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ディア・エヴァン・ハンセン @T・ジョイ PRINCE 品川

この秋冬は『リスペクト』、それと 2 月に国内公開が延期された『ウエスト・サイド・ストーリー』など音楽映画が豊作。その中でも注目していたミュージカル映画を観に行ってきました。

ディア・エヴァン・ハンセン

ディア・エヴァン・ハンセン

原作はブロードウェイミュージカル。2015 年に初演された比較的新しい作品のようですね。物語の展開に関わる部分に Facebook や Instagram などの SNS が登場する現代らしいテーマのミュージカル作品です。

社交不安障害を抱える主人公エヴァン・ハンセンと同じハイスクールに通う問題児のコナーがある日突然自殺。その死にまつわる遺族の勘違いと、エヴァンの優しさから発したちょっとした嘘がもとで話がどんどん大きくなり、取り返しがつかなくなってしまう…というストーリー。話が大きくなっていくくだりとそれに関連する「ネット炎上」に SNS が絡んでくるあたりが今っぽい。
あまり事前情報を仕入れずに観に行ったのでもっとストレートな青春映画かと思っていましたが、鬱や精神疾患、母子家庭、薬物、DV など現代の社会問題を扱った重めの映画でした。

しかし重いテーマとは裏腹に、楽曲がどれもポジティブでパワフルなのが印象的でした。音楽を『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』にも楽曲を提供したパセク&ポールが手がけ、エヴァン役がブロードウェイでも主役を演じたベン・プラットということも大きいのでしょうか。エヴァン以外が歌った曲も含め、音楽と歌唱は全般的に素晴らしかった。これはサントラ買う価値ありますね。
ただ先述のとおり重めのストーリー展開と楽曲のギャップが大きくて、シナリオが進むほどそのギャップが広がっていく感覚がありました。物語はどんどん嘘が大きくなって取り返しがつかなくなっていくのに、楽曲はポジティブで明るめなものが多い。エヴァンの妄想と音楽がシンクロする映像のギミックは面白かったですが、音楽的には盛り上がっていくのにオチにカタルシスがあまりなかったせいで感情の持って行き場がありませんでした…。構成的には『レ・ミゼラブル』のクライマックスのように、一つの楽曲の上で思惑の違う登場人物たちの想いが交錯して絡み合ったまま大事件が起きる…みたいな作り方もあったと思うのに、中途半端に萎んで終わってしまった。

音楽とパフォーマンスが素晴らしかったけど、残念ながらストーリーは私にはあまり刺さりませんでした。世代や環境が違う人であればまた違う印象を受けるのかもしれませんが。もっとこういうことの渦中にある十代、二十代向けの作品なのかもしれません。

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