8 月末に公開された映画を少し遅ればせながら観に行ってきました。
私の好きなコメディ時代劇、かつ松重豊さん出演ということで気にはなっていたものの、主演・星野源というあたりで自分はメインターゲットではないんだろうなあ…と少し敬遠気味でいたところ、面白かったという話を聞いて改めて映画館へ。渋谷の東映は設備が旧くて積極的に行きたい映画館ではありませんが、他の用事のついでに。
封切りから三週間が経っているためか空いていましたが、客層は時代物好きそうな年輩の方から星野源・高橋一生目当てっぽい女性まで幅広かったのが印象的でした。
生涯に七度も国替え(領地の移動)を命じられた実在の大名・松平直矩をモチーフとしたフィクションです。御上から無茶な命令を下された貧乏大名とその家臣が繰り広げるドタバタ劇、という構造は『超高速!参勤交代』とよく似ていますが、調べてみたら原作・脚本が同一人物なのですね。どおりで雰囲気や展開が似ているわけだ。
物語は姫路藩(現在の兵庫県)から豊後日田藩(同大分県)への国替えを命じられるところから始まります。過去の国替えを仕切った家臣は既に他界しており、何故か白羽の矢が立てられたのがただの書庫番だったはずの片桐春之介(星野源)。国替えのことなど何も知らない春之介に手を貸したのは幼馴染みの武士・鷹村源右衛門(高橋一生)と勘定頭の中西監物(濱田岳)、そして前任者の娘・於蘭(高畑充希)の三人で、春之介は彼らのノウハウや人脈、そして自分自身が書物から得た知識を駆使して難題を成功に導いていく…というお話。
構成が『超高速~』とよく似ているだけあって、ストーリー的には予想外のどんでん返し的なものは多くありません。むしろ期待通りの展開、欲しいところで入れてくる笑い、緩急のある展開で飽きさせない、まさにコメディ時代劇の王道を行く映画に仕上がっていると言えます。最後にちょっとジーンとくる感じの大団円で締めてくるところまで含め、こういうお約束こそが時代劇なんだなあ…と少し年寄りじみた感慨さえあります。この作品はそれ以上に俳優さんたちが楽しんで芝居をしているのが印象的でした。松重豊・西村まさ彦といった大御所もさることながら、高橋一生がいつものイメージとは違う豪傑キャラでアクションまでこなしていたことと、高畑充希の存在感が強い。今までも演技力のあるいい女優さんだなとは思っていましたが、本作では登場した瞬間に画面が引き締まる感覚があるというか…圧倒的でしたね。そういうのも含め、全員が伸び伸びと芝居をしている雰囲気が伝わってきて、映画というよりも舞台を観ているようでした。あとピエール瀧。
それほど期待をせずに観に行ったのですが、これはなかなか面白い映画でした。
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