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フルフレーム Foveon の開発が仕切り直しに

シグマ、フルサイズFoveon機の製品化計画を「一旦リセット」 – デジカメ Watch

シグマが 2020 年中の発売を予告していたフルサイズ Foveon センサ搭載カメラの開発を延期することを公表しました。

当初のスケジュール感で言えば早ければ今月末の CP+、遅くとも 5 月の photokina で製品発表が行われるものと思っていましたが、開発の遅れは想像していた以上に深刻なようです。
「当該カメラの製品化計画については一旦リセットし、センサー技術の開発まで立ち返ってプロジェクトを仕切り直す」ということで、相当に難航している模様。これが仮に既存の Foveon X3 Quattro センサのフルサイズ版であれば基礎技術は確立されており、あとはシリコンの大型化による歩留まりと消費電力の問題くらいだと思われるので、今回開発していた Foveon は Quattro とはまた異なる世代/構造のセンサなのでしょう。

また今回の Foveon センサは従来とは異なる工場での製造になるため、それもセンサの開発遅れの要因の一つとのこと。これまでの Foveon センサは韓国のファウンドリ(半導体製造受託専業)企業である Dongbu HiTek で製造されていると言われてきました。Dongbu は世界で 10 番手くらいのファウンドリで技術はあるはずですが、カメラ市場そのものが縮小している現在シグマの発注規模ではファウンドリ側の MOQ(最低発注数量)を満たせなかったのでは…と推測しています。となるとより小ロットの発注を受けてくれる=規模の小さいファウンドリを使うことが開発難航の原因の一つになっている可能性があります。小規模ファウンドリ→使える製造プロセスの世代が古い→微細化できないためセンサの受光量が減り、期待した感度やダイナミックレンジが得られない…という悪循環に陥っているのではないかと。

SIGMA ミラーレス一眼 sd Quattro H

これはあくまで私の妄想にすぎませんが、以下のような複合要因がフルフレーム Foveon 機(FFF)の開発遅れの裏にあるのではないでしょうか。

  1. Quattro センサは扱いやすさは良かったものの画質面で「Foveon らしさ」が損なわれた
  2. そのため、FFF では Quattro の 4:1:1 構造ではなく Merrill 世代のような 1:1:1 構造のセンサに戻すことにした
  3. そこに前述の理由でファウンドリを変更せざるを得ず、新センサの設計はできたものの試作~量産に難航。目処も立たない
  4. そこでセンサの仕様に何らかの変更(解像度を下げる、4:1:1 に戻すなど)を加えることでセンサの性能と量産性を成立させる
  5. センサの仕様が変わることで消費電力や熱設計等が変わるため、センサの試作ができるまではボディの設計が進められない

たぶんこんな経緯で当たらずとも遠からず、だと思っています。今は上記 4 の方向で進めるという苦渋の判断をしたところなのでしょう。
どの時点でセンサの仕様を変更する決定をしたかは分かりませんが、もしごく最近決めたところだとするとセンサの試作~検証までに少なくとも半年、そこからボディの設計変更に短くても半年、とか。既存の設計資産がどの程度流用できるかにもよりますが、2021 年中に発売にこぎ着けられるかも怪しいと思われます。センサの製造歩留まりの問題で初期出荷に手間取り、わずか半年でモデルチェンジした SD1→SD1 Merrill の轍は踏みたくないという思いもあるでしょうし。

こうなるとシグマのビジネス目線、およびユーザー目線ではベイヤーセンサ搭載の fp を出しておいて本当に良かったね、と言いたくなります(笑)。最初から平行して企画が進められていたのか、FFF の開発が難航することが見えた時点でバックアッププランとして用意されたものなのか分かりませんが…。

これで来るべき CP+ でシグマからボディの発表がないことがほぼ確実になったわけで、代わりに何か目玉になるものが出てくるかもきになるところ。レンズは単焦点・ズームともに主要な焦点距離で SIGMA GLOBAL VISION 世代へのリニューアルが済んでしまったし、次は 35mm に続いて 50mm・85mm あたりで F1.2 を出してくるのか、dp 向けに 45mm F2.8 のような小型軽量のレンズを増やしてくるのか(28mm くらいは出してきそう)。個人的にはコンパクトなレンズ群の登場に期待しながら、CP+ を待ちたいと思います。

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