「この金目と白飯があれば、俺は一生笑って暮らせる」
先ほど放送されたばかりの『孤独のグルメ Season9』第 2 話の聖地巡礼レポートをさっそく公開します。
今回の目的地は神奈川県中郡二宮町。湘南と箱根の中間地点に当たる街ですが、私は初めて降り立ちました。しかし大磯の隣町ということであれば魚がうまいのは間違いない。東海道線ではるばる、おいしい魚料理を楽しみにしながらやって来ました。
二宮の駅から目指すお店までは海岸通りの一本隣であり、道中をちょっと寄り道すると相模湾を一望することができます。劇中同様この日はあいにくの悪天候で青い海を堪能するわけにはいきませんでしたが、東京で暮らしていると広い海を見る機会なんて限られているから、ちょっと嬉しい。
駅から十分あまり歩くと目に飛び込んでくるのがこの真っ赤なのぼり。しかも一本や二本ではなく、店の隣にズラリと並べられていて嫌が応にも視線を奪われます。
この押しの強いのぼりにつられて、俺の腹が金目の煮付けを食いたいと言っている。
海沿いで金目、いいじゃないかいいじゃないか。
立地のせいもあって周囲に店は多くなく、劇中でゴローちゃんが飲食店迷子になりそうだったのもよく分かります。そこにこの鮮烈なのぼり、しかも金目。その求心力や計り知れません。
「魚料理」この三文字がいい。
よし、たのもー。
店内、座席にはアクリルのパーティション、カウンターには透明シートが張られていて感染対策はバッチリ。こういう店でカウンター越しに大将の様子を眺めるのが好きな私的にはちょっと寂しいけど、今はこれで良い。
この日は開店直後の一番乗りで、カウンター席に通されました。
なんと、隣の座席がゴロー席。しかもそれをアピールする貼り紙まで(笑。
よく見ると大半の椅子に「●●のロケで○○さんが座ったいす」と貼られています。ここ、この界隈ではよくテレビ等で取り上げられる有名店だったのか。
空いているタイミングで訪店したので気さくなマスターがいろいろと話を聞かせてくださったのですが、「もう歳だし、一人でやってるような店だし、こないだの『ぶらり途中下車の旅』でテレビは最後にしようと思ってたんだけど(三年前の番組で石井正則さんが来店した模様)、ドラマのスタッフの熱意に押されてねえ…」とのこと。
メニュー、めちゃくちゃ豊富。金目のほかにもまぐろ(ほほ肉!)、ほっけ、いか、あじ、かき…いかんいかん、目移りしてしまう。
調理法も煮ても、焼いても、揚げても、もちろん刺身でもうまそうだ。こ・れ・は、悩むなあ。
…何これ。恋人セット。さらに大人の裏メニュー。
なんでここだけいきなり夜みたいになっているんだ。
この店で、男女二人きり、金目と刺身を食べてイイ雰囲気に…?ちょっと想像がつかない。
俺は…夢でも見ているようだ…。
と思ったら、こちらは孤独のグルメセット。「松ちゃん」てのがなんだかカワイイ。
ランチとしては大贅沢な値段だけど、ここ一年あまりほとんど飲みにも行ってないし平日も外食してないから、たまにはこれくらい贅沢しても許されるでしょう。
そして出てきた五郎’s セレクション。
おおお、なんという眺め!海の絶景定食。
金目鯛の煮付けに、この刺盛りを独り占めできるとはなんと幸せな昼食だ…。
どどんと金目の丸ごと煮付け。これほどボリュームのある金目の煮付けは初めてだ。
この金目に定食セットで 2,100 円なら決して高くはない。
では、いただきます。
うわー、なに?なにこれ??
肉厚、ほわほわ、最高。
脂の乗った肉厚の金目。それに、とろみのある甘辛いタレが絡んでめちゃくちゃうまいじゃないか。
さすが、相模湾の海鮮の王。これがあれば、白飯がいくらでもバクバクいける。
脇を固める小鉢陣もいい働きをしている。
決して目立たないけど、これらがあることでボリューミーな金目の合間に味覚をリフレッシュできる。
海辺で出会った魚料理の店、おまけまでいちいち当たりだ。
汁を飲んでいったんゼロ地点に戻ろう。
はぁ~。しみじみとうまい。
静かさや、腹に染み入る汁の味。
このあら汁、具が遠慮なくゴロゴロと入っていてこれ自体が食べ応えある。
まるで竜宮城に来ているかのような、魚介類の全力おもてなし。食べれば食べるほど嬉しくなってくる。
刺盛り。舟盛りじゃなくて「クルーザー盛り」というあたりが、シャレ好きなマスターの人柄を反映しているようでなんかイイ。
ネタはいずれも王道、かんぱち、ほたて、まぐろ、あじ、鯛のあぶり焼き。ネーミングとは裏腹に実直な仕事ぶり。
この鯛、めちゃくちゃ甘い。炙り加減が最高。刺身に火を入れるのは邪道と思っていたけど、この真鯛は素晴らしい。
この刺身は金目に負けず劣らずご飯が進む。醤油をつけた後で白飯に一度バウンドさせて食べるのが幸せ。
しかし…ゴローちゃんが即席海鮮丼を作るところまでは予想できなかったなあ…。ここ数年、かなりの確率でご飯に載せるかかけるかして〆るのが井之頭五郎の定番だったのに、それに思い至らないとは私も巡礼者としてまだまだ未熟。
まあ、おいしいからいいけど。
金目、あら汁、小鉢に刺身。息する間もなく、ノーブレス海鮮乱れ食い。
本能の赴くまま、自由にわがままに飯をかっ込む。
こういう飯を食っているときこそ、日本人で良かったとしみじみ思える。
うおォン!俺は独り魚市場だ。
大ボリュームの絶品海鮮定食、大満足。
おいしい楽しい明るい店に、元気をもらえた。
ちなみにマスターによると、放送後しばらくは入店数とメニューを絞って営業するそうです。
お客さんに迷惑かけちゃうかもしれないけど、もう歳だしねえ…とのことでした。
お身体を大事に、末永く続けていってほしいところです。
ごちそうさまでした。
この金目の味はしばらく忘れられそうにないなあ…。
コメント
吾妻山の菜の花を見た帰りに立ち寄って、大人の裏メニュー(カップル定食)をいただいたことがあります。孤独のグルメに取り上げられたんですね、なんだか嬉しいな。店主ご夫妻、気さくで話し好きって感じですよね。
おお、既に行かれていたのですね。さすがお目が高い!
私が行ったときはマスターお一人でおかみさんにはお会いできなかったのですが、とにかく隙あらば話しかけてくる気さくなマスターでした(笑。
あの金目、また食べたいなあ…。