ソニーからフルサイズ E マウント対応の単焦点レンズが一挙に三本発表されました。
ソニー、フルサイズGレンズ「FE 24mm F2.8 G」「FE 40mm F2.5 G」「FE 50mm F2.5 G」。各7.9万円 – デジカメ Watch
24mm F2.8 G、40mm F2.5 G、50mm F2.5 G の三本。ここのところのソニー純正レンズは 35mm F1.4 GM とか 50mm F1.2 GM といった「スペックの割には」コンパクトな高性能レンズが続いていて、一時の画質最優先・それ以外は二の次という方針から転換してきたのを感じていましたが、今回の三本はまた極端に振ってきましたね。
明るさを割り切って小型化優先、MF 時の操作感やビルドクオリティも重視した単焦点レンズというコンセプトは、デザインの方向性まで含めてシグマの I Series とかなり似通っています。しかし登場のタイミングといい FE 28-60mm F4-5.6 ともデザインやサイズ感が近いことを考えると、シグマを意識したというよりも本当は α7C と一緒に出したかったのが何らかの理由でレンズだけ遅れたというのが実情ではないでしょうか。自社のコンパクトなフルサイズミラーレス機に合わせて小型軽量なレンズを揃えるという発想はシグマ fp と I Series の組み合わせと同じはずです。正直言って、既存の E マウントレンズ群には α7C とバランスの良いレンズが少なかったんですよね。
とはいえ E マウント版も存在する I Series と直接競合するのは事実。そのうち I Series レンズをどれか一本買ってみようと思っていた私としても気になります。というわけでスペックの近いレンズ同士を比較してみました。35mm~50mm は 5mm 刻みだからどう並べるか悩みましたが(笑
モデル | SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Sony FE 24mm F2.8 G |
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焦点距離 | 24mm | 24mm |
開放 F 値 | F3.5 | F2.8 |
レンズ構成 | 8 群 10 枚 | 7 群 8 枚 |
特殊レンズ | SLD×1、非球面×2 | ED×1、非球面×2 |
最短撮影距離 | 0.108m | AF:0.24m/MF:0.18m |
防塵防滴 | ○ | ○ |
フィルター径 | 55mm | 49mm |
サイズ | φ64×50.8mm | φ68×45mm |
重量 | 230g | 162g |
モデル | SIGMA 35mm F2 DG DN | Sony FE 40mm F2.5 G |
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焦点距離 | 35mm | 40mm |
開放 F 値 | F2 | F2.5 |
レンズ構成 | 9 群 10 枚 | 9 群 9 枚 |
特殊レンズ | SLD×1、非球面×3 | 非球面×3 |
最短撮影距離 | 0.27m | AF:0.28m/MF:0.25m |
防塵防滴 | ○ | ○ |
フィルター径 | 58mm | 49mm |
サイズ | φ70×67.4mm | φ68×45mm |
重量 | 325g | 173g |
モデル | SIGMA 45mm F2.8 DG DN | Sony FE 50mm F2.5 G |
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焦点距離 | 45mm | 50mm |
開放 F 値 | F2.8 | F2.5 |
レンズ構成 | 7 群 8 枚 | 9 群 9 枚 |
特殊レンズ | 非球面×2 | ED×1、非球面×2 |
最短撮影距離 | 0.24m | AF:0.35m/MF:0.31m |
防塵防滴 | ○ | ○ |
フィルター径 | 55mm | 49mm |
サイズ | φ64×48.2mm | φ68×45mm |
重量 | 227g | 174g |
較べるとシグマは寄れるのが強み、ソニーは軽さが武器ということがよく判ります。また 24mm と 45mm(50mm)ではソニーの方が微妙に明るいのに、35mm(40mm)ではシグマのほうが明るい。シグマ的には 24mm はどうせあまりボケないから/45mm なら F2.8 でもそれなりにボケるから小型化を優先した一方で 35mm はボケを重視した撮り方もしがちな焦点距離だから F2 にこだわったという感じでしょうか。サイズ感やフィルター径がまちまちであることも含め、「小型軽量なレンズを作る」というふわっとした前提のもとにそれぞれのレンズが狙うスペックを個別最適で考えた結果できたレンズなのでしょう。対するソニーは軽さと鏡筒のサイズありき(外装を共通化してコストダウンする意図もあるはず)の中でどこまでスペックを上げられるかという発想で作られているように見えます。結果的によく似た製品が出てきましたが、企画・設計のアプローチは対照的なのが面白い。
初代 NEX-5 以来の E マウント勢としては今回の三本のレンズはフィルター径が全て 49mm で統一されていることが感慨深い。APS-C E マウント初期のレンズ群は基本的にフィルター径 49mm でレンズ外寸もほぼ統一されていたので、11 年の時を経て当初のコンセプトに回帰したように感じます。やっと自分が E マウントに求めていたものが出てきてくれたと言っても過言ではありません。
以前にも一度書いた通り、前玉よりも後玉を大きくすることでコンパクトで高性能なレンズが作りやすいのがミラーレスの良さの一つ。一時期のミラーレス用レンズは各メーカーの威信をかけた超弩級レンズばかりでしたが、各社のレンズラインアップがある程度揃ってきたこともあってミラーレスの利点を活かしたユニークなレンズが最近増えてきたように感じます。これはミラーレスカメラがもはや成熟期に入った証左であり、シグマやソニーに限らない業界のトレンドだと思われます。キヤノンの EF パンケーキレンズがディスコンに向かう一方で、フルサイズミラーレス用のコンパクトな単焦点レンズの選択肢が一気に広がる流れにあるというのがなんとも象徴的じゃないですか。
小さいカメラ好きとしてはシグマかソニーのこれらのレンズをどれか買いたいところ。私が買うなら、既に FE 35mm F2.8 ZA と FE 55mm F1.8 ZA を持っているのでソニー 24mm F2.8 G とシグマ 45mm F2.8 DG DN で焦点距離の隙間を埋めるかな。CONTAX G レンズでも 45mm ばかり使ってしまうので、ソニーの 40mm とか 50mm を買うくらいならシグマの 45mm が自分の感覚にハマりそうな気がしています。
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