LG が発売した世界初の透過型有機 EL テレビが期間限定でヨドバシ Akiba にて展示されていると聞き、見に行ってきました。
LG / LG SIGNATURE OLED T OLED77T4PJA
ヨドバシ Akiba テレビ売場のエスカレーター正面という一等地にデデンと展示されていました。デモとして熱帯魚の映像が流されていて、パッと見ではテレビではなくなんでこんなところに水槽が展示されているのか?という印象。私はこれを目当てに行ったからすぐに分かりましたが、通りすがっただけならテレビと気づかなかった人も少なくないんじゃないでしょうか。
スペックは 4K120p 対応の OLED TV。しかし透過型パネルという付加価値によって 11,000,000 円という値段がついています。ヨドバシカメラなら 20% ポイント還元ということで、220 万円分のポイントがあればソニーの透過しない 77 型 OLED TV を二台買ってもまだ余るんですけど(汗
透過型だからディスプレイの後ろには基板も外装も何もなく、パネルだけなら本当に薄い。ただしパネルの下に制御基板やスピーカーを内蔵したボックスが後方に出っ張っているため壁スレスレの設置はできないようです。ちなみにテレビの横に一体感をもって設置されていた縦長のシェルフは単品で 33 万円のオプションとのこと。
チューナーは「Zero Connect Box」と呼ばれるこの箱に独立しています。外部機器もこちらに繋げる形ですね。テレビへの伝送は Wi-Fi ではなく 60GHz 帯の無線接続になるため、ディスプレイ側は電源以外のケーブルを繋ぐ必要がありません。
ちなみにこの Zero Connect Box は LG の他のハイエンドテレビでも採用されているとのこと。
ハイエンドモデルらしくコストかかってる感じのリモコンが付属。こんなに削ぎ落としたデザインのリモコンなのに Netflix などの VOD ボタンは色つきのロゴで表示するんだ…。
透過型とはいっても完全に透明なわけではなく、スモークガラスのような見た目になります。でも向こう側が透けることで映像が普通のディスプレイとはちょっと違った印象の立体感に見えるのが不思議。
透過型ディスプレイ自体は技術としては数年前からあって、55 型のモデルがデジタルサイネージ等に利用されています。あと小型のパネルは車載用の HUD(ヘッドアップディスプレイ)にも採用されていますね。しかし 77 型という大型のパネルが実用化され、かつ法人需要ではなく個人向けのテレビとして発売されたのが今回のエポックでしょう。
でも透過するということは白壁や窓際に設置したらコントラスト下がっちゃうんじゃないの?と思ったら、そういう場合のために黒背景にできるモードが用意されています。それもディスプレイの背後に物理的に黒いスクリーンを展開するというシンプルかつ最も効果的な方法。リモコンのボタンを押すとスクリーンが下からにゅいーんと上がってくるのが面白い。黒背景にすると普通の OLED TV のようなコントラストが得られます(写真はガラスの表面に人影が反射してコントラストが落ちて見えていますが)。
デモ映像は水槽の水にあたる部分がほぼ黒(OLED が発光しない)で表現されていたため壁が透けて見えていましたが、普通のテレビ画面を映すとこうなります:
この画像↑、黒スクリーンを半分ほど上げた段階で撮ったものですが、ちゃんとコントラストが出ている下半分は当然としても透過している上半分もあまり透けが気にならない。画面内の黒い部分が透けるだけで、テレビ画面の場合は映像の大部分に色がついていることが多いからそれほど違和感がないんですね。ただしテレビ放送よりも暗いシーンの割合が多い映画を観る場合は黒スクリーン必須でしょう。
「テレビを点けていないときにリビングの一等地を大きな黒い四角が陣取っているのがイヤ」というのはテレビの大型化とともによく言われるようになったことです。この透過型テレビはそういう不満をある程度解消するものですが、個人的にはだからといって窓側設置で外が見えるようになるならともかく透過テレビで白壁が見えても嬉しいか?とは思っています。これだけのために 1,100 万円かー、とは思うけど、高価くてもこの技術を民生化したことにまずは意義がある。受注生産で三ヶ月待ちとのことですが、既に新しもの好きの富裕層や企業の応接などの需要でいくつか受注が入っているとのこと。お金、あるところにはあるんですね。
私はもちろん買えませんが、ディスプレイ関連で久しぶりに面白いものが見られて面白かったです。










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