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オリンパスがカメラ事業を投資ファンドに譲渡へ

オリンパス、映像事業を分社・譲渡 – デジカメ Watch

オリンパスがカメラを含む映像関連事業を年内に分社化し、日本産業パートナーズ(JIP)に事業譲渡する方針を発表しました。

スマートフォンの普及もあってカメラ専用機市場は明らかな縮小傾向にあり、特にこの三年はどのメーカーも本当に苦しい状況が続いていました。中でもニコン、リコー/ペンタックス、オリンパスの三社はいつ撤退もしくは事業売却してもおかしくない状況だったと言えます。しかし真っ先に退場するのはリコーだろうと思っていたので、オリンパスからというのは少し意外でした。

オリンパスのカメラ事業を引き受ける JIP はソニーから VAIO、NEC からビッグローブ(2017 年に KDDI に売却)の譲渡を受けた日系の事業再生ファンドです。他に有名どころではすかいらーくグループやキューサイ(2010 年にコカ・コーラに売却)などへの投資も手がけていたようですね。個人的には、JIP は具体的な出口戦略がないまま事業譲渡を受け、大失敗はしないけど特に成功もしない…という中途半端な企業運営をしている印象を持っています。このカメラ事業も譲渡後は 1~2 年で企業体質改善まではやるでしょうが、その後の再成長戦略は白紙なのでは、とみています。
近年の国内外の製造業の動向を見る限りでは、このオリンパスのカメラ事業を欲しがりそうなのはまず中国でしょう。中国には LAOWA や Yongnuo など勢いのある光学メーカーが多数出てきており、ネームバリューと技術力のある光学メーカーを買収したいというのは自然な話。ある程度再生の目処がついたところで中国への売却話が出てくる可能性は十分にあり得ます。ただカール・ツァイスが分割された歴史が示すとおり、光学技術は軍事的にも重要な意味を持っています。中国に流出するくらいなら、経産省が介入してニコンやペンタックスと合併する…みたいな顛末も考えられます。まあそうなったところでルネサスやジャパンディスプレイのようにどん詰まりの未来しかないかもしれませんが…。

オリンパスからカーブアウトする新会社の名前は何になるでしょうね。PEN や OM-D が社名というのはちょっと考えにくいので、順当に行けば ZUIKO 株式会社あたりでしょうか。ただ、製品ブランドとしてはオリンパスからライセンスを受けた上で OLYMPUS を継続使用するのではないかと思っています。近年、同様に事業売却した後も旧社名の入ったブランド名を継続している NEC(PC 事業は Lenovo 傘下)や東芝(テレビは HiSense、白物家電は美的集団傘下)などの例もあることですし。ただし、ブランド名が存続することが今後も同じように製品が出てくることを保証するわけではない…のが難しいところ。

スマートフォンを含めれば、現代は人類史上最も多くの写真が日々撮られています。が、日本のカメラ産業という点ではこの約 120 年におよぶ歴史の中で、今が最も苦しい時期と言えるのかもしれません。個人的には、国内製造系の他のジャンルでも既に起きているとおり、カメラ業界でも今後同様の再編があと二、三回は起きて、最終的に日本に残るメーカーは三社程度になる可能性があると思っています。
しかし参入企業が減り、競争がなくなった市場に待っているのは停滞だけ。自分はオリンパスユーザーじゃないから関係ないや、とは言っていられない状況がそこまで来ていると考えた方が良いでしょう。私はオリンパスのカメラを自分で買ったことはありませんが、一人のカメラ好きとして、またいち社会人として、この事業再生が何らかの形でうまくいくことを願っています。

コメント

  1. […] 、だからといって明るい未来が待っている、とも思えない。 この業界に詳しいb’s mono-logさんも書いているように写真が撮られる枚数は飛躍的に拡大する一方、撮影専用機市場はあき […]

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