「ほー、いいじゃないか。こういうのでいいんだよこういうので」
漫画『孤独のグルメ』に登場した板橋区大山の食堂「洋庖丁」が移転したと聞き、新しい店舗に食べに行ってきました。
↑は既に営業を終了した旧店舗ですが、12 年前に食べに来たときの写真と比べても明らかに老朽化が進んでいることが分かります。移転の理由はビルの取り壊しとのことでやむを得ません。隣接するバーも近々移転する旨の告知が出ていました。
この店が『孤独のグルメ』のお店のモデルになったのは約 30 年前。でもこのお店自体は 49 年もやっていたとのこと。自分が生まれる前からこの場所にあったお店かあ…。
移転の貼り紙、一枚じゃ書き切れないくらい丁寧に綴られた感謝の意が沁みる。それだけ長い間地元の人たちに愛されてきた店だったのでしょう。
移転先の店舗は大山の駅からはちょっと離れて、むしろ都営三田線の板橋区役所前駅側にありました。
ちょっと分かりづらい路地裏の立地にもかかわらず、お昼前から行列ができています。元々人気店だったのに加えて移転直後だからいつもよりお客さんが増えているのかもしれません。しかも、けっこうガッツリ系の定食屋にも関わらず意外と女性客多し。
こういう店だからそこそこ回転は良く、ちょっと待ったところで入店できました。
カウンター席のみのさほど広くない店内は以前の店舗と同様。カウンターの上に吊られたプレート状のメニューは旧店舗から持ってきたものでしょう。改装したての真新しい店内が、これによって以前のお店から地続きであることが実感できる。
壁には手作り感あるポップなメニューが貼り出されていて、これだけでちょっと愉しくなる。ジャンボ焼、シーフードフライ、カニクリ…どれも食欲をソソるキーワードだけど、中でも「焼肉シリーズ」っていう語感は久住先生が好きそう。もしドラマに登場したらふらっと QUSUMI でここにツッコミを入れる姿が目に浮かぶ(笑。
さて、何を食べよう。以前来たときにはジャンボ焼が気になっていたけど…。
迷った挙げ句私が選んだのはスタミナ焼ランチ。他のお客さんの注文を見ているとスタミナ焼かからし焼肉+選べるフライの盛合せランチが人気トップツーという感じで、創業当初からやってる看板メニュー的なスタミナ焼を味わってみたくなりました。
スタミナ焼、想像してたよりも一回り大きな平皿に山盛りで出てきてビックリ。これは挑み甲斐がありそうだ。
豚バラ肉に大量のキャベツ、ニンジン、タマネギ、ニラをタレと一緒に炒めたのがスタミナ焼。スタミナの由来はニラと中央に載せられた卵黄かな。ニンニクたっぷり系だとしたらその後の予定に差し支えたところだけど、そうでなくて少し安心しました。
大きめに刻まれた豚バラを野菜と一緒に口に放り込むと、濃いめのタレ味もあいまってうまい。これは白飯がどんどん進むやつだ。
最近コメの値段が上がっててただでさえ白飯のありがたみが強まってるところに、このおかずはさらに白飯の価値を高めてくれる実感がある。この豚とこの米を間違いなく自分のスタミナに換えるんだ、という決意が湧いてくる。
お椀に入ってるのが実はたんなる味噌汁じゃなくて豚汁、ってのがまたいい。
この豚汁に使われてる味噌なのか、それとも出汁なのか分からないけど、とても好きな味。おかずや白飯との相性も群を抜いている。
ああ、うまかった。新しい店舗でも着実に継続されていく洋庖丁の味、堪能しました。こういう店が自分の近所にもあったらなあ。
私は東武線に乗ることは滅多にないから大山まではなかなか来られないけれど、池袋西口にある支店に今度行ってみよう。次こそジャンボ焼を試してみたいところです。
ごちそうさまでした。

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