。
AF が使える EF-αE マウントアダプタとしてはシグマ MC-11 は今のところ最後発にあたります。私はその前に KIPON EF-S/E AF を手に入れていたので、やはりアダプタによる AF 性能の差というのは気になります。今まで使ってみた体感的には KIPON よりも MC-11 のほうが速くて怪しい挙動も少ない。そこで改めてボディとレンズを揃えて、マウントアダプタによる差だけを比べてみることにしました。
ボディは α7 II、レンズはシグマの MC-11 対応レンズから [Art] 50/F1.4 および 35/F1.4、キヤノンから EF24-70/F4L(USM レンズ代表)と EF40/F2.8(STM レンズ代表)。これまでと同じ条件でテスト撮影し、(ピントが外れたカットを除外して)5 回の平均値を示したのが次の一覧です。
マウントアダプタ/レンズ | SIGMA MC-11 EF-E | KIPON EF-S/E AF |
---|---|---|
SIGMA [Art] 35/F1.4 DG HSM | 0.820 | 1.486 |
SIGMA [Art] 50/F1.4 DG HSM | 0.837 | 0.749 |
Canon EF24-70/F4L IS USM | 0.762 | 1.748 |
Canon EF40/F2.8 STM | 0.593 | 0.429 |
KIPON のほうは使うレンズによって得手不得手ありますが、MC-11 のほうは満遍なくスピードが出ています。KIPON のほうが速いレンズもあるものの、その差は微々たるもの。MC-11 のほうが安定感があります。
またフォーカスのヒット率に関しては、MC-11 では非対応レンズ(キヤノンレンズ)を使うと若干精度が落ちますが、KIPON は(当然ながら)シグマレンズもキヤノンレンズも同様にハズレあり。ハイブリッド AF が有効になる MC-11+対応レンズ以外の組み合わせでは、やはりいずれもヒット率が下がるようです。さらには KIPON のほうは EF40mm STM を使うと合焦せずにピント付近でウォブリング(細かく前後に行ったり来たりする挙動)を繰り返すことも何度かあり、やや不安定な印象で、全体的に MC-11 に軍配が上がります。
それでも、MC-11 を購入するまでは KIPON でも広角~標準域ならば使い物になると感じていたので、MC-11 はさらに良いという話ですが。
望遠レンズはテストのしようがなく(リモートレリーズのケーブル長が足りず)計測はしていませんが、シグマ APO 50-500/F4.5-6.3 OS と EF70-200/F4L で試してみたところ、いずれも MC-11 のほうが速度、精度ともに上。というか KIPON のほうだと望遠はピントが合わないことが多かったり、手ブレ補正の誤作動で逆にブレが大きくなったり、とちょっと使い物になりません。対して MC-11 のほうはスポーツ撮影は難しいでしょうが、非対応レンズでも静物や風景ならば普通に使えそうです。
あとはマウントアダプタの作りに関して。デザインや仕上げについても MC-11 のほうが丁寧だと思いますが、(個体差はあると思うけど)KIPON のほうは EF レンズならばスムーズに脱着ができるのにシグマレンズはキツいのに対して、MC-11 は EF レンズ・シグマレンズともにスムーズ。EF レンズよりシグマレンズの方がマウント付近のアソビが少ないということなのかもしれませんが、MC-11 はさすがにシグマレンズとのマッチングがいいですね。
AF 性能に関しては、KIPON ではなくファームアップがまともに行われている METABONES や TECHART のアダプタであれば、もう少し MC-11 との差は縮まるかもしれません。でも KIPON の現バージョンとの比較においては、今から買うなら MC-11 一択と言えそうです。
コメント