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神奈川県川崎市宮前平のひれかつ御膳と魚介クリームコロッケ

「ロースかヒレ、その二択だ。うーん、王道のロースか、目覚めるヒレか…?」

ドラマ『孤独のグルメ』の二年ぶりのレギュラーシーズンがついに始まりました。恒例となった大晦日スペシャルも楽しいんだけど、やっぱりレギュラーシーズンがない去年は寂しかった。2020 年は外食産業にとっては本当に辛い年で、その状況は今年もあまり変わっていませんが、だからこそ応援していきたい。ドラマからもその想いが伝わってくるようで、昨夜放送された第 1 話に再登場したキッチン友以外にも旧シーズンのお店が再登場するようで、そういう観点でも楽しみ。

で、私はもちろん第 1 話に登場した「とんかつ しお田」には事前に聖地巡礼してきました。ドラマとは関係なく人気店のようで(ミシュランガイドのビブグルマンに選出されたこともあるらしい)、休日にもなると開店の 30 分以上前から行列ができています。
ちなみに、ドラマではゴローちゃんが宮前平の駅から急坂を登って店に辿り着くシーンがありましたが、距離的には隣の宮崎台駅も大差ありません。こちらの方が起伏が少なく、ゴローちゃんの苦労を追体験したいのでなければオススメです。

とんかつ しお田

そんなわけで、私は 90 分あまり並んだ挙げ句に入店。量や組み合わせのバリエーションも含めメニューが多くて悩ませる。
個人的には初めてのとんかつ屋に来たらロースでその店の実力を量ることにしているけど、ひれかつも捨てがたい。そして周囲を見渡すと組み合わせ系やカツカレーを食べてるお客さんもいて、それもまたうまそうだ…。

そして「盛合せ御膳」の文字も妙に惹かれる。

ん、32℃?なにそれ。
どうやら 32℃ の油でじーっくり揚げたスペシャルなとんかつで、昼夜各二食限定なのだとか。
しかも低温で揚げるから出来上がりに一時間近くかかるようで、実際にひたすら待っているお客さんを見かけました。
ちなみに劇中ではカウンターの端っこでずーっとスマホをいじっているお客さんがいましたが、あれが 32℃ をひたすら待たされている演出というのはお店に行ったことがある人でなければ分からないはず(笑。

お…きたきたきましたよ。
これがひれかつ御膳。

ひれかつもキャベツも白飯や豚汁も、全てが普通のとんかつ屋の基準より大きいような。
でも、行列で待たされた今はこれくらいの分量、軽くいけそうな気がする。

すり胡麻を出してくれるとんかつ屋っていいよね。
胡麻とソースの味が合うって、どこかの店でとんかつを食べて始めて知った気がする。

かつを迎えるための儀式、昂ぶる心をなだめるまじない。うまさへの祈り。
うまくなれ、うまくなれ、と心の中で唱えながらすりこぎを回す。

とんかつ屋の定番、豚汁。
一見何の変哲もない豚汁なんだけど、まず豚肉がうまい。そしてその豚のうまみを受け止めたゴロゴロ野菜たちがまたうまい。

ああ、とんかつ屋の豚汁がおいしいと、幸せが二倍になる。

それで本題のひれかつ。

普通、ひれかつっていうと一口大のやつが三、四個並んでいるものと相場が決まっているけれど、ここのひれかつはそうじゃない。
げんこつサイズのひれかつがどどんと二個。前代未聞、こんなひれかつ見たことない。これ、どうなっているんだ。

箸で切ってみるとその謎が解けました。
ヒレの塊肉を二、三個串刺しにしてまとめて揚げてある。それでこんなに大きいのに、ちゃんと火が通っているのか。

これは…うんうん、う~~~まい!!

うわー、こんなに柔らかいの?
ヒレって、ロースに比べると引き締まっていて肉汁あっさり…というのが常識だったけど、ここのヒレはめちゃくちゃ柔らかいし、そこいらのヒレの数倍はうまみが感じられるし、しっとりしている。
見た目以上に味のインパクトが強くて、これは俺の中のひれかつ観が根底から覆った。

脂身至上主義の俺も、ヒレ伏す魔法のひれかつ。
ただならぬおいしさだ。

続いてクリームコロッケ。壁メニューで見かけて、ゴローちゃんなら絶対これを頼むはず、という直感がありました。

どんなものかも分からずに頼んでみたら、想像とはずいぶん違うクリコロが出てきて驚き。
コロッケ自体も大きいけど、中にでっかい具がゴロゴロ。何これ、初めて見るタイプ。

そして、見た目以上に味にもっと驚き。

クリームのトロトロとイカタコのコリコリ、魚介のうまみと海の香り…全てが渾然一体となって、かつクリームの味が濃い。これ、めちゃくちゃうまいじゃないか。
もしかするとメインディッシュであるはずのとんかつ以上かもしれない。こんなクリコロ、食べたことない。

これは…俺のシーフード魂に火がついたぞ。

というわけで、海老フライ(単品)。
ゴローちゃんは海老フライを特別に一本で頼んでいましたが、あれはあくまでテレビ用で通常は三本でしか注文できません。

それにしても、見事にそそり立つ三本の海老フライ。これは圧倒される。
ただ、この立派な三本に対してタルタルソースがちょっとしかついていないのが、タルタリスト的には惜しい。

サクサクの中に、プリプリ。うわあ…これはヤバい。海老反るうまさ。
尻尾の殻をちゃんと剥いてあって、先っぽ以外残さず食べられるのも嬉しい。
とんかつ屋なのに魚介系フライのレベルが高い…恐れ入りました。

ちなみにひれかつ定食の後に海老フライ三本食べると相当お腹いっぱいになるので、お手軽に五郎さんセットを味わいたければ海老ひれ御膳+クリームコロッケを組み合わせるのがちょうど良いでしょう。

いやあ、全部うまかった。久しぶりにとんかつで感動した。
あれだけ揚げ物食って、胃袋に負担感ゼロ。なんて店だ。

ごちそうさまでした。
次は、ロースを食ってみたい。

『孤独のグルメ』聖地巡礼 全店レポート Season1~10&原作
ドラマ&漫画『孤独のグルメ』の聖地を実際に巡礼してきた本人によるまとめです。(※2017 年大晦日スペシャルの広島編、2019 年大晦日スペシャルの釜山編、2023 年大晦日スペシャルの台湾編、および原作の病院、パリのみ未巡礼)。 ドラマ...

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