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F1 サウジアラビア GP 2024

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開幕戦からの連戦で開催されたサウジアラビア GP。バーレーンとは異なる市街地高速サーキットということで、また違った状況下での勢力図が見えてくるレースでした。

■トップ 5

レッドブルはここでも盤石の 1-2。フェルスタッペンが大差をつけて(それでも限界は攻めていないように見えた)優勝したのにはもう驚きもしませんが、決勝ではペレスまでもフェラーリと大きなギャップを築いていました。ピットアウト時のアンセーフリリースによる 5 秒ペナルティーを受けてもなお安全に 2 位フィニッシュという結果ですから、ペレスが得意なストリートサーキットという条件を差し引いても RB20 がいかに速いかが分かります。このまま次のオーストラリアも勝てば個人連勝記録はフェルスタッペン自身が昨年樹立した「10」に並び、このまま 4 月の鈴鹿で記録更新しそうな勢い。

レッドブルに続いたのはまたしてもフェラーリ。しかし今回表彰台に上ったのはルクレールでした。僚友サインツは虫垂炎で欠場し、代役を務めたベアマンは 11 番手スタートから決勝では 7 位入賞。戦闘力のあるクルマとはいえ急遽決まったデビュー戦でいきなり入賞は立派。来季のフェラーリはルクレール&ハミルトンのラインアップが既に決まっていますが、ハースあたりからフル参戦するんじゃないでしょうか。

勢力図としてはレッドブル、フェラーリに少し遅れてメルセデス/マクラーレン/アストンのメルセデス PU 系 3 チームが団子状態。おそらく今シーズンはサーキットとの相性やセットアップ次第でレースごとに序列が入れ替わるような関係になるのではないでしょうか。このトップ 5 で決勝の 1~9 位はほぼ埋まっていて、ストロールあたりがやらかした場合に 10 位の座を残り 5 チームで奪い合う…そんな厳しいシーズンになりそうです。

■ハース

今回その残り 1 席を射止めたのはハースでした。ストロールが単独クラッシュでリタイヤし、空席となった 10 位入賞を狙って各チームの戦略が分かれます。入賞をもぎ取ったヒュルケンベルグはこのセーフティーカー導入の際にステイアウトを選択した 4 台のうちの 1 人で、これが単独の戦略だったら成功していたかどうか分かりませんがチーム戦略によるマグヌッセンのアシストが見事成功して 10 位入賞。その戦略というのが「マグヌッセンをわざと遅く走らせて後続の蓋をさせ、ヒュルケンベルグのタイヤ交換のためのタイムギャップを稼ぐ」というもの。マグヌッセンに関してはその前にアルボンとの接触に伴う 10 秒ペナルティーが確定していたからチームとしては捨て駒として使いやすかったという状況はあるでしょうが、咄嗟にそのドライな判断を下して実行に移させるというのはチーム、ひいては代表である小松さんが巧みだったと言わざるを得ません。

今季のように接戦で中団以下のチームにとって入賞の機会が少ないシーズンでは万遍なくそこそこ速いマシンよりも例えば直線番長のクルマに仕立てて高速サーキットに賭け、戦略も含めたチームの総力戦でポイントをもぎ取りに行く方がコンストラクターズチャンピオンシップでは効率的。ジェッダはまさに高速サーキットで、今季のハースは直線が速くて抜かれにくいクルマ。あらかじめシーズン全体を見据えてこういうサーキットでの戦い方をある程度想定(とはいえマグヌッセンのペナルティーは偶然でしょうが)していたからこそできることでしょう。それくらい、今回のハースの戦略には執念を感じました。まあコースアウトしながらのオーバーテイクでさらに 10 秒ペナルティーをもらってでも後続を抑えるような走りはどうかと思うし、ああいうラフでダーティーなバトルの仕方が悪い意味で KMAG らしいとは思うけど、チームとして遂行している戦略自体は間違っていない。
あの戦い方はスポーツとしてはどうなのかという視点はあるはずだから近いうちにレギュレーション改定があるような気はしますが、良くも悪くもこういうレギュレーションのグレーゾーンを攻めるレースも F1 の醍醐味のひとつだと思います。

■RB

予選では角田裕毅が見事 Q3 進出、しかも 9 番手グリッド獲得は見事でした。決勝レースも序盤までは入賞が見える位置を走っており、開幕戦での悔しさを晴らさせてくれるか…と思っていたらハースに完全にやられてしまいました。
今回は角田にもチームにも瑕疵らしい瑕疵はなかったように思います。直接的な敗因が唯一あるとしたら角田のクルマの右ミラーがマグヌッセンとのバトル中に吹き飛んでしまい、右後方を警戒できなくなったことはバトルに影響していたかもしれません(オコンに抜かれたのはそれが原因っぽい)。でも私が感じたのは RB というチームにハースのような貪欲さ、年間を通じてどのレースでポイントをもぎ取りに行くかという戦略、そういったものがないことこそが RB の敗因ではないかということです。当初の予定通り、あるいは教科書通りにタイヤ交換したらあとはドライバー任せ…ではハースのような生きた計略を打ってくるライバルには到底敵わない。
またマシンに関してもトップスピードが遅くタイヤのデグラデーションが厳しい特性がこの 2 レースで明らかになりました。だから単独走行できる予選ではそこそこ速いけど、レースになると抜けずに埋もれていってしまう。去年よりは幾分マシなクルマではありますが、傾向としての弱点は大きく変わっていないように見えます。角田にとってはポイントに手が届きそうな位置からスタートしているはずなのに、いつも入賞が遠い…。

おそらく今シーズンは上位も下位もずっとこんな感じで続いていくのでしょう。去年の毎レース 11 位の角田を見ているのも辛かったですが、今年も今年でなかなかに辛い。

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