サマーブレイク明け三連戦の最後となるイタリア GP。昨年のガスリー初優勝の例もあるとおり波乱が起きがちなモンツァ、かつスプリント予選があって週末の進行がいつもと違うということで、ちょっと荒れるかもと思っていましたが予想以上の波乱になりました。フェルスタッペンとハミルトンが接触し両者リタイヤ、その結果リカルドの移籍後初優勝を含むマクラーレンの 1-2 フィニッシュ。チャンピオンを争う二人が交錯してダブルリタイヤというのは後味悪いですが、その代わりポディウムは新鮮な顔ぶれに。個人的にはマクラーレンは今シーズン一回くらい勝ってもおかしくないと思っていましたが、ノリスではなくリカルドが先に勝つとは。こういうことがあるからレースは面白い。今季限りでのメルセデス離脱が決まったボッタスが最後尾スタートから追い上げて 3 位入賞し、妙にスッキリした顔をしていたのも印象的でした。
■マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
シケインでのハミルトンとの接触は 1989 年の鈴鹿でのセナプロを彷彿とさせる展開でした。イギリス GP での一件の後、いずれこういうことは起きるだろうと予想していたので驚きはありません。ピットレーンから出てきたハミルトンがターン 1 に入っていくところでマックスに幅寄せしてきて、マックスとしては接触覚悟でそのまま行くか次のシケインをショートカットするかしかなかった。中途半端だったらシルバーストン同様にマックスがコースから弾き出されていた可能性もありますが、あそこで譲らなかったのはあのときと同じ展開にはもうならないというマックスの意地だったように思います。
そういうことも含め、あの事故はレーシングインシデントであり責任は 50:50 だろうと思っていたのですが、スチュワードの裁定はマックスに次戦 3 グリッドペナルティ。仮にマックスに非があったとしても同様の状況だったイギリス(ハミルトンに 10 秒ペナルティ)より重い裁定というのはちょっと納得がいかないですね。
ともあれ、レッドブルは次のロシア GP ではこのペナルティを逆手にとってマックス車の PU 交換を入れる(=いずれにしても最後尾スタート)可能性が高いと思われます。
チャンピオンシップの上では決勝は両者ノーポイント、しかしスプリント予選で 2 位だったフェルスタッペンは 2pt を獲得し、ハミルトンとの点差を 5pt に広げました。ポイント差を広げつつ残りレース数が一つ減ったという意味では、レッドブルにとっては「これで良い」結果だったのかもしれません。
■セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)
予選ではマックスに自身のトウを使わせる牽引役として働いて 9 番手。スプリント予選では一つポジションを上げて(といってもそれはガスリーのリタイヤによる)8 位。そこから順位を上げて決勝は 5 位入賞、という結果だけ見れば頑張ったと言えますが、レース終盤にシケインをカットしてフェラーリをパスし、そのまま順位を戻さなかったことで 5 秒ペナルティを受けての 3 位→5 位へのポジションダウンはいくらなんでも残念。後半戦に入ってからのペレスはとにかく噛み合いませんね…。移籍発表と PU 交換で生き生きしているボッタスとは対照的。ドライバーズ/コンストラクターズの両チャンピオンシップにおいてペレスは重要な役割を占めているだけに、本人もチームも不要なミスはなくしてほしいところ。
■ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
予選は 6 番手につける「いつもの安定して速いガスリー」でしたが、スプリント予選のスタート直後にリカルドと接触してコースオフ、リタイヤ。決勝はマシンを修復してピットレーンスタートしたものの、修復が不十分だったようで(?)早々にリタイヤ。昨年のイタリア GP のウィナーとして今回も目立つ走りを期待していただけに残念です。スプリント予選スタート後の動きは少し楽観的すぎたかなあ…。
■角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
後半戦に入って、フリー走行の最初は無理せずにジワジワとコースを習熟していくアプローチを採っている角田。これまでのところそれはうまくいっているように見えましたが、スプリント予選のある週末は FP1 の 60 分しか習熟時間がないというのはやはり厳しい。予選では一度は Q1 突破タイムを記録できたように見えたものの、トラックリミット違反でタイム抹消。結果的に Q1 脱落となりました。頻繁にトラックリミットを越えてしまうというのは、やはりアンダーステアな AT02 は角田には合っていないということなんでしょうね…。
スプリント予選を経て決勝は 15 番手スタートのはずでしたが、レコノサンスラップ時にマシントラブルが発覚し、そのままピットへ。まさかの決勝 DNS となり、ガスリーともども決勝をほとんど走れないまま終わってしまうというあり得ないレースになりました。ホームグランプリでこれをやらかしてしまうあたりがイタリアチームなんだよなあ…。
残念ながらイタリア GP はレッドブル・アルファタウリ陣営のためのレースではなかったということです。さっさと忘れて、次のソチに目を向けていくしかありません。
それはそれとしてマクラーレンは 2012 年以来の優勝(1-2 フィニッシュに至っては 2010 年以来)。この 9 年、ホンダと組んだ悪夢のような 3 年間もありましたが、それ以前からチームの迷走は始まっていたんですよね…。さておき今のマクラーレンは良いチームに再びなってきたし、リカルドとノリスの 1-2 フィニッシュを今は素直に祝福したいと思います。そしてできるだけ早いうちにノリスの初優勝も見たい。引き続きレッドブルとメルセデスの戦いに割って入ってきてくれることを期待します。
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