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F1 アゼルバイジャン GP 2021

F1アゼルバイジャンGP決勝:残り5周のまさか……レッドブル・ホンダ初ワンツー幻も、ペレスが優勝。角田裕毅は自己最高7位
F1アゼルバイジャンGPの決勝レースが行なわれ、レッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスが優勝した。角田裕毅はキャリア最高の7位でフィニッシュした。

おめでとうペレス&ヴェッテル&ガスリー!!!

チャンピオン候補者が二人揃ってノーポイントという荒れ模様のレースで表彰台を占めたのは、昨年~一昨年に当時の所属チームを追われた三人でした。

バクーは市街地コースらしくフリー走行から赤旗が続く展開。予選 Q3 では角田裕毅が起こしたクラッシュで全車の最終アタックが中断され、ルクレール~ハミルトン~フェルスタッペンというグリッド。しかしフリー走行からの状況を見る限りではルクレールにトップを守りきれる持続力はなく、決勝に向けて何とかクルマの辻褄を合わせてきたハミルトンが逃げ切るか、フェルスタッペンがアンダー or オーバーカットを決めて逆転するかだろうな…と予想していました。
ルクレールはごく序盤にトップから陥落し、さらにフェルスタッペンが絵に描いたようなオーバーカットを成功させてトップに躍り出たところまでは予想通り。同様にオーバーカットでハミルトンの前に出たペレスとこのまま 1-2 フィニッシュ…と思っていたところでフェルスタッペンのピレリタイヤがバースト。レースはそこで赤旗中断となり、残り 2 周のスプリントレースで再開という形になりました。

■マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

フリー走行から決勝にかけて、タイヤが壊れるまではほぼ完璧な週末を過ごしていたフェルスタッペン。マシンの仕上がりも上々で 3 番手スタートでも「十分勝機はある」と感じさせてくれるだけの安定感でした。ハードタイヤで 30 周と少しという周回数でタイヤが壊れた状況はストロールとほぼ同じで、強いて言えばバーストした周辺のラップではファステストラップ狙いでタイヤに負荷をかけていたことが影響した可能性はありますが、それにしても不運。ピレリはコース上のデブリが原因と言い張っていますが、ピレリタイヤが何の前触れもなくバーストしたのは今回が初めてではありませんからね…。

リタイヤした瞬間は絶望的な気持ちでしたが、ハミルトンが自らのミスによりポイント圏外に落ちたことでドライバーズチャンピオンシップはそのまま。さらにメルセデス勢が今回から新セットのパワーユニットを投入したのに対してホンダ勢は継続、使い古した PU でもパワーでメルセデス勢に負けていないというのが今後に向けてポジティブな要素と言えます。また今後はペレスの協力がな援護射撃が期待できるのも、チャンピオン獲得に向けては大きな収穫でしょう。

■セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)

「新しいマシンに慣れるのに 5 レースかかる」と言って 5 戦目(モナコ)でそれらしい速さを見せ、6 戦目に優勝という有言実行が素晴らしい。Q3 のアクシデントで 6 番グリッドに沈みながらスタートで順位を上げ、さらにオーバーカットを成功させてフェルスタッペンとハミルトンの間に入り、レース終盤までハミルトンを抑え続けました。赤旗後の再スタートでは(スタートに失敗しながらも)ハミルトンと競り合ってハミルトンのミスを誘発したところまで含めて完璧な仕事ぶり。「ライバルチームを牽制するポジションで走り、自チームのエースが脱落した際には自分が勝つ」というのはレッドブルがここ数年求めて得られなかった理想のセカンドドライバー像です。ペレス自身はあわよくば自分がチャンピオンを獲ろうと考えて参戦しているでしょうが、さておきレッドブル・ホンダとしてはタイトル獲得に向けてパズルの最後のピースがようやく揃いました。ここ 2 レース連続でノーポイントに終わっているボッタスとは対照的で、レッドブルとメルセデスはセカンドドライバーにまつわる状況が逆転したと言えます。

個人的には、フォースインディア~レーシングポイントで散々苦労した末にレッドブルに来たペレスには今季 3 勝くらいはさせてあげたい気持ち。

■ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

FP3 でトップタイム、予選でも 4 番グリッド獲得とマシン・ドライバーともに好調を感じさせていた今回のガスリー。レースの展開次第では表彰台も狙えるのではと予想していましたが、本当に 3 位を獲得しました。今シーズンのガスリーは安心して見ていられる強さと自信を身につけたようですね。
特に痺れたのはリスタート後のルクレールとの競り合い。マシン性能的にはフェラーリが一枚上手にも関わらず、手に汗握るバトルの結果ルクレールを抑えきったガスリーの気迫ある走りは見事でした。なんだかんだで F1 デビュー以来毎シーズン表彰台(優勝 1 回含む)に乗っているし、もはや名実ともにトップドライバーの一人と言って差し支えないでしょう。

■角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

予選 Q3 進出と決勝での 7 位入賞はデビュー以来最高の結果。それ自体にも喜びたいですが、今回はそれ以上に週末を通して落ち着いていたことが良かったと思います。フリー走行から予選 Q2 までは大きなミスもなく、きっちり Q2 を突破するタイムを刻めたところまででまずは成長だと思います。Q3 で攻めすぎて単独クラッシュし赤旗の原因となりましたが、まあ初めて Q2 突破してマシンの状態も良ければ Q3 では攻めますよね。予選までに何人もウォールの餌食になっているバクーなら Q3 でのミスは責めるべきではないと思います。
決勝は 7 番グリッドからスタートで順位を落としたものの自力で取り返し、その後も安定感のあるレースを見せてくれました。赤旗中断後の再スタートでノリスとアロンソに交わされて 5 位から 7 位に落ちてしまったのは残念でしたが、ここは経験の差か。角田は今シーズンここまでスタートで順位を落とすことが多く、次に克服すべき課題であることは明らか。他の課題も徐々にクリアしつつあるように見えるので、着実に改善していってくれることに期待します。

結果だけ見るとガスリーよりは見劣りしますが、それでもデビュー 6 戦で入賞 2 回ですからね。しかも今回は予選 Q2 でトップから 0.029 秒差の 4 番手(上はレッドブルの 2 台とハミルトン)という一発の速さも見せてくれました。イモラからモナコまでは苦しみましたが、一歩一歩前に進んでいる実感はあります。もう少し学習のステップを積んで(オーストリアで 2 回レースがあるのがいい機会だと思う)シルバーストンあたりから結果に繋げていってほしいところ。

チャンピオンシップ的には前戦モナコに続いて、レッドブル有利に潮目が変わってきたかなという印象があります。まあメルセデスもそう簡単には勝たせてくれないでしょうが、両ランキングのトップを維持したまま(コンストラクターズに至ってはポイント差を広げて)バクーを後にできたのは大きい。とはいえ次のフランスはパーマネントサーキットにつきまた勢力図が変わる可能性もあります。オーストリアへと続く三連戦でもあるし、さらに楽しみにしています。

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