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Sony MDR-M1ST を試聴してきました

長女が買った MDR-H600A を見ていたら私もヘッドホン欲が高まってきてしまったので、先日発売になったばかりの新モニターヘッドホン「MDR-M1ST」を試聴しに行ってきました。有楽町ビックに行ってみたらショーケース展示だったため、ソニーストア銀座にて試聴。

ソニー / MDR-M1STicon

MDR-M1ST

一見しただけでは MDR-CD900ST とほとんど変わらない…ハウジング側面に貼られているステッカーの赤線が細くなっただけに見えますが、よく見るとデザインイメージが共通なだけで細部にわたって全くの別物になっていることに気付きます。まるで初代 α7 と α7 II くらい変わっています。

加飾よりもメンテナンス性を優先したいかにも業務機然とした CD900ST に対して、M1ST は CD900ST のテイストを残しながらも細かい部分の質感や仕上げは MDR-1A シリーズに近い品位を感じるものになっています。CD900ST とは違って当初からソニーストア等のコンシューマー販路でも発売されることも含め、エンスージアスト向けとしても購入されることを視野に入れて開発されたということなのでしょう。
またヘッドバンドやイヤーパッドも CD900ST に比べてふっくらした形状/素材のものに変更され、長時間装着しても疲れにくそうな印象を受けます。


MDR-M1ST

試聴してみました。プレイヤーはウォークマン A30、ヘッドホン側が標準プラグなので標準→ミニの変換プラグ経由です。また隣に展示されていた MDR-CD900ST と、たぶん展示されていないだろうと思って持参した MDR-7506 とも聴き比べ。

MDR-CD900ST は一つ一つの音がビシッと立ち、分析的に聴くのにやはり最適という印象。それぞれの音は一本の線の上をなぞるように鳴っていくとでも表現すれば良いのか…残響がなく音を聴き分けるためのヘッドホンだと感じます。鳴り方がストイックなため長時間聴くのは厳しい。私は昔音源から耳コピしたりしていたときにはよく使っていましたが、最近は自分で音楽をやらないので滅多に使わなくなりました。また音の傾向としてはハイ寄りで低音が薄めなので最近のトレンドの音楽とはあまり相性が良いとは言えません。
CD900ST の海外向けモデルである MDR-7506 は CD900ST に比べると幾分マイルド。低音は CD900ST よりも鳴るのでリスニング用途にもそれなりに使えるヘッドホンだと思います。レコーディングやマスタリング時に音を突き詰めて聴くなら CD900ST のほうが正確さでは勝っているでしょうが、レコーディングエンジニアでもない限りは 7506 のほうが(録音やマスタリングに使う場合でも)扱いやすいんじゃないでしょうか。

で、MDR-M1ST。聴く前は「MDR-CD900ST をハイレゾ対応にしたような、CD900ST よりもさらにストイックな音」というのをイメージしていました。が、鳴らした瞬間にその予想は間違いであったことに気付きます。
CD900ST が「究極にデッドな空間で音楽を演奏しているのを聴いている」感覚だったのに対して、M1ST の音はもう少し響きのある部屋で聴いているようなしっとりした音。それぞれの音の輪郭はハッキリしているけどもっと立体的というか定位感があるというか、ずっと聴いていたくなるような音質のヘッドホンだと感じます。
褒めすぎかもしれませんが、CD900ST の明瞭さに 7506 の低音や聴きやすさを加えて、さらに全体的に現代のヘッドホンらしく幅広い再生周波数帯域と響きの良さを備えた製品だと思いました。これ、モニターヘッドホンだけどリスニング用としても全然使えてしまうんじゃないでしょうか。CD900ST とのキャラクターの違いには驚きましたが、AV Watch の開発者インタビューにも「CD900ST のハイレゾ対応版として作ろうとしたらうまくいかず、現代の技術を活かした新しいモニターヘッドホンとして納得いくものを目指した」とあり、実機の音を聴いてその意味を理解しました。

【藤本健のDigital Audio Laboratory】ソニーが新モニターヘッドフォン「M1ST」で求めた音。定番機CD900STとの違いは?-AV Watch

想像していたよりもずっと良かったので、ちょっと欲しくなってしまいました。ただしリスニング用ヘッドホンとしては MDR-1A の聴きやすさと楽しさも捨てがたいんですよね。MDR-1A を持っていなければ間違いなく M1ST を買っていたところでしょうが、自宅用に MDR-1A、職場用に MDR-7506、外出/出張用に MDR-1000X という私の環境に M1ST が入り込む余地がないんだよなあ…。
しかし物欲をそそるヘッドホンであることは間違いないので、どこかのタイミングで衝動的に買ってしまう可能性は否定できません(;´Д`)ヾ。

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