今年楽しみにしていた映画のひとつを観に行ってきました。
「SF 小説の金字塔」と呼ばれる、フランク・ハーバート作小説の映画化です。1984 年にもデヴィッド・リンチ監督で一度映画化されているんですが、駄作との呼び声が高くて私は敬遠していました。しかし今回はレジェンダリー製作、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督という体制ということで期待できる。というわけで再映画化の発表当時からずっと楽しみにしていたのでした。
巨大なサンドワームが支配する惑星アラキス(通称デューン)。そこで穫れる「メランジ」と呼ばれるスパイスは宇宙に暮らす人々に欠かせないものとなっており、その取引は莫大な利益をもたらす。その管理を宇宙皇帝から新たに任されたアトレイデス家がアラキスへ移住するが、そこでそれまでアラキスを管理していたハルコンネン家、修道会ベネ・ゲセリット、さらにアラキスの先住民フレメンによる勢力争いに巻き込まれる。アトレイデス家の嫡男ポールは生まれながらに予知夢などの不思議な能力を持ち、この争乱の中心人物となっていく…という話。
私は原作小説も未読だったので、初見の印象は「『スター・ウォーズ』の惑星タトゥイーンを舞台に『風の谷のナウシカ』的な物語が繰り広げられている」というもの。本当は逆で、SW やナウシカが原作小説の影響を受けているわけですが、前者を先に知った私としては奇妙な感覚です。そういえば散々ファンタジー系 RPG をやった後に初めて『ロード・オブ・ザ・リング』を観たときもこんな気分だったなあ(笑
でも話のプロットはほぼナウシカと同じと言って良く、いかに宮崎駿が DUNE の影響を受けていたかを改めて知ることになりました。しかし小説しかない段階でこれをヒントにナウシカを映像化していたのはすごい。だってナウシカの方がリンチ版 DUNE の米国公開より先なんですよ。
ちなみに『閃光のハサウェイ』のマフティーも、本作のマフディー(救世主)が元ネタですね。まさかガンダムにまで影響を与えているとは。
出演は軒並み他作品で見覚えのある俳優ばかりで、製作体制も含め「絶対に成功させなくてはならない」という使命感を感じるキャスティング。中でも主人公ポールの母レディ・ジェシカ役は先日観た『レミニセンス』でもヒロインを演じていたレベッカ・ファーガソン…やはり彼女がスクリーンに登場すると目を奪われてしまいます。アトレイデス公役のオスカー・アイザックは SW 新三部作のイメージが強すぎて本作でもポー・ダメロンに見えて仕方なかったですが(笑。
映像は本当にスケールが大きくて、ラージフォーマット撮影ならではの広々とした空気感で惑星アラキスが表現されています。また宇宙船や飛行マシン(これがまたジブリ的でカッコイイ)も従来の SF 映画とは一線を画す造形とギミックで、本作の独特の世界観を構築しています。そして巨大なサンドワームのアクション…これはとにかく大きなスクリーンで観ないともったいない映画ですね。私は久しぶりに川崎 109 の IMAX シアターで観ましたが、これはわざわざ池袋まで脚を伸ばしてシネマサンシャインの IMAX/GT で観たらなお良かったかも。
映画としては冒頭にかなりしっかりした説明パートがあるにも関わらず、独自用語と登場人物が多いのと、いったん始まったらあまり説明なしにどんどん進んで行ってしまうのでついていくのがちょっと大変。でもナウシカやこの手の SF 作品をある程度観慣れていれば「たぶんこういうことだろう」で自己解決しながら追いついてはいけます(笑。これだけ展開が早くても 2 時間半に収まらないのが大作たる所以。それでも映画一本で描ききれるのか?と思っていたら…オープニングに「DUNE PART ONE」の文字が(笑)もともと二部作として計画されていたようですね。
というわけで、本作はあくまでポールがフレメンに合流するまでを描いたのみ。これがどのような戦争に繋がっていくのか、実質的な本編は後編でということになります。それでも十分すぎるほど大スケールな映像とアクションに満ちていて、SF 好きならば一見の価値があると思います。原作小説は全 6 編が執筆されており、世界観の大きさを考えるとそれらの続編やスピンオフ等を含めた一大シリーズに成長する可能性もあります。とりあえずは映像作品として幕を開けた物語がどう進んでいくのか、後編に期待。これは私は Blu-ray も買うと思います。
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