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Intel が AMD 製 GPU 搭載 CPU を発表

【イベントレポート】Intel、AMD GPUを1パッケージに統合した新CPUを正式発表 ~Core i7-7700HQ+GeForce GTX 1060を上回る性能を実現 – PC Watch

Intel が、かねてから予告していた「AMD 製 GPU をオンチップ化した CPU」を正式発表しました。

かつての 1GHz 競争をはじめとした Intel と AMD の競争をずっと見てきた一人としては、感慨深いものがある今回の提携。ディープラーニングと AI コンピューティングで大きく先行する NVIDIA への対抗策というのは誰の目にも明らかですが、Intel は下(モバイル)も Qualcomm からの侵食を受けており、強力な GPU 技術を手に入れることでハイエンドコンピューティングでは NVIDIA に対抗し、モバイルでは Qualcomm に差異化する必要がこの統合を後押ししたものと思われます。半導体市場シェアでも Intel が首位から陥落し競争環境が変わった現在、一昔前ならば独禁法に抵触した Intel による AMD 買収というシナリオもあり得ない話ではないのでは…とさえ思えてきます。

長年にわたって CPU で Intel に対抗し、GPU で NVIDIA に対抗してきた AMD ですが、ここ数年は両社に大きく水をあけられ、すっかり「圧倒的二位」のポジションに甘んじて存在感を失っていました。が、電力/コスト効率に優れた GPU を活かしていち早く CPU に高性能 GPU を統合し、一方では柔軟なカスタマイズに応じることで PlayStation 4・Xbox one に採用されるという実績(対する Nintendo Switch が NVIDIA のモバイル SoC を採用したというのがまた象徴的)を作ってきた流れが今回の Intel との提携に繋がったといえ、戦略のピボットって当初想定外の結果を生むこともあるんだなあ、と感心してしまいました。

今回の統合プロセッサ「8th Gen Core Processors with RADEON RX Vega M Graphics」(コードネーム Kabylake-G)は統合とはいっても CPU ダイに GPU が統合されているわけではなく、一つのチップ上に CPU、GPU、HBM2(≒VRAM)の三つのダイが配置されたプロセッサ。真の統合プロセッサと言えるものではありませんが、こういう「外圧によって急ごしらえ的に作られた、長期ロードマップになかったプロセッサ」が Intel から出てきたときというのは、例えば Pentium M(Crusoe 対抗で旧世代の Pentium III-M を発展させたものだったが、その後の Intel CPU は全てこのコアがベースとなった)や Pentium D(Athlon 64 X2 対抗で二個の CPU ダイを一つのチップに載せただけだったが、以降の Intel CPU は最初からマルチコア前提で設計されるようになった)のようにその後の Intel の製品戦略に大きな影響を与えてきた歴史を持ちます。NVIDIA と Qualcomm の挟み撃ちに遭っている現状は Intel 史上最も苦境であり、ここから巻き返すことは容易ではないとは思いますが、強力な GPU を統合した初めての Intel 製プロセッサというのは、少なくとも今後の Windows PC の方向性に何らかの影響を与える可能性が高いでしょう。当面は VR/MR や e-Sports 需要で盛り上がるゲーミング PC 市場に一定の存在感を示すに留まるでしょうが、統合の進化次第でブレードサーバ向けやモバイル PC 向けに採用が広がっていけば面白いことになりそうです。

近年は Intel から新 CPU が発表されてもワクワクすることがすっかりなくなっていましたが、久しぶりに先が楽しみと思えるニュースでした。

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