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F1 サクヒール GP 2020

F1サクヒールGP決勝:セルジオ・ペレス、キャリア10年目で悲願のF1初優勝! メルセデスはお粗末なタイヤ交換で散々なレースに
F1サクヒールGPの決勝が行なわれ、レーシングポイントのセルジオ・ペレスがキャリア10年目にしてF1初優勝を挙げた。

前戦バーレーン GP 終了後にハミルトンの COVID-19 感染が発覚し、最強のチャンピオン不在で始まったサクヒール GP。ハミルトンの空席にはウィリアムズからジョージ・ラッセルがレンタル移籍(彼は本来メルセデスの育成ドライバー)し、ウィリアムズにはエイトケンが。そして一週間前の怪我により欠場のグロジャンに代わってピエトロ・フィッティパルディ(元 F1/CART チャンピオンであるエマーソン・フィッティパルディの孫)が出走し、いつもとは違う顔ぶれでのレース。

最注目はハミルトンの後継者と目されながらもウィリアムズで苦難の時を過ごしていたラッセルが、メルセデスに乗ってどこまでやれるのか。これによってラッセルの実力とさらにはボッタスの実力まで測ることができるわけで、2022 年以降のメルセデスのドライバーラインアップを占う上では非常に重要。

予選はボッタスがラッセルを僅差で上回りボッタス-ラッセル-フェルスタッペンというグリッド。しかし決勝は展開次第でこの三人のうち誰が勝ってもおかしくない、ハミルトン不在だからこその結果が読めないレースが楽しみでした。が、いきなりスタート直後のコーナーへの突っ込みでルクレールがペレスにヒット、それを避けようとしたフェルスタッペンが行き場を失ってウォールにクラッシュ、そのままリタイヤとなります。
フェルスタッペンのオンボード映像を見る限りでは先行するボッタスの挙動がふらつき、そこにペレスがかぶせてきたからフェルスタッペン自身は冷静に一旦引いたように見えました。が、右側から強引にノーズをねじ込んできたルクレールが止まり切れずペレスに接触、フェルスタッペンはその煽りを食らった格好です。フェルスタッペン的には正しく状況判断ができ、このコーナーを抜けた先の戦いを見据えていただろうだけに非常に悔しい。ルクレールはこういう無茶でレースを台無しにすることが少なくないですよね…。

そこから後は、スタートでボッタスに先行したラッセルがレースをリードします。メルセデスの二台が逃げ、3 位以下はほぼ DRS トレイン状態でほぼ動きのないレース。こうなったら結果は見えているし、深夜帯だからもう寝たいけどラッセル初優勝も見届けたいし…と思っていたところでエイトケンがクラッシュ。これによる SC 導入でレースが大きく動きます。
SC に合わせてすかさずタイヤ交換に入ったラッセルとボッタスでしたが、ラッセルを送り出してボッタスの作業にかかるところでピットクルーが二人のタイヤを間違えて装着していたことが発覚。このまま走り続けていてはレギュレーション違反で失格になってしまうため、結局ボッタスは元のタイヤに戻してコース復帰、ラッセルは翌周に再度ピットインして正しいタイヤを履き直し。ここまでであればペース的にはラッセルが再度首位に戻ることは不可能ではない状況でしたが、ここでエイトケン車のデブリを踏んだのかスローパンクチャーが発生し再度緊急ピットイン。この時点でラッセルの初優勝は消滅しました。またボッタスは交換し損ねたハードタイヤのグリップがなくなってズルズル順位を落とし、結局ボッタス 8 位・ラッセル 9 位という結果に。
今回のメルセデスは通常であればちょっと信じられないようなミスで自ら勝利を手放したようなものでした。途中から別のチームになってしまったんじゃないかと思ったほど。もしかすると、普段はハミルトンが走りながらピットに事細かに確認することでチーム側にも良い緊張感がもたらされていたのかもしれません。

こんなレースを制したのは、スタート直後に一度は最後尾まで落ちていたペレス。途中あまり目立つシーンこそなかったものの、気が付けばスルスル順位を上げてメルセデスの後ろにいたんですね。F1 参戦 10 年にして悲願の初優勝、しかもフォースインディア時代からチームを支え続け、チームからの放出が決まった最後の最後での初優勝。特に今季中盤戦以降はずっとメルセデスとフェルスタッペンの次くらいのポジションでゴールし続けていて、実際に「乗れている」印象はありました。ペレスには本当におめでとうと言いたいですね。

ペレスと明暗がハッキリ分かれたラッセルは不運で片づけるにはあまりに悔しい結果でしょう。自分自身はノーミスであり、事件が起きるまではボッタスとのギャップをコントロールしてまるでハミルトンかと思わせるようなレース運びでした。しかし今回のレースでラッセルの実力は確認できたので、仮に 2022 年にハミルトンが現役続行する場合はボッタスに代えてラッセルが起用されるのは確実ではないでしょうか。改めて、ラッセルにはフェルスタッペンやルクレール、ガスリー、ノリスらと共に次世代の F1 を引っ張っていくドライバーであることが証明されました。

しかしボッタス以上に今回不甲斐なかったのはアルボンですよ。メルセデスの二台とフェルスタッペンが優勝争いから脱落したならレッドブルの二台目が優勝争いをしていなければいけない状況で表彰台にすらかすりもしない。さらには中盤までずっとアルファタウリの後ろを走っている体たらくですからね…。フェルスタッペンの来季のチームメイトはぺレスでいいんじゃないかと。

そんなグダグダだった F1 よりも、この週末の真の主役はこの人でしょう。

角田裕毅「鈴鹿で、日本のファンの前で走りたい」 今や遅しと待たれる”F1昇格”の発表|F1ニュース
2020年のFIA F2でランキング3位になった角田裕毅は、もし来年F1に行けたら、「鈴鹿の日本のファンの前で走りたい」と語った。

F2 の角田裕毅が本当に素晴らしかった。F1 に昇格するためにはランキング 5 位死守が必須という状況でレース 1 をポールトゥウィン、レース 2 は 8 番手スタートで 2 位フィニッシュ。レース 1 は接触を避けて一度 3 番手まで下がりながらも勝負どころで確実にオーバーテイクを決めて優勝、レース 2 でもライバルたちが競り合ってタイヤを傷める中、確実なマネジメントの末に一撃必殺で抜いていき、ファイナルラップ最終コーナーでティクタムに競り勝って 2 位。F2 初年度でありながら F1 のベテランドライバーのようなレース巧者ぶりを見せつけてくれました。角田は今年一年を通じて自分の課題を一つ一つクリアし、チャンピオンこそ獲れなかったもののこの最終戦時点では今の F2 で最も「強い」ドライバーに成長したのではないでしょうか。

最終的なランキングは 2 位に 1pt 差の 3 位、結果的に今季のリザルトだけで F1 昇格に必要なスーパーライセンスポイントを満たしてしまったことになります。これで来季アルファタウリでの F1 デビューは確定的、場合によってはいきなりレッドブルからデビューなんていう目もあるんじゃないの?と期待してしまうところ。とにかく今は来シーズンの F1 で角田の走りが見られることが楽しみで仕方ありません。

ともあれ、今年の F1 はまだあと 1 戦残っています。今週末のアブダビ GP、角田の FP1 走行が見られるはずですし、ハミルトンが出走できるかはまだ分かりませんが今度こそレッドブルには勝って終わってほしい。来シーズンに繋がるレースを見せてほしいところです。

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