「やっぱりとんかつといえば、脂身のロースだなあ」
放送から半年ほど経ってそろそろ混雑も少し落ち着いただろうということで、ドラマ『孤独のグルメ Season9』第 1 話に登場した川崎宮前平の「とんかつ しお田」に久しぶりにやって来ました。ここのとんかつ、一度食べたら忘れられない味。私が今までに食べてきたとんかつの中でもトップクラスにおいしい店であることは間違いありません。
半年間焦がれてきたあの味とようやく再会できる。これは昂ぶらずにはいられない。
ドラマ放送前後には大行列で混乱もあったようですが、現在では記帳式に変更されて店先が混雑することはほぼなくなったようです。
昼は三部制、夜は二部制の入れ替え式。記帳後は時間に合わせてお店に戻って来れば良く、客としても助かります。特に真夏や真冬は並ぶのも辛いですからね。
ちなみに 10 時記帳開始のところ、9:30 に来てみたら一番乗りでした。私が行った日は 10 時前には一巡目の記帳分が埋まってしまう程度には並んでいたため、確実に食べたいメニューがある場合は早めに並んだ方が良いと思われます。
私は開店時刻(11:00)のスロットに記帳できたので、それまでは宮崎台の駅まで歩いてタリーズで時間を潰しました。宮崎台なら今は TSO DENBUS ワークスペースがシェアオフィスとして利用できるようなので、電車好きであればここで過ごすのも良さそう。
というわけで、11 時に戻ってきて入店。基本的にカウンターの端から順に着席とのことで、一番客の私は隅っこに座りました。
私が見た限りでは 12 時の回には記帳なしでも何人か入店できていたようで、やはり今は一時期ほどの混雑ではないのでしょう。
今回のお目当ては以前から気になっていた「32℃ 豚ロースかつ」。ドラマの劇中にも登場した、昼・夜各 2 食限定という超レアメニューです。朝イチから並んだのはこれのため。
あとはサイドメニューとしてとんかつ以上に感動したと言って良いクリームコロッケを注文して…と思ったら、
冬季限定の牡蛎フライ!そういうのもあるのか。
他のメニューとは一線を画す勢いで修飾されたこの貼り紙の感じからして、お店的にも推しの一品に違いない。
ううむ、クリコロを頼むつもりだったけどこの牡蛎フライも捨てがたい。あるいは両方…いやいやいや、この店の料理はどれもすごいボリュームだから、どっちかに絞らないと食べきれない。
32℃ 豚ロースかつは注文時に「一時間ほどかかりますがよろしいですか?」と確認されます。低温でじっくり熱していくんだから、時間がかかるのは仕方ない。
そして当然のように開店一巡目であっさり売り切れ。一番乗りして本当に良かった。
ここから、カウンターの端っこの席で一時間。他のお客さんのとんかつが出来上がり、完食して退店するのを何人も見送りながら、空腹を傍らにひたすら待つ。
劇中でもゴローが食べている間ずっとスマホをいじっているだけのお客さんがいたけど、まさか自分があれと全く同じことになるとは。本当にスマホをいじる以外にすることがない。
で、きっちり一時間で提供される 32℃ 豚ロースかつ。
出てきた瞬間に、店内のすべての視線がこっちに集まるのを感じる。二食限定は伊達じゃない。
一時間待ってこちらの空腹も完全に出来上がってしまい、もはや黄金色のとんかつが輝いて見える。
こちらがその 32℃ 豚ロースカツです。
一見以前食べたロースかつとそんなに変わらないように見えて、よく見ると全然別物。豚肉の赤身の部分がしっとりとみずみずしいのが見た目で判る。
これ、絶対おいしいやつだ。
例によって具にまでよく味のしみた豚汁。
中に入ってる豚肉も野菜も、一つ一つがうまい。生きている喜びをしみじみと感じられる豚汁だ。
32℃ 豚ロースかつに添えられてくるのが、自家製の燻製塩とライム。
おかあさん曰く「最初は塩で、脂身にはライムを搾って食べてみてください」とのこと。
今までいろんなとんかつ屋で様々な種類の岩塩や海塩でとんかつを食べたけど、燻製塩は初めて。
もちろんとんかつにレモンじゃなくライムを搾るのも初めての体験。
というわけで、最初は燻製塩で。
こ…これは!!!
この赤身の食感、見た目以上にしっとりしていて、肉自体のうまみを感じる。そして脂身はまさに舌の上で溶けていく感覚。
さらに燻製塩の香りもいい…これはロースかつの概念がちょっと変わった。これには参りました。
そこに出てくる牡蛎フライ。ほーう、これか。
確かにこれは大粒。普通の定食屋で出てくるカキフライの倍くらいあるように見える。
サクサクの衣の下から現れる、プリッ、とろっ、とした牡蛎が絶品。
そしてお店特製のタルタルソースもいい味出してるんだよなあ。タルタリスト的にはこのソースだけ茶碗一杯に出してくれてもいいんですよ。
魚介たっぷりのクリームコロッケもめちゃくちゃおいしいんだけど、この牡蛎フライにもまた別の世界が広がっていた。
大将、とんかつ屋なのに魚介にも目が利くというのは捨て置けない。
32℃ 豚ロースかつのほうは脂身にライムも試してみました。
おおお…これはうまい!レモンとは違う甘みと香りのある酸味が、融点の低い脂の甘みを絶妙に引き出している。
オーソドックスにいただいた前回の通常ロースかつもうまかったけど、この 32℃ はそれとは違った地平を切り拓いてくれた。
とんかつの道も、深く果てしない。
ああ、全部おいしかった。朝早くから並んだ甲斐がありました。
このまま帰ってしまうのはなんかもったいない気がして、この満足感にしばらく浸るために近くにあるこちらに立ち寄ってみました。
この地域では有名なスーパー銭湯のようですね。
地元で湧いた源泉と、露天風呂も含め多彩な風呂でゆったり寛げる。東京からちょっと多摩川を越えてきただけで、こんな場所があったとは。
いつも見ている空を露天風呂から見上げるっていうのもたまにはいいじゃないですか。
とんかつからの温泉コース、すっかり気に入ってしまいました。
次はかつカレーからの温泉を決めてみるのもいいかもしれません。もちろん、クリコロもつけて。
ごちそうさまでした。
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