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ディナーラッシュ [Prime Video]

COVID-19 の国内感染者数増大に伴って飲食店の夜間営業短縮要請や都道府県独自の緊急事態宣言の可能性など世間がまた騒がしくなっています。が、三月から夜の会食はおろか外食すらできなくなってかれこれ五ヶ月が経った私には今ひとつ実感が湧かないところだったりします。むしろたまにでいいから外に出ておいしいものを食べたい、気心の知れた友人とゆっくり話したい。以前なら月に二、三度は行っていた映画館にだってもう半年行っていないし、そろそろこのフラストレーションを何とかしたい。と思って、自宅でレストランものの映画を観て気を紛らわせていました。

ディナーラッシュ

ディナーラッシュ(字幕版)

Netflix にも Prime Video の見放題にもなくて、仕方がないから Prime Video のデジタルレンタルを利用。

ニューヨークの人気イタリアンレストランを舞台にした群像劇です。『王様のレストラン』以来のレストラン群像劇好きとしてはこういうテーマの映画は気になります。

レストラン「ジジーノ」のオーナー、ルイス・クローパはレストランの厨房を息子ウードに任せ、店は創業以来の繁盛を見せるものの、親子関係には明らかに確執があります。ある日ルイスの長年の親友エンリコがマフィアに殺されるところからドラマは始まります。「ジジーノ」が平日にも関わらず満席の活況を示したある夜。ギャンブル中毒の副料理長・ダンカンの愚かな行為がきっかけとなり、個性豊かな厨房の面々とレストランを訪れる様々な客のやりとりが絡み合いながらある「事件」が進行していく…というストーリー。
確かにサスペンス的ではあるものの、事件が大きく動くのが物語の終盤も終盤なので映画の大半が「ディナーラッシュ」、つまりレストランの夜営業の最も忙しい時間帯に巻き起こる人間模様を描いています。実はスタッフに嫌われている面倒くさい客、店の取材に来たカリスマ料理評論家、見るからに素行が悪くて関わりたくない客、オーナーの殺された親友の娘、人気店なのに運良く予約が取れてしまった刑事夫妻、何故かカウンターに長時間居座る謎の一見客。それぞれの客ごとにドラマと役割が与えられています。また「ディナーラッシュ」中の厨房はまさに戦争で、怒号が飛び交いながらもものすごい勢いで料理が出来上がっていく。レストラン群像劇の王道ですが、映像や音楽のお洒落度合いでは『王様のレストラン』よりも江口洋介が主演した『ディナー』のほうが近いかな。公開されたタイミングから考えると『ディナー』はこの『ディナーラッシュ』を意識して制作されたのかもしれません。

こういうレストランものはドラマだと一話完結で一組の客とスタッフとの関係性を掘り下げるものですが、そこは一本の映画。客とスタッフの絡みは個別にはそれなりにありながらも、最後の最後でそれぞれの登場人物の役割が一本の線のように繋がります。あの客はそういうことだったのかー!と目玉をひん剥かされる展開がありながらも、最後はエピローグ的なものもなく唐突に終幕。途中まで、映画としてはお洒落だけど抑揚が少なくてちょっと消化不良気味だな…と思っていたのが一気に持って行かれました。

料理はおいしそうでしたが扱いがあまり大きくなく、せっかくだから料理ももう少しじっくり見たかったところ。でも、やっぱり久しぶりにおいしいお店に食べに行きたくなりました。ランチも良いけど、やっぱりワインが欲しい。

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