ピアストリが逃げ切り優勝、王座争うノリスとの点差は22に。角田裕毅は“責務”まっとうで5位|F1カタールGPスプリント
最終戦は三つ巴だ! フェルスタッペン今季7勝目で大逆転での5連覇見えた……マクラーレン勢は“柔軟な”戦略が仇に|F1カタールGP決勝レポート
2025年のF1シーズンも残すところあと2戦となって迎えたカタールGP。今季最後のスプリントレースもありチャンピオンシップがどのように動くかと思ったらちょっと予想外の展開。結局三つ巴のまま最終戦へと進むことになりました。
■スプリント
後半戦以降ノリスの後塵を拝すことが多かったピアストリが何故かカタールに来て復調。スプリントではPPからそのまま優勝し、ノリスとの点差をいったん22に詰めました。2位には伏兵ラッセルが入ってノリスは3位、フェルスタッペンが4位。やはり後半戦はメルセデスが上位争いに割り込んでくることが多く、最終戦までチャンピオンシップの行方に影響を及ぼすことになりそうです。
フェルスタッペンは予選に苦しみ6番手スタート。それでも角田のアシストのおかげで2ポジション上げてノリスの直後でフィニッシュ。点差を詰められなかったとはいえ最少失点(1pt)で終えて望みを繋ぎました。
■予選~決勝
決勝に向けた予選でもマクラーレンの優位は変わらずスターティンググリッドはピアストリ-ノリス-フェルスタッペンの順。しかし決勝はグリップの弱い偶数グリッドスタートだったノリスが蹴り出しに苦しみ、フェルスタッペンに2位の座を奪われます。レース自体もチャンピオンシップ同様の三つ巴となる中、タイヤ1本の走行距離が最大25周制限という特殊ルールに対して各チームがどう動くか…と思っていた矢先、7周目にセーフティカーが導入。
ここでマクラーレンの2台(と下位にいたオコン)だけがステイアウト、他は全車ピットインと判断が分かれました。先頭だけがステイアウトして残り全部ピットイン、というのは赤旗中断後のリスタートでハミルトン1台だけがグリッドにつく珍事が起きた2021年のハンガリーを思い出します。結局先頭車両が最もピットとの距離が近くて判断する時間が短く、また先行するが故にギャンブルしづらくコンサバな戦略を採らざるを得ない、という状況がそうさせるのでしょう。また今回のマクラーレンに関して言えば2台同時ピットになり後ろを走るノリスにタイムロスを強いることになる、というのも判断の邪魔をしたものと思われます。結局はマクラーレンなりの公平性を貫こうとすることで逆に状況を難しくする、という今季何度も見てきたやつですね。
とはいえ他チームは残り50周を25-25で均等割する以外の選択肢はなく、もう一度セーフティカーが導入されればマクラーレンが圧倒的有利になる可能性もありましたが、特にそういうこともなくフェルスタッペンがトップチェッカー。マクラーレンにとって救いだったのはペースの遅い(というかタイヤのデグが酷い)アロンソが後続車の蓋になってくれたおかげでそこまで大きくポジションを落とさずに済み、ピアストリが2位/ノリスが4位フィニッシュ。
しかしその結果チャンピオンシップ首位のノリスに対してフェルスタッペンが12pt、ノリスが16pt差で最終レースを迎えることになりました。これでもノリスの優位は変わらずアブダビで3位にさえ入ればノリスのチャンピオンが確定するわけですが、ここのところメルセデスが表彰台圏の常連であることがどう影響するか。ラッセルは犬猿の仲であるマックスに勝たせたくない/同郷のノリスに勝たせたいから「そういう」アシストをしてもおかしくありません。
最終戦でチャンピオンが決まるシーズンはフェルスタッペン初戴冠の2021年以来5年ぶり。三つ巴という意味ではヴェッテル初戴冠の2010年以来(あのときは四つ巴でしたが)、ということでワクワクする状況です。個人的には、レッドブル・ホンダ体制最終年ということもありここまできたらマックスの大逆転チャンピオンを見たい気がしています。
■角田裕毅
今回の角田はスプリントでは乗れてました。スプリント予選は移籍以来始めてフェルスタッペンを上回る5番グリッドを獲得。スプリントレースでは好スタートを決めつつフェルスタッペンにポジションを譲るアシストを同時にやってのけ、フェルスタッペンの4位入賞に貢献。自身はトラックリミット違反のペナルティで一旦ポジションを落としかけますが、後続のアントネッリも同様のペナルティを受けたことで5位キープ。ここまでは良かった。
予選ではタイム的にはフェルスタッペンの0.3秒以内という範囲に収まっていながらも、あと一歩のところでQ1落ち。スプリントレースを経てライバルチームがセットアップを煮詰めてきたことで競争が激化した結果だと思われます。決勝は15番手スタート、抜けないサーキットでDRSトレインに捕まりながらも粘りの走りを続けた結果、他車の脱落もあって最終的には10位入賞。これまで「内容はいいけど結果が伴わない」レースが続いてきたからたまにはこういう「あまり目立ってなかったけど結果は結果」というレースがあってもいい。なかなか文句なしの週末を送らせてもらえない角田ですが、カタールは理想的とは言えないながらも「今シーズンの中ではかなりマシ」な週末だったのではないでしょうか。この流れのままアブダビでもいい結果に繋げてほしいものです。
ところでレッドブルが来シーズンのドライバーラインアップについて明日発表するらしい、と言われています。報道によると角田は良くてVCARB降格、悪ければシート喪失が濃厚と言われていますが…個人的にはあまり信じていません。一方で岩佐歩夢が「シミュレーター以外の理由で」先週ミルトンキーンズに行っていたようなんですよね。このタイミングでレッドブルの本拠地に赴くということは契約関係でしょうか。角田レッドブル残留、かつ岩佐がVCARBのレギュラー昇格だったら喜ばしい(来季の両チームの戦闘力は考えないものとする)のですが、最低でもどちらかがレッドブルグループに正ドライバーとして残留、残る一人がアストンのリザーブ、であってほしいと願っています。


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