↑こう書くと速攻で複数の人から「大丈夫?」という心配コメントがつきそうな釣りタイトルですが(ぉ、別に私のことではありません。私から物欲とそれに付随/起因するモチベーションを取ったら生き甲斐を失ってしまうと思うので(笑、物欲消滅することはたぶんないかと。まあ、それでも 5 年前に比べれば、物を買わなくなりましたが・・・。
本題は今週号の日経ビジネスのこの衝撃的なタイトルにつられて買ってみたら、面白かったので。
日本は経済も日常生活も既に成熟しきっていて、満ち足りた状態にあるのは事実でしょう。我々のような人種は置いておいて(ぉ)確かに「モノを買う」ことに対する必然性は下がっています。経済危機はあくまでそれを「見える化」してしまったに過ぎないと思います。
でも戦後の日本経済は工業化による大量生産、大量消費と米国の消費主導型経済によって高度成長を遂げた歴史があるので、その成功体験が抜けきらない政治/経済指導者層は相変わらず定額給付金やエコポイントといった政策で「消費」の理由づけをするのが経済対策だ、と思い込んでいます。まあ、私も仕事柄その政策の恩恵に与っている側面が少なからずあるので、それを全て非だと言えないのが、サラリーマンの哀しいところではありますが。
さておき、記事には「今や消費者がモノを買うのには理由が必要」「所有の前に『体験』売る」「付加価値を再定義する」といったことと、それぞれの事例が書かれています。単純に経済危機だから、で終わらず、社会構造の変化ととらえてそれに対する試行錯誤をすべき、という点では、今までありそうでなかった記事。「不況だから」とか「グローバル化で競争が激化しているから」を言い訳にしている企業担当者にぜひ読ませたい特集です。個人的にも、ここ数年やってきた活動は方向性としては間違っていなかったんだよね?ということの裏付けがとれたような気がして、少し勇気づけられました。
「モノを持たない生き方」というのは、確かに住宅や自動車販売数の減少とカーシェアリングのような流れだったり、CD 販売ビジネスの市場縮小と音楽配信市場の拡大に代表されるように、社会の流れとしては間違いなく進んでいる方向性だと思います。ただ、全てにおいてそうじゃないよね?というところだけは、個人的には気をつけておきたい。
私が「モノを持つ」ことの意味というのは、確かに収集癖とか所有欲に依るところも大きいですが、それだけじゃなくて。ステータスシンボルというのでもなくて・・・抽象的な言い方をすると「自分の存在価値の確認」とでも言うのでしょうか。何かのストーリーを持った「モノ」を所有/使用することで、自分のフィロソフィーを体現しようとしているというのもあるし、何か自分の人生の道標を立てる代わりなのかもしれません。どこかに旅行に行ったときに写真を撮ったり、現地の土産物を買うように、何かの体験や思い出の証明、依り代として「モノ」を持つ、と言ったらいいか。だって、体験することは直接価値にはなりますが、形として残らないぶん、ただ「消費」されることにも繋がりかねませんから。だから、私は奥さんに眉をひそめられても自分のモノはなかなか手放せないし、モノをクルクル回すような買い換えかたは苦手。
もしかして、今の私の仕事は、モノに魂や意味を吹き込んだり、モノとそれを使うときの体験を不可分のものとして見せることをしているのかもしれません。
確かに日本の社会は大きな流れとしては「モノ」(製品)から「コト」(体験)に価値の軸が移ってきていることは間違いないと思いますが、それによって「モノ」そのものの価値がなくなるわけではない、と信じたい。まあ付加価値を表現するのは簡単ではないですが。
とか、ストレスの溜まったアタマで、現実逃避がてら考えてみました。
コメント
モノの定義にもよりますが、万物の創造主を信じている方々にとっては、全てが被創物であって、モノなくして経験無しなのです。などと飛躍してみる。
そう考えると?
最高のユーザーエクスペリエンスを与えているのは神。
まぁ、物事の言葉のように、大抵の場合、不可分。
神様の指導により、人や権威のせいにすることを禁止します。
成らぬは人の成さぬなりけり、ですね。
フジで放送されている「MAD MEN」というドラマの第一話で、主人公の広告マン(ジョン・ハム)が1960年代の規制が厳しくなってきたタバコ広告のプレゼンで「広告の原点は、幸福と不安からの解放」みたいなことを言っていて、妙に説得力があると感じたのを思い出しました。
私の物欲も、幸福(UX)と不安からの解放が目的です(´д`)。
最高の物欲とは、たぶん喜捨みたいなものなのかもしれない。。。
形のないネトゲのアイテムとか、名ばかりの役職とか、まったくもって
現実と乖離したものばかり得ていて、物欲って言うか欲がよくわからなくなってます。
最近ちょびっと幸福を感じたのは、バービーボーイズのベストを聴いたとき。
なんだか、気付いたら思ったより深く潜ってたな、みたいなね。むーこまった。