Apple初のARデバイス「Apple Vision Pro」 – AV Watch
【西田宗千佳のRandomTracking】「Apple Vision Pro」実機を撮ってきた。15インチMacBook Air、Mac Proも – AV Watch
数年来噂されていた Apple の AR デバイスが、「Apple Vision Pro」として遂に発表されました。
つい先日 Meta Quest 3 が発表されたところですが(というかアレは Apple の WWDC での発表にぶつけてきたのでしょう)、VR/AR HMD というカテゴリー的には同じものの両車が実際に目指しているところは全然違っていました。
Meta Quest 3 はビデオシースルーによる AR 機能こそ持っているものの、メインユーセージは従来と同じく没入型の VR ゲームとして訴求されています。一方の Apple Vision Pro は AR を主軸としてゲームよりも日常的なコンピューティングデバイスとして使わせよう、ということを明確に打ち出しています。
ということを考えていたら「キャズムを超えろ!」でより詳細に書かれていたので、リンクを張っておきます。
まあ実際のところはこのコンセプトの延長線上で Apple Vision シリーズが現在のスマホや PC を置き換えるコンピューティングデバイスになるかはまだ分かりません。個人的には次世代のコンピューターは物理的なディスプレイに縛られないデバイスになってほしいと思っているけれど、そういう次世代のコンピューティングで覇権を取るのはそろそろ Apple 以外の企業に来てほしいと思っている部分もあり。でもいずれにしてもコンピューティングを変えるのは VR じゃなくて AR だよね、というのには同意です。6~7 年前の VR ブームの頃から言われていたことではありますが。
話を Apple Vision Pro に戻すと、思ってたよりもずっと豪華な「全部盛り」で来たなあという印象です。マイクロ OLED ディスプレイ、空間オーディオ対応、M2 プロセッサーに加えて多数のカメラ/センサー情報を処理するための新規プロセッサー「R1」、視線トラッキング、虹彩認証、それからビデオシースルーとは逆に表情(目)を HMD の外側に向けて表示させる「EyeSight」(スバルの運転支援システムと名前が被った)まで搭載。ここまでやるからには価格は安くはなく、北米で USD3,499~、日本円では 50 万円近くになると言われています。今の為替で日本円換算するとメチャ高いですが、ドル建てなら Apple の新規デバイスてんこ盛りの初物としてはまあそんなもんか…という値段ではあります。
まあ「Apple Vision Pro」というネーミングからも分かるとおり、いずれは普及価格帯の「Apple Vision」なり「Apple Vision Air」なりが出てくることは確定とみてよいでしょう。今の Pro はまずはディベロッパー向けで各種アプリを開発してもらうためのプラットフォームであり、1~3 年後に R1 が担っていた処理を将来の Apple Silicon(M3?M4?)単体で賄えるようになったところで一気にアクセルを踏む算段ではないでしょうか。VR/AR 自体の普及がまだまだ様々なデバイスやソフト開発環境の進化を待たなくてはならないことを考えると、Apple も数年スパンでの普及を想定しているものと思われます。そもそも Apple が ARKit を発表してから Apple Vision Pro の登場まで数年単位でかかっていますからね。
ただ、最初は高価な開発者向けキットを発売して、一般ユーザー向けの廉価版は後から…というのはかつて Microsoft が HoloLens で通って、そして挫折してきた道でもあります。HoloLens は結局開発者向け版の二世代目まで出したところでプロジェクトが破棄されてしまいました。同じようなアプローチだけど Apple ならやれるのか、あるいは HoloLens の頃とは環境が変わってきているからうまくいくのかはまだ何とも言えません。
私はさすがにこれに 50 万円はポンとは出せないので、普及版が出てくるまで同行を横目で眺めつつ、Meta Quest が最新モデルでどれくらい進歩したかは確かめたいと思っています。あれも今の日本円にすると安くはないんですけどね…。
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