『ガリレオの苦悩』と一緒に図書館で予約していた本が入荷したとの連絡を受けたので、借りてきました。こちらの待ち人数も同じくらいだったので、近い時期に回ってきたもよう。
この作品は、作中の時間軸的には『ガリレオの苦悩』の第一話「落下る(おちる)」と第二話「操縦る(あやつる)」の間くらいに位置するエピソードだと思われます。ガリレオシリーズ的には『容疑者 X の献身』に続く、二作目の長編。
「完全犯罪」「この事件の答えは虚数解」「草薙刑事の恋」といったキーワードから、もしかすると『容疑者 X』を超える傑作になるのか!?とワクワクしながら読みましたが、あまり科学とは関係のないオチでちょっと肩透かしを食ったこともあり、個人的には『容疑者 X』ほどではなかったように感じました。それでも、犯人の悲愴なまでの決意や登場人物の心理的な駆け引き、そしてガリレオ本人よりも内海や草薙の視点を中心に描かれるストーリー、といったところは十分に楽しめました。あと今まさに事業仕分けで話題になっている「スプリング 8」(和歌山のヒ素カレー事件の成分分析にも使われた放射光実験施設)が登場するところもタイムリーで興味深かったですね。
でもやっぱり東野圭吾の作品は心理描写にこそその真髄があると思います。個人的には『容疑者 X』以降の作品のほうが好み。続編にも期待ですが、違うシリーズも読んでみたくなってきました。
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