ちょっと自由が丘に出掛ける機会がありました。
自由が丘ってオシャレな街というイメージがあるけど実際には古いものがたくさんあるゴチャゴチャした街で、他のエリアで近年再開発が進んでいるのをみるとそろそろ時代遅れになってきている感もありました。が、ここにきてついに駅前の再開発が始まり、ロータリー右手の区画の取り壊しがほぼ完了。跡地には二年後に 14 階建て・高さ 60m の複合ビルが開業予定ということで景観が大きく変わることになります。
しかしその向かい、線路沿いに佇む長屋のような商業施設「自由が丘デパート」は再開発の対象に含まれていないようで、この昭和レトロな場所は当面残っていく模様。一般的な自由が丘のイメージからかけ離れた場所でありながら、ある意味で最も古き良き自由が丘らしい場所でもあるこのビルをまだ見ていられるのはなんか安心するものがあります。
今回はその自由が丘デパート内にあるこちらのお店にお邪魔してみました。
何とも珍しいハンガリー料理のお店。けっこういろんな国の料理を食べたことがあるつもりだけど、ハンガリー料理って食べたことがありませんでした。
自由が丘で五十年以上の歴史を持つというこちらのお店。もう店構えからして時代の重みを感じます。「レトロ」っていうのはこういう店のためにある言葉なんじゃないでしょうか。
この建物そのものの雰囲気といい、ハンガリー料理の珍しさといい、孤独のグルメの異国メシ回に出てきてもおかしくない。
ディナータイムの開店直後に入ったところ、最奥の窓際席を案内されました。
自由が丘デパート 3F の端っこにある店だから、窓の外は駅前ロータリー。自由が丘の街を一望しながら食事を楽しめるちょっとした特別感、いいじゃないですか。
メニューはこんな感じ。
ロールキャベツってハンガリー料理だったの！？という驚きがあります。他にもパプリカを使った料理がとても多く、それこそがハンガリー流という感じ。全体的にお上品というよりも家庭料理っぽい雰囲気なのも良さそう。
何はなくともビールから。
メニューにはハンガリーのお隣クロアチアのビールもあったけど、一杯目は生ビールが欲しかったからアサヒをいただきました。
グヤーシュスープ。代表的なハンガリー料理とのことで、それは飲んでみるしかないでしょう。
見た目はボルシチ、あるいはトマトベースのビーフシチューっぽいけどこの赤色はトマトではなくパプリカ由来。牛肉とパプリカをはじめとした野菜のうまみがたっぷり出ているけどそれほど重くはなく、食事を始めるのにちょうど良い一杯。
これは気に入りました。今後ハンガリー料理を食べるときはまずここからスタートしたい味。
スープの合間にパンを食べても良いし、ちぎったパンをスープに浸してもおいしい。
バターを球状に掬って添えてあるのもかわいくてイイ。
ポークのチーズのせカツレツ。
日本のとんかつよりも少し薄切りの豚肉をカツレツにしたもの、つまりはドイツ周辺でポピュラーなシュニッツェルとほぼイコールですかね。
さっきのグヤーシュはちょっとボルシチっぽいと思ったけど、やはりドイツやオーストリア、ロシアに挟まれた地域だから（歴史上いろいろあった結果も含め）食文化が近いということでしょうか。
カツレツの上に乗ったチーズがなんかこんもりしていると思ったら、チーズの下にはたっぷりのトマトソース（？）が隠れていました。
サクサクのカツレツに濃いめのチーズとトマト味、とても満足度が高い。横に添えられているにんじんといんげんのグラッセも、子どもの頃大好きだった甘い味付け。カツレツも含めて、幼い頃にデパートの洋食レストランに連れて行ってもらったことを懐かしく思い出す味。
そしてどんなのか気になっていたロールキャベツ。
日本の家庭料理としてのロールキャベツは透明なコンソメスープで煮込むのが一般的だけど、ここのはパプリカとブイヨンを使った赤いスープ。キャベツに包まれている挽肉も日本のロールキャベツよりもちょっと緩めで、タマネギの他に米も入っている（！）からこれ単体で主食になります。一般的なロールキャベツのイメージとはちょっと違う濃厚で食べ応えあるロールキャベツ、一度食べたら忘れられなくなりそう。
あー、おいしかった。パプリカの赤は幸せの赤、ということがよーく解りました。
お店全体に手作り感があって、まるで自宅にいるような安心感。昔からハンガリーの人が多く食べに来ているお店のようですが、日本人の私でもその気持ちが理解できる気がします。
ハンガリーってあまり馴染みがないけど（F1 の開催国という意味では昔からよく知っているけど）、古都ブダペストはヨーロッパで訪れてみたい場所の個人的トップ 5 には入っているんですよね。一度観光がてら、本場のロールキャベツを食べに行ってみたいところです。
ここは気に入ったので、自由が丘に来ることがあったらまた食べに来ようと思います。
ごちそうさまでした。
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