六本木ヒルズで開催されている Niantic の AR イベントに行ってきました。
現実とゲームの”音”がブレンドする新感覚「ポケモンGO」が登場 – GAME Watch
Niantic は言わずと知れた『ポケモン GO』や『イングレス』の開発元。近年は新しい位置情報ゲームタイトルの発表こそありませんが、『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ』『ポケットモンスター Let’s Go! イーブイ』(これ自体は Niantic の開発ではないものの『ポケモン GO』との連携機能あり)の発売、『イングレス』のアニメ化や新バージョンリリースなど関連する話題が増えている時期だけにプロモーションをかけているというところでしょう。
私はポケモン GO はレイドバトルが始まったあたりでついていけなくなり一度やめていたのですが、フレンド機能の実装をきっかけに復帰して最近またぼちぼちやっています(といっても会社の行き帰り程度ですが)。
「Pokemon GO AR 庭園 毛利庭園のジムに登ってみよう!」。VR HMD(Lenovo Mirage Solo)をかぶって円形のステージ上にあるポールを掴みながらグルグル歩くことで VR 空間上のジムを登っていくことができるというもの。ステージ上には階段の段差を感じられるような突起が設けられていて、VR の視覚を触覚でも補うようになっています。
階段を上っていくといろんなポケモンが出現し、頂上では伝説ポケモンがいて六本木を見下ろすことができる…というのが楽しい。六本木の風景は範囲は狭いしモデリングはちょっと粗くて残念でしたが。
どこかで見たことがあると思ったら、これ自体は東大が開発した「無限階段」を応用したもののようです。
VR に触覚のフィードバックを加えることでプレゼンス(実在感、没入感)を高める仕組みは面白いのですが、回っているうちにジワジワと自分のポジションがずれていってしまいました。たぶん会場が屋外で、かつ造作物も少ないせいで Mirage Solo の Inside-out カメラでは正しく位置検出しにくいということだと思われます。技術デモとしては面白いけどアトラクションとしてはやや未完成感のあるものでした。
そしてこちらが本命という感じの「Pokemon GO AR 庭園」。毛利庭園を歩き回りながら AR でポケモンを捕まえるというものですが、AR ポケモンを捕まえるというゲーム自体はもうポケモン GO そのもので実現されています。これが従来のポケモン GO と違うのは「音の AR」を使うという点。
受付を済ませると、まずこの集音マイクのような機器を手渡されます。メガホンのような形状を 3D プリンタで出力したものですが、これ自体は雰囲気作りのための小道具という感じで何も機能はありません。
が、背面には iPhone が装着されていて、その上で今回のゲーム専用のアプリが動作しています。
iPhone のイヤホンジャック(つまりこれは iPhone 6s と思われる)に挿さっているのは、
まさかの ambie sound earcuffs。それも今回のイベントに合わせて白×赤のモンスターボール風カラーが特別に用意されたようです。
こんなところで ambie が使われるとは思っていませんでしたが、今回の「AR 庭園」は視覚の AR ではなく聴覚の AR を使って遊ぶゲーム。ambie が発表された当初から私も何度か書いている通り、音楽再生用ではなく聴覚の AR 機器としての方向性を ambie が探り始めたということなのかもしれません。
なおこのアトラクションはポケモン Let’s Go! ピカチュウ/イーブイのプロモーションを兼ねているようで、入場時にピカチュウ or イーブイの紙製サンバイザーの装着が義務づけられています。いい歳こいた大人がこれをかぶって六本木の真ん中を歩くというのはどんな羞恥プレイですか(;´Д`)ヾ。
というわけでこのセットを携えて毛利庭園にいるポケモンたちを探すわけですが、別にこのイベントのために毛利庭園が立入制限されているわけじゃないんですね。普通に一般のお客さんも散策していて、そこにピカチュウ/イーブイをかぶりながら変なデバイス片手にポケモンを探すわけです。これは全日空の CA さんに「ガンダムの応募ハガキください」と申告するのだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。テレ朝の取材とかが来てなくて本当に良かった(汗
ポケモンの探索は位置検出と向き(デジタルコンパス?)で行います。現在位置と向きに合わせて近くにいるポケモンのシルエットが三匹表示され、ambie から聞こえてくる鳴き声の大きさを頼りにポケモンを探します。視覚情報がほとんど役に立たないので、これがけっこう難しい。
ポケモンを捕まえられる距離まで近づくと、アイコンに音声マークが表示されるので、録音ボタンをタップします。
このゲームでは録音=ポケモンゲットという概念のようで、録音完了するとポケモンが手に入ります。
三匹集まったらゲームクリア。これをカウンターに持って行くと、三匹のうち自分が選んだ一匹と芝生で遊べる権利がもらえます。
カウンターでは集音マイクと引き換えに別のスマホ(Moto X4 でした)が渡されます。これを毛利庭園内の芝生に持って行き、画面上でモンスターボールを投げると AR 空間内にポケモンが現れます。AR だからポケモンに近づいたり離れたり回り込んだりすることもできるし、タップすると喜んだり飛び跳ねたりするのがかわいい。ただ捕まえるだけのポケモン GO の AR 機能とはちょっと違った楽しみ方で、もしかしたら近いうちにこの機能自体がポケモン GO に追加されたりするのかもしれません。
三つ目はヒルズの WEST WALK で展開している「AR Roppongi×INGRESS」。イングレスの AR アトラクションです。
薄暗いブースの中には六本木のミニチュアジオラマが展示。これ自体もかなり精巧で見応えがあるんですが、このミニチュアの上からプロジェクションマッピングでイングレスの陣取り状況が表示され、刻一刻と地図上の色が変化していくのが面白い。
まあこれだけでも十分興味深いのですが、
HoloLens を装着してジオラマを覗き込むと、各ポータルの詳細情報やポータル同士のリンク状況が立体的に見えるのがけっこうすごい。こればかりは写真に撮って見せられないのが残念ですが、イングレスをやったことがない私でもすごいと思ったので、プレイヤーであれば感動するかもしれません。
なお入口付近にあるタッチパネルを操作することで特定の日時の状況を再生できるのも面白い。ちゃんと実データをデモに使っているということです。
イベントは今度の日曜日まで。なお明日からは「NEON」という新しい AR ゲームの体験も開始されるようです。
個々のアトラクションはまだまだ実験的な側面も強いですが、位置情報×AR の世界に強い影響力を持つ Niantic が次にやろうとしていることが知れるのは面白い。この技術がどんな新しい体験をもたらし、我々の生活を豊かにしてくれるのか、それを考えるのは楽しいものです。今後も同様なイベントがあったらまた参加してみたいと思います。
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