最後のソニービル詣でに行ったなら、ここにも最後に行っておかねばならないでしょう。
長年通い続けたあるでん亭。純粋なスパゲティの美味しさなら、個人的にはここに勝る店はないと思っています。都内には支店が一応いくつかあるとはいえ、この狭い店内から銀座の街並みを見下ろしながら食べるのもこれがとりあえずは最後になると思うと、ソニービルに来たのにここはスルーという選択肢はあり得ません。
店先には、悲しいかな閉店のお知らせが貼り出されていました。もうこれが最後と思っている常連客が多いのか、ランチタイムを大幅に過ぎているにも関わらず、お店の前には行列ができていました。
私も行列にしばらく並んで入店し、カウンターに着席したところ、「まだ探し中なのですが…新店舗が見つかりましたらご連絡させて頂きます!」との告知が!貼り紙や公式サイトにはには「閉店」としか書かれていなかったので半ば諦めていましたが、移転の可能性はまだ残っているようですね。仕事や遊びで銀座や有楽町に来たときにフラッと立ち寄れる立地に見つかると良いなあ。私ももちろん連絡先を預けてきました(笑。
各席には付箋と筆記用具が置かれていて、お店へのメッセージが残せるようになっていました。長年通ってきて、たぶん店員さんにも何となく顔を覚えられているだろう私としてはこれも書かないわけにはいきません。注文してスパゲティが出てくるまでの間にメッセージをしたためておきました。
最後のメニューに選んだのはもちろんこれ。カルボナーラです。
生クリームを使わずに卵黄だけで仕上げたカルボナーラで、他の店でこういうカルボナーラに出会うことは滅多にありません。私は他の店に行くとオイル系かトマト系のパスタを頼むことが多く、カルボナーラってそんなに食べないんですが、ここのだけは別。これが当分食べられなくなるとあっては(まあ支店に行けば食べられるんだけど)、最後はこれを食べておかないと。
いつもどおり芯を一本残したアルデンテの麺に、濃厚な卵黄のソースが絡むシンプルなスパゲティ。見た目に派手さはないけれど、だからこそ日々食べたいスパゲティでもあります。
しばらく会えなくなってしまうこの味を、噛みしめるように食べていきます。
店内の壁という壁に貼られた、多数の常連客からのメッセージ。私が生まれた年にできたお店だけあって、長年のファンに支えられてきた歴史が垣間見えます。
お店を出るときにいつも丁寧な感じでご挨拶してくれる厨房の店員さんも、今回はなんだかいつもより思いが詰まったような眼で見送ってくれたのが印象的でした。
長い間本当にごちそうさまでした。
復活したら、必ずまた食べに行きます。
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