F1ブラジルGP決勝:スタート勝負を制したベッテルが逆転勝利、アロンソは8位入賞
前戦メキシコでドライバーズチャンピオンが確定した今季の F1。残り 2 戦は純粋に各レースごとに本気の競争が観られるということで、それはそれで楽しみではあります。
今回は予選から、チャンピオンを獲得したばかりのハミルトンが Q1 で珍しく単独クラッシュし、ポール争いから脱落。あとはボッタスとヴェッテルの戦いになりましたが、ヴェッテルのタイムをボッタスが僅差で逆転し PP 獲得。その後ろにライコネンが続き、決勝はボッタスとヴェッテルの一騎打ちになりそうな構図。
一方のハミルトンはパワーユニットを交換してピットレーンスタートを選択、残り 2 戦をフレッシュエンジンで思う存分プッシュする作戦を採ります。
決勝レースはほぼスタートで決まってしまいました。スタート直後、ヴェッテルが好スタートを決めてターン 1 でボッタスを刺し、首位を奪います。その後はピットストップのタイミングでアンダーカットを仕掛けたボッタスに対してヴェッテルも直後にピットインし、カバーします。ヴェッテルは最後までボッタスを大きく引き離すことはなかったものの、ギャップをコントロールしきってようやく後半戦での初勝利を手にしました。フェラーリとしても久しぶりに完璧なレースで、こういう戦いがあと二ヶ月早くできていれば…とは思いますが、結果論に過ぎません。
ボッタスの 2 位フィニッシュは妥当な結果ではありますが、ターン 1 がもう少しアグレッシブだったら違う結果もあったかもしれません。後述するハミルトンの速さを考えれば、このインテルラゴスではメルセデスが最速マシンであったことに疑いはなく、今季 2 勝を挙げはしたものの、F1 界におけるボッタスの評価がイマイチ上がってこないのはこういうトップドライバーとの直接対決に勝てないところなんですよね。ドライバーズポイントではヴェッテルに僅差の 3 位だからちゃんと結果は出しているはずなんですが、あまり印象に残るレースができていないのが惜しいところ。
ピットレーンからスタートしたハミルトンはまさに驚異の追い上げを見せ、表彰台には届かなかったものの 4 位フィニッシュ。それも 1 位からたった 5 秒遅れとあっては、やはり予選でのクラッシュがなければ今回もハミルトンが完勝していた可能性が高い、ということでしょう。マイレージを気にしなくて良いフレッシュエンジンでガンガン飛ばせたというのはあるにせよ、やっぱり現時点での F1 最強パッケージはメルセデス+ハミルトンであり、今季のチャンピオンに相応しいと言えます。
もう一人素晴らしかったのはフェリペ・マッサでしょう。戦闘力で見劣りがするマシンで三強に次ぐ 7 位フィニッシュは立派。一度目の引退発表をした昨年のレースでは無念のリタイアでしたが、直前に二度目の引退発表をしたばかりの今年は母国ファンの前で最大限のパフォーマンスを見せ、有終の美を飾れたのではないでしょうか(あと 1 戦残っていますが)。長年にわたって F1 を盛り上げてきた功労者が、こういう形でキャリアを終えられるのは幸せなことだと思います。
ホンダは今回、今シーズン最後のアップデートとなる「スペック 3.8」のパワーユニットを持ち込んできました。結局シーズンが終わるまでに「スペック 4」が間に合わなかったことは残念でなりませんが、この新 PU の効果もあってアロンソが予選 7 位(リカルドのグリッドダウンペナルティにより 6 番手グリッド)、決勝もマッサに次ぐ 8 位は、今回のレースでは望みうる最高のリザルトだったのではないでしょうか。来季のライバルとなりそうなルノー勢はここ数戦信頼性関連のトラブルが多発していますし、ホンダにはこの調子で来季に向けた開発を加速させてほしいところ。
次はいよいよ最終戦アブダビ。ここ数年の傾向として、シーズン終盤の勢いから次シーズンの序盤が占えることが多いので、どのチームが来季に向けて良さそうなのか見極めるつもりで観戦したいと思います。
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