マックス・フェルスタッペンの母国 GP となるオランダ・ザントフォールト。チャンピオンとしての凱旋レースとなった今回も「さすが」の速さで今季 10 勝目、改めて強さを見せつけたレースとなりました。しかし前戦ベルギーとは違って楽勝とはならず、しかもレッドブルの前に立ちはだかったのはフェラーリではなくメルセデスだったという。レッドブルのワンサイドゲームが続いていた今季において、久しぶりにレースとして面白かったんじゃないですかね?
■レッドブル
フェルスタッペンのポールトゥウィン+ファステストラップ、と考えると今回も圧勝感がありますが、終盤のセーフティカー導入に助けられた薄氷の勝利でした。そうでなければタイヤ戦略で奇策に出たメルセデスに追いつけていたかどうか微妙なところです。強運と言えばそうなのですが、戦況が一変したときに勝てる位置にいることこそディフェンディングチャンピオンの強さ。仮に首位でなくても誰よりもタイヤを労って速く走りつつ、何かあったときに逆転できるポジションにいるからこそチャンスをモノにできるわけで。例えば去年までのハミルトンがそうだったように、今年のフェルスタッペンはまさにそういう状態にあると言えます。昨年の激しいチャンピオン争いを経て大きく成長したフェルスタッペンの強さを改めて実感したレースでした。
そういう強さとは対照的だったのが今回のペレス。ベルギーでもマックスに大きく水をあけられての 2 位でしたが、フェラーリやメルセデスを含む混戦になると沈んでしまいますね…もはやペレスのアシストがなくてもレッドブルのダブルタイトルはほぼ確実とはいえ、マシン開発が進むほどペレスが輝きを失っていくのは少し心配。
■メルセデス
久しぶりに強いメルセデスを見ることができました。最終的にはセーフティカー導入のアヤで勝利のチャンスを失いましたが、ワンストップ戦略を実行していたレース中盤までの流れは完全にレッドブルを出し抜いていました。そこからの状況変化に伴うストラテジーの読み合いと、それに応えるドライバー陣の走りには痺れましたね。やはりレッドブルと同じレベルで戦うことができるのはフェラーリではなくメルセデスだし、もしメルセデスがフェラーリ並みに速いクルマを持っていたらこんなにレッドブル楽勝のシーズンにはなっていなかったはずです。
残念ながらメルセデス W13 はまだサーキットによって速かったり遅かったりする状況ですが、(気の早い話だけど)開幕時点からある程度の速さを発揮しそうな来シーズンのレッドブルとの戦いが楽しみになりました。そういう状況でハミルトンとラッセルの関係がどうなるかも興味深いけど(笑
■フェラーリ
メルセデスの躍進とは対照的に、予選以外では存在感がほぼ空気でした。いや、複数回のピットミスのときだけは目立ってたか(笑
フェラーリの毎度毎度の「やらかし」にはもう呆れを通り越して最近怒りさえ感じるようになってきました。フェルスタッペンとルクレールのポイント差はもはや三桁、シーズンの面白さを台無しにしたのは多くがフェラーリのチーム運営のなってなさだし、今回のピット作業における「タイヤが用意されてない」とか「ホイールガンを地べたに置きっぱなしにする」とかはもう F1 に相応しくないレベル。チーム代表のマティア・ビノットには全く危機感が感じられないし、もうこのチームどうしたらいいんでしょうか。
■アルファタウリ
フェラーリに輪をかけてひどいのがアルファタウリですよ。せっかく角田が殊勲の走りで予選 Q3 進出を果たしたのにマシントラブル。いやトラブル自体はある程度仕方ないにしても、角田がピットイン後に「タイヤが正しく装着されていない」と危険を感じてクルマを停めたところで「タイヤは大丈夫だからとにかく走れ」との無線。結果的にはデフのトラブルだったわけですが、チーム側ではそのトラブルを一旦見逃した上にシートベルトが緩んだ状態で走らせて戒告処分。これで角田はシーズン中の戒告が累計 5 回となり、次戦イタリアでは 10 グリッドダウンペナルティーを受けるというオマケつき。僚友ガスリーも奮闘虚しく 11 位ノーポイントだし、これではあまりにもドライバーが報われません。そしてこのチームも何度やらかしても改善の兆候が見られないんですよね…去年までもいろいろあったけど今年は特にひどい。昨シーズンはクルマがそれなりに速かったからやらかしがカバーされていたのが、今年は戦闘力が相対的に下がった分目立つようになったということなのかもしれませんが。レッドブル昇格の目のないガスリーがアルピーヌ移籍を画策するのも無理はないと思います(アルピーヌもアルピーヌで問題が多いけど)。
シーズンは第 15 戦を終えてフェルスタッペンとルクレールおよびペレスとの点差が 109。鈴鹿に行くつもりの私としては、チャンピオンがどの時点で確定するのかがそろそろ気になり始めました。鈴鹿周辺で確定する可能性が高い状況ですが、次のイタリア→シンガポールまで終わった時点で 138pt 差がついていたら鈴鹿を待たずに確定なんですよね(鈴鹿を追えた時点で 112pt 差がついていれば日本グランプリで確定)。ルクレールとペレスにはもう少しだけ粘ってくれることを期待しています。
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